第三話 『紅乃』
「ここが俺の通うことになる高校か…。」
親父の母校。うちの先祖は皆この学校だったらしいのだ。どういうわけか…。
でも何故か懐かしい雰囲気がするのだ。やっとここに舞い戻ってきたような。
校内を見物しながら、教室に入る。
ナイフのせいか、殺伐とした雰囲気も感じられた。やや警戒しながら自分の席に座った。
「さて、今日からみなさんはこのクラスの仲間です。早速ですがみんなで自己紹介でもしましょう。」
なんつーか子供っぽいな…。いや、何処からどう見ても子供だろ。俺よりかなり小さいぞ。
「先生の名前は下河七海です。身長は150cm代、体重とスリーサイズは秘密です☆」
そんなことは誰も聞いてないんだが。ここで口出すわけにはいかないので心の中に留めておくことにしておこう!
「そいじゃ、出席番号順に自己紹介してね。
そういえば、俺が出席番号1だな…。いきなり回ってくるとは。(というか何やってんだ俺?)
「えーと、紅乃夜月です。趣味や特技は特にないぜ。」
まぁ、先生が幼稚だから仕方ないか。
「えと、天草渚です・・・。よ、よろしくおねがいしますね。」
ふと振り向くと…そう、美少女が立っていたのだ。
「あの子可愛くね…?」
「うむ、実にいい、実にいいぞっ!」
ざわ…ざわ…。
あらら、噂にされてますよ。
渚は、えへへ、と照れながら座る。
「言っておくが、男は野獣だぞ。襲われないように気をつけな?」
夜月は渚に話しかける。
「え、私は貴方に襲われちゃうの?」
「いや、そうじゃなくて…な?」
そうしているうちに自己紹介は一通り終わり、先生は休み時間を入れると言った。
その後すぐに先生に話しかけられた。
「ふむぅ。君があの紅乃君かね。」
「ん、先生。そうですけど。」
「ということは…朱月君の息子かな?」
「親父を知っているのか!?」
「朱月君には一度助けられたことがあるのだよ。男に絡まれているところね…。」
「そうだったのか…。親父の昔なんて全然知らないけどな。」
ていうか親父のクラスメイトということは、30代?ありえん。この体でか。
「そうそう、朱月君はどうしてるの?」
「・・・残念な話だけど、行方不明になってしまって…。」
「! ・・・あはは、一体何処に行っちゃたんだろうね。じゃあ私は忙しいからそろそろいくね。」
「・・・? どうしたんだろう。」
そういえば、親父も人の為にナイフをつかったということは、その時に出会ったのが母さんなんだよな。
母さんは物心のついた時にはいなかった。親父はもう亡くなったと言っていたが…。
俺の母さん…一体どんな人だったんだろうな。