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6-帰宅部のエースを目指せ!

 「部活を作ろう!」

 決闘騒ぎがあった2日後の昼休み、祐司は俺達に対してそう宣言した。

 「それは誰に対する宣言だ?」

 俺はそう尋ねた。

 「ここにいる、大貴を除いた4人に対して言っている。」

 「いやいや、俺は中学の時みたく帰宅部のエースとして活躍しなければならない。したがって、残念ながら俺は参加できない。」

 俺がそう答えるのがわかっていたように祐司は言葉を続けた。

 「ハルは勿論そう答えるのはわかっていた。だが、部活を作るのに必要な人数は最低5人だ。つまりハルには強制的に入ってもらう。」

 祐司はにやにやしながら言う。

 読まれていたか・・・。実際俺は部活にあまり参加したくない。基本的に俺は面倒くさいことは嫌いで、部活を続けるだけの根気もない。そんな俺が参加したところで人数合わせにしかならん。

 「100歩譲って参加するとしよう。けど実際何の部活を作るんだ?大体はもう既に存在するだろう。同じような活動をする部活を作ったところで無意味だ。」

 俺はそう反論した。

 「まさか、この俺が何も考えていないとでも思ったか?もう既に決めてある。SO〇団だ!」

 「お前そんなネタやるんじゃねーよ。」

 俺は思わずツッコミをいれてしまった。裏拳つきの。

 「さっきのは冗談だ。流石に気を付けないと裁判沙汰になるからな。まあ、実際のところは決めていない。理由としては、部というある程度自由に何かできるものが欲しかった、というところだ。活動実績など後からいくらでもでっち上げられる。欲しいのは部とあわよくば部室だけだからな。他の皆も入ってくれるか?」

 「何で俺は強制的で、他はちゃんと意思を聞くんだよ・・・。」

 俺がそう不満を言ったが、スルーされた。

 「俺はそれで構わないぜ。」

 「ハルが入るんだったらそれでいいわ。」

 「私も面白そうだから入る~。」

 どういうことだ!?何故ほかの連中はこんなに食いつきがいいんだ?

 この時から祐司は部活作りに奔走するようになった。




  ◇

 




 祐司の提案から3日後、遂に部が創部され、ついでに部室までもぎ取ってきたらしい。

 「一体どんな悪いことをやったんだ?」

 俺は祐司の報告を受け、ジト目で睨んでやった。

 「悪いこととは心外だな。俺は誠意を持って生徒会長や廃部寸前の部の部長などに交渉しただけさ。」

 「誠意を持って交渉したくらいでこんな好条件転がり込んでくるわけねぇ。そんなことできたら戦争は終わるっての。」

 「はっはっはっ。違いない。」

 祐司は全く悪びれた様子もなく笑っている。

 「結局部の名前と活動内容はどうするんだ?」

 「名前は、帰宅部だ。まあ、このネタはかなりいろいろと使われているが、ハルは帰宅部のエースになりたいらしいからな、微力ながらその手伝いをしようと思ってね。」

 くそ。ハメられた。あの時の発言がこんな形になって帰ってこようとは。

 「名前はいいけどよ、何やるんだ?」

 颯が疑問に思ったらしく、祐司に聞いている。

 「そうね。名前だけじゃ何がやりたい部なのかさっぱりわからないわ。」

 彼女もそう思ったらしく、聞いている。

 「帰宅するための部だが、生徒会に提出したときの内容としては『帰宅途中における学校周辺の様々な調査』だったかな。」

 「帰宅するための部に部室は必要あるのか?」

 既にサッカー部に入部している為、一人蚊帳の外だった大貴が質問する。

 確かに。帰宅部に部室ははっきりいって必要ない。祐司の奴は一体どんな手段をとったんだ?こんな不利な条件があるのに、部室を手に入れるなんて・・・。正直言って俺には非合法な手段しか思いつかない。全く・・昔から祐司はこういう状況には強い。

 「勿論必要ない。だけど言ったろ?俺は部活の内容などどうでもいい。部室こそが俺にとって必要だったのさ。だからこそ、無理矢理ハルを誘って部を作ったんだ。」

 祐司はそう言う。

 「部室に随分と拘っているようだけど、部室で何すんの?」

 今まで傍観者になっていた椋本が祐司に尋ねる。

 「よくぞ聞いてくれた。とまあこれが言いたかったことだが。」

 祐司は咳払いをした。

 「帰宅部の活動は集団下校でいいんじゃないか?あと、ここからが大事だが、部室はこれからの俺たちの活動拠点として使う。そうだな・・・例えば生徒会選挙において陰で俺たちが暗躍するとして、その時にアジトとして使うといった感じだな。」

 「随分と面白そうなことを考えてるんだね~。」

 椋本が驚いたように言う。

 「やれやれ。高校でもそんなこと考えているのか。気をつけろよ。高校は義務教育じゃないから、停学や下手したら退学だってあるんだからな。」

 大貴が祐司に忠告する。

 「そんなことわかっているさ。ようはバレなきゃいいんだよ。」

 祐司が手をヒラヒラさせながら言う。

 相変わらずだよ。そんなこと言って中学の時俺達4人が教師に呼び出されて、何時間も説教食らわされたのは忘れない。肝心なところで抜けているからな。また、俺がフォローしないといけないのか・・・。

 「忘れちゃいけないのが、ハルを帰宅部のエースにするってことだな。」

 祐司が茶化してきた。

 頭が痛くなってくる。反論のセリフを使ってここまでからかってくるとは・・・。

 俺は何とも言えず、先行きが不安になってくるのであった。

 今回はヒロインがあまり目立ちませんでした。たまにはこんな感じもいいかな、と一人考えています。

 

 相変わらずの自己満足作品ですが読んでいただけると幸いです。

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