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光と闇  作者: 緋翠
第一章
12/22

幕間 01

サブタイトル変更しました。

故郷から旅立ってもうすぐで三年経つ。

旅をしている理由は簡単だ。

親父から人生の伴侶が出来るまで帰ってくるなとまで言われたから。

俺、本当は戦うのとかすっごい苦手なのに。

一度適当に見掛けた女の子を連れて帰ったら家族にも怒鳴られるわ、女の子からは強烈なビンタ食らうわ……もう散々だった。

あれが俺の中で衝撃的過ぎて、真面目に探して早く帰ってやろうと思うきっかけになった。


だけど中々伴侶ってのは見付からないものだ。

その度に街から街へ行くから、戦わなきゃいけないんだけど……。

魔物相手ならまだ大丈夫だけど人は勘弁して欲しいとさえ思ってる。

竜人族っていうのは力がありすぎて普通に殴っただけで人なら撲殺できる程だって聞いてる。

え?嘘だろって?いやいや、目の前で一軒家壊すシーン見てみ?

「この力がお前に受け継がれてる筈だ」とか親父、いらない事をよく言うんだよなぁ。

それでも兄貴や姉貴達は上手く制御できて、人生の伴侶とも言える人達を見つけ出していた。

あとは末っ子の俺だけ。

はぁ……いったいどんだけ掛かるんだろ。

人間のように早く年老いていく訳じゃないけど……――


「いってぇなぁ……おい、兄ちゃん。聞いてんのか?」

「へ?」


見ると三人組のがたいの良い男が取り囲んでいた。

もしかしてこれ、絡まれたのか!?


「ぶつかっておいて謝りもしねぇのか?」

「いや、俺ホント何もしてませんから!ぶつかってきたのはそっちじゃないですか」


ちゃんと避けたはずだった。

柄の悪い男に絡まれても、力が強すぎて一体どうなるのか分からなくて手を出せない。

どうする事も出来ないまま、俺はただこいつらが飽きて去っていくのをただじっと待っているだけだった。


「あぁ?オメーがぶつかってきたからこいつの肩がイカレちまったって言ってんだよォ」

「慰謝料払ってくれよ、オメーの責任だぜ。こいつは俺らの大事なギルド員なんだからなぁ?」


男は肩を押さえている男を指差しながら、俺の肩をみしみし言う程掴んでくる。

逃げ場が無いこの状況、最悪だ。


「言いがかりにも程があるだろ……」

「オイ!!何ぶつぶつ言ってんだ、文句ならこのオレ様に言ってみろよ」


思わず口に出た言葉は運悪く男の耳に入り、更に力を込められる。

内容が聞こえなかっただけマシか。

お金を払うから勘弁してくれ、と言いかけた時だった。

後ろから「ぐぅぅぅ……」とお腹の音が鳴った。

誰だろうかと気になってごろつき共々音の方を振り向くと、少女が一人佇んでいた。


「なんだよ、嬢ちゃん。こいつの仲間か?」

「いやそいつは――」

「えぇそうよ。その青年の仲間」


違うんだ、巻き込まないでくれ。

そう言い掛けた言葉さえ飲み込むような返しだった。

まだ成人していないぐらいの、か弱そうな少女は不敵の笑みを携えながらそう答えた。


「話が早ぇや。こいつの所為でな、仲間が肩を脱臼しちまってよぉ」

「嬢ちゃんが金の代わりになってくれるってんならそこの男を許してやるんだがなぁ……?」


明らかにこいつらはこの少女を奴隷として売り飛ばすつもりか、何かしら手を出すつもりだ。

少女のようなエキゾチックな顔立ちはここらでは見ない。

これからどうなるのか分からないのか、少女は屈する事がなかった。


「残念。それは無理な話ね」

「じゃあ仕方ねぇな。力付くで付いてきてもらおうか」


ダメだ、その子は全くの無関係だろう!

止めに入ろうとしたら、もう一人の男に腕を取られ口を押さえられる。

あと少しで触れるという所で、少女は不意に何か呟いた。


「そうそう、脱臼は一時間以上放置しておくと全身麻酔してから手術が必要って知ってたかしら?」


男の隙間から見えた少女の顔はゾッとするぐらい、綺麗に微笑んでいた。


「はぁ?何を突然訳のわから――い゛っ!?」

「ぎゃあっ!?」

「いでぇ……いでぇ!」


緋色の瞳が細められた時、黒い何かが横を通り過ぎたのを見た。

突然解放されたおかげで壁にもたれ込んだけど、あぁ助かったんだなとどこか客観視している自分がいた。

コントロールが苦手な自分とは違い、少女はそれに長けていた。

ごろつき達は少女に恐れをなしたのか、すぐに逃げに走る。

無様な姿をさらしながら捨て台詞を吐いてどこかへ行った。


「大丈夫だったかしら?」


呆然と見送っていた俺のすぐ近くに来ていた少女は先程の冷たい微笑みではなく温かみのある微笑みをしていた。

緋色だと思っていた目は髪と同じ茶色だった。

あれは見間違いだったのだろうか。

いやでも、そんな事はどうだって良かった。

一目惚れなんてしないだろ、と友人に吹聴してた自分が恥ずかしかった。



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