第七話 『黒い血』
時間はしばらく経って深夜となっていた。
夜月はベットの上で横になり、ナイフを見つめていた。
「このナイフを作った奴ってのはどんな人だったのかな・・・。」
そんな事を考えながら、ナイフの柄を見る。
柄は不思議な模様をしていて、まるで悪魔がつけた印のように感じた。
気持ち悪い。
そう、気持ち悪いのだ。見ていると気分が酷くなる。
「親父はこの模様の事をどうも思っていなかったのか?どう考えてもこんなの考えつかねぇ。」
次に刃を見る。メルが磨いてくれたおかげか、綺麗な銀色に光っている。
「これで切るとどうなるのか・・・。」
その通り、切った事が一度も無かった。どうなるか確かめたくて、近くにあった紙を切ってみた。
「う〜ん、普通に切れるな・・・。」
疑問が解決したと思いきや、次に何かひらめいた。」
「・・・人だ。人を切ったらどうなるのだろう。自分の指でいい。少しだけ・・。」
ナイフの刃の先が指に少し刺さる。
「痛・・・!」
血が出る。しかし普通ではなかった。
黒い血が出てきたのだ。
さらに指の色が肌色から黒へ浸食してきている。
「う、うわわ!」
すぐに手を洗ったおかげか、色はすぐに抜けた。
「どうなされました?」
今の騒ぎでメルが起きてしまったようだ。
「…。」
夜月はメルに今あった事を全て話した。
「ごめん・・・。俺が試そうとしたから・・。」
「・・・あなたは本当にバカですね。」
「え・・・?」
「すぐに手を洗っていなかったら貴方は今頃ここにはいなくなっていたかもしれません。朱月様も言っていたはずです。わざわざ危険な事をして命を落としてしまったらどうするんですか?」
「・・・分かってる。さっきのでもう理解できたよ。もうあんな事はしない。」
「はい、気をつけて下さい。・・・あなたが死んでしまったら朱月様も、私も困るんですからね?」
そう言ってメルは黒を抱きしめた。
「…ああ・・・。約束する。」