17-歓迎祭~激闘編①~
なんだか予想以上に長くなってしまった。これがキャラが動くということか。
すみません。言ってみたかっただけです。
この歓迎祭だが、日程は二日に分かれている。おかしなことだと思うが、何故か二日日程なのだ。これは既に決定事項で、変更はないらしい。
とまあ、そんな感じで一日目が綱引きだの縄跳びだの卓球だのやる予定らしい。
バスケは一部のみ終わらせるらしい。クイズ大会は二日目のメインイベントだそうだ。
まず、初めの競技は綱引きだった・・・。
「やっぱ、高校生にもなって綱引きを真剣にやるのはなあ・・・。」
思わずそう零してしまう。こんな年齢にまでなって綱引きを一生懸命にやるのはなんというか厳しいものがあると思う。
「そう言わずにね。これに向けて頑張っている人もいるんだから。」
俺の呟きが聞こえていたのか、彼女にそう窘められてしまう。
「でも、なんか恥ずかしくないか?」
何か思うところでもあったのか、俺の問いかけに少し考え込む彼女。
「少しだけ・・・。」
「そうだろ。綱引きが許されるのは小学生までだと思う。それ以上の年齢だと厳しいはずだ。」
彼女の反応に気をよくした俺は、自らの意見を語る。
でも、こんなこと言っときながら、俺は綱引きには参加しないのであった。
と言うか、参加するのはクイズ大会だけなのだ。
「そうかもしれないけど、一応応援くらいはしたほうがいいと思うよ。」
なんだかんだでそんなことを言われ、渋々応援することにする。と見せかけて、ただ眺めるだけしかしないのだった。
「それにしても、良くこんなことに夢中になれるよな。」
何とも言えない気持ちで、今の勝負の行方を見る。現在、一年だけが勝負しているわけだが、うちのクラスは果たして勝てるのかねえ。
言わずと知れたことだが、俺達のクラスは6組だ。(1-入学式は~~を参照のこと)でも、知ってるってことは多分どこかで言ったんだろう。全然言わずと知れてねえ。
あ、勝った。
「今、6組が2組に勝ったよね。凄い凄い。」
彼女はうちのクラスの勝利によって興奮しているのか、いつもよりテンションが高めだ。このテンションについていけない俺はどうすればいいんだろうな。
「勝つために頑張ったというよりかは、負けたらどうなるかわからないから勝ったという印象を受けるな。」
「そういうこと言わないの。佐々倉さんだってどんな手を使ってでも勝ちたいと思ったから、あんな風になっちゃっただけだよ。」
「そんな単純なもんかねえ。」
彼女の意見を否定するわけではないが、素直に頷くことはできない。どんな手を使ってでも勝利することに関しては異論はない。けれど、そのためにあんな風になったとは些か賛同は出来ない。どう考えても、俺にはあれが素としか思えん。どこの鬼軍曹だよ、とか思っている奴は少なくないはずだ。
そんなことを彼女にクドクドと説明している間に、6組の第二戦は終わっていた。わふーとかは関係ないので悪しからず。
結果は勝ちだった。
あんだけ練習させられれば、負けるという姿は想像できん。だが、勝負と言うのはやってみなければ結果はわからないもので、僅かな油断が命取りになることは往々にして起こるわけだ。と、そんなことを言っても、うちのクラスにそれはない。理由としては、負ければ恐ろしいことが起こる、とわかりきっているからだが。
「ちゃんと応援しなよ。」
彼女に注意されて綱引きに意識を戻すと、いつの間にやら三回戦目というか、準決勝が行われていた。
いい勝負してますね-。
相手である9組とほぼ互角の戦いをしている我がクラス。なかなか決着がつかない模様。時間制限で勝敗が決まりそうだが、十中八九6組の勝ちだろう。僅かに勝っているのがここからでも確認できる。それだけ必死なのだろう。涙を誘うな。
「この勝負どっちが勝つと思う?」
「うーん。6組じゃない?」
「その心は?」
「ちょっとだけ勝っているのが見えるでしょ。ほら。」
などと言いながら、指差す彼女。
俺が見てないとでも思っているのだろうか。そんなことはそんなにないんだがなあ。
「そうだろうな。このままいけば、最低ノルマ分は行くだろう。次は、縄跳びか・・・。」
なんかガックリくる。ただでさえ微妙な綱引きなのに、その次は縄跳びとか。縄跳びも小学生までだろう。高校生にもなって真剣にやるものとは感じられない。というか、恥ずかしい。
そんなことを考えておきながら、勿論俺は参加しないがな。恥ずかしくてやってられるか。
「ほら、ちゃんと見なよ。」
その言葉と共に、彼女の手によって俺の顔が無理矢理試合の方へと向けられる。グギッと、首から鳴ってはいけない類の音が聞こえたような気がするが、気のせいだろう。気のせいだと信じたい。
「もう少し、優しくしてくれないかな。」
ダメもとで頼んではみるが。
「今ので十分優しかったと思うけど?これ以上は無理かな。」
ジト目で俺を見つめてくる彼女。
どうやら、俺がまるで競技全体に興味を示さないことに若干不機嫌らしいな。
「そう言わずにさ。次からしっかり応援するから。」
なんか駄目男になった気分だ。本当は働く気がないくせに働くよ、とかいってるヒモみたいだな。こんなことでヒモについて理解を深めても意味はないんだけどね。
「ホントに?いつもそんなことばっかり言うからなー。」
あらら。信用されていませんな。日頃の行いは良いと自分では思っていたんだけど。あくまで自己評価に過ぎないけどね。
「悪いよ?自覚無いの?」
グサァって来たね、今の。流石に見過ごせないな。一日一善を地で行く俺に向かってなんたる暴言、許すまじ。
「どこまで自己評価が高いんだろう・・・?」
あきれた表情の彼女がそこにいた。
そんな話をしている内に綱引きの優勝が決まっていた。
うちのクラスの優勝であった。良かった。これであの恐ろしい学級委員からの制裁はないな。
「おい、いつまでも犬も食わない喧嘩をしてないで、次の競技に移るぞ。」
どこからかの祐司の言葉に、我に戻る彼女。
状況を把握したようで、顔が真っ赤だ。
「それじゃ、次行くか。」
「・・・うん。」
いつまでも顔の赤い彼女と連れ立って移動を始めた。
◇
次は縄跳びなんだが・・・。
これは跳んだ回数を比べてどこが最も多いか、というルールなので特に応援とかはいらないのであった。
「応援いるから。」
またもや彼女から叱責を受けてしまった。
「これは特にいらないと思うんだけど。」
「より多く跳べるように応援しないと。」
「それはいらないと思うぞ。これは見てるだけで良いんだって。」
この後、三分程俺は説得を続けた。ようやく、俺の説得に応じたのか、彼女は渋々とだが頷いて俺の隣に座り込む。
正直意外である。彼女がここまでお祭り好きだとは。全く想像していなかった。
俺はボケーと縄を跳んでいる様子を観察する。
あっ、引っかかった。やり直しか。
「暇。」
隣からボソッと聞こえてきた。
「そんなもんなんだって。縄跳びあるいは大縄とでもいうのかねえ。兎も角、これは参加していない人はあまり面白くないものなんだって。ま、その分参加人数も多めだけどな。」
どうだ、見たか。この俺のヤ〇チャばりの解説を。
「果てしなく微妙だよ。どうせならピ〇コロさんぐらいじゃなきゃ。」
繊細なガラスのハートが今にも砕けそうだ。
「そんなわけないでしょ。ガラスはガラスだとしても防弾ガラスの間違えだよ。」
「随分言うなあ。もうHPがゼロかもしれないだろ。」
「それはないと思う。ディス〇イアでカンストしたぐらいのHPはあるはずだから。」
「いちいち嫌味だなあ。」
ここで、時間が来たらしい。最高回数をそれぞれ報告しに行ってあとは結果待ちだな。
5分ほど待つと、結果が出たようだ。
三位だった。
2つの競技が終わって、教室でだらだらしていると、思わぬ知らせがやってきた。
卓球が既に終わったらしい。
「・・・マジ、で・・・?」
「ああ。いつの間にか始まって、いつの間にか終わっていた。あの存在感のなさは半端じゃない。」
報告に来た大貴の証言によるとそうらしい。
「で、結果は?」
「全員初戦敗退だ。」
「・・・ヤバくね?」
「その通りだ。」
1日目はそんな感じで終了した。
卓球に出た2人、ご愁傷様です。
次回は2日目。クイズ大会です。クイズを考えるために様々な資料とか見なきゃいけないので大変です。