06
あっという間に二週間が経った。
というのも、殆ど何か問題が起こる訳でもなく、一週間は文字と歴史の勉強。
歴史は分からない部分はフェルマーで補うが、なるべくならば自分で知りたいもんだ。
あとの一週間は魔術の訓練に励むだけの期間だったから、別に言わなくても良いか。
異世界人である私と幼馴染は、魔王を倒せと言われている。
幼馴染の特訓も終わり、後は魔王を倒す力を各地で見つける為に旅立つだけだ。
つか何で私達なんよ?あの時話分かんなくてスルーしてたけど、こんなの他人の尻拭いてやってるだけじゃない。
自己犠牲精神?何それ、おいしい?
命がけのボランティア活動なんて、そんなものやりたくないわ!
『御主人、そろそろ……』
『そうね、さっさと行かないとまた小言でも言われそうだわ』
これから港がある国へ行くらしい。
この教団は海側に面していても山脈があるおかげで、わざわざ港がある国に行かないと大陸から出れないんだと。
そして船に乗り、他の大陸へと向かい、魔王を倒す手段を確実にしていくらしい。
でも私は殆ど話を聞いてなかったし、聞く気もないでまぁいれば良いかってぐらい。
本当の所、使えないけど異世界の人間だしっていう理由でどっかのお偉いさんの夜伽にされそうだ。
そんな状況にならない事を今後も祈りたい。
とまぁ、足手まとい扱いではあるけれど、世界を巡れるのは楽しみでもある。
「では皆さん、準備はよろしいでしょうか?」
聖女様が素晴らしい微笑みを携えながら出発を促す。
聖女様と幼馴染の一哉君だけでなく、他数人がどっかの部屋に集合していた。
一哉君なら何人かと話しているんだろうけど、私は聖女様から図書室に閉じ込められてたからあとは全然分からないのよね。
だけど一哉君も知らない人がいたらしく、聖女様がはりきっていた。
「まずは騎士団長、お願いしますわ」
「はっ!私はヘレーネ騎士団団長ミラ・ライガルと申します、以後お見知り置きを」
金色の髪が目立つ若い人ってだけしか印象が出てこなかった。
つまるところ、美女でしたーはい次。
多分、この人も一哉君のハーレムメンバーになんだろうね。
「ところでリーダーが加わっても平気なのか?」
「はい、彼女がこの旅に加わっている間はライル副団長が代理を務めます」
「紹介に与りました、騎士団副団長ライル・ディーゼルです」
女性の騎士団長さんだったから、副団長もって思ったら普通に男の人でした。
はいはいイケメンですねー。
「そして私、レニア・フォーゲル、ヘレーネ教団所属の巫女です。以上が我々ヘレーネ教団ヘルラントからのメンバーです」
やっぱり自分の事を聖女だなんて言わないよね。
てか、え?他にもどっからか来るの?
と思ってたら、タイミング良く扉からノック音が聞こえ、優雅に男女1人ずつ部屋に入ってきた。
銀髪の男性が聖女様の前で止まる。
聖女様が軽くお辞儀をして挨拶を始めた。
「この度は我々ナディール勇者一行と共に同行してくれる事を有り難く思います」
「こちらこそ、勇者と共に世界の敵でもある魔王軍を倒せる事をとても誇りに思います」
その挨拶の間にも、濃紫の髪の人は頭をずっと下げたままだった。
『そういえば、この人って二週間前に会ったよね。あのクソ女どこだよ?って言ってた人』
『そうですね、こんな会話バレたら首刎ねられそうですけど』
「私は隣国のエレヴァン皇国皇王第一が子息、クレイ・ティエラ・A・エレヴァン。貴公らと共にナディール勇者一行として旅に同行する事になった。こちらは私の信頼できる臣下のレティだ」
「初めまして、皇室親衛隊隊長レティ・ベレッタです」
あの銀髪のアホ毛がぴょんぴょんはねてた人は皇子様だったようですねー。
さっきの頭下げてた濃紫の人は隊長さんみたいで、一見礼儀正しいんだけど、なんか冷徹って感じがするなー。
異世界でも親衛隊って皇族の私兵なのか。
そしてメンバーが豪華だ。
勇者様と聖女様に教団の騎士団長、そしてその部下2人(どっちも女性)に隣国の皇子様とその親衛隊隊長がいれば問題ないと思う。
でもまだ知らない子が二人いた。
何処の国の子だろ?
「じゃ、次は僕達だね」
「はい、お願いいたします」
「ギルド国家アヴァンドールから派遣された者です、僕はロス」
「右に同じく、僕はトス」
ロスと名乗った少年は白い髪で、トスは正反対の色をした黒い髪だった。
双子みたいで、二人とも同じ服を着ていた。
杖も色が違うだけで形状は変わらない。
なんか二人してりんごみたいな髪型してるし。
「では最後に勇者様、自己紹介のほどを」
そういった聖女様の視線はやっぱり一哉君でした。
ねぇ、やっぱりこの聖女様人として軸がぶれてんだと思う。
別に勇者やりたい訳じゃないけど、今私の立場は勇者(仮)なんだから少しは礼儀ぐらい持ったらどうなのよ?
『御主人、何処の世でも聞かない人間はいるのですよ』
『そんな人生悟った事聞きたくないわ』
「俺はカズヤ・サイトウ。職業は勇者みたいで、年齢は18歳、好きなものは海老と豚肉と、嫌いなものは……」
「あのカズヤ様、そこまで言わなくても良いんですよ……?」
「へ?あぁ、ごめん!」
「い、いえ!」
そういや一哉君は緊張すると今までの性格が変わって天然さんになるのよね。
余計性質悪いわ!
「で、では最後に自己紹介をお願いします」
「がんばれよ玲ー」
なんだって君は自分の番が終わったからってそんなリラックスしているのよ?
「レイ・カゲミヤです。今後ともよろしくお願いいたします」
まぁ、その今後がいつまでか知らないけどさ。