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14-お食事券をプレゼント

 今回は前回の続きです。注意してお読みください。

 俺達は祐司に言われたとおりに調査を開始した。だが、万能生徒会長(笑)ですら見つけられなかった証拠を俺達がそんな簡単に見つけられるはずもなく・・・。時間だけがただ過ぎていくのであった。

「今、万能生徒会長の後に笑って入れただろう。全く、貶すのか褒めるのかどっちかにして欲しいものだよ。それじゃただの残念な人にしか見えないじゃないか。」

「いやいや。馬鹿にしただけだぞ。」

「なお悪いじゃないか。私が君に馬鹿にされる所以なんてどこにもないだろう。寧ろ君の方こそ馬鹿にされるような行動ばかりとっていると思うのだけど。」

「俺はちゃんと自覚してるから。自覚のない方が問題じゃないか?」

「くっ。正論を・・・。」

 いろいろな書類を見て、不審な点やら何やらを探してはいるが、あまりにも退屈なので瀬野をいじってみる。と言うか、こんなことでもして退屈を紛らわせていなければ発狂してしまうかもしれない。そういう理由で仕方なしに瀬野をいじらなければならないと自分に言い聞かす。

「君は本当に失礼な人だな。感心してしまうよ。」

「そんなに褒めんなよ。照れるぜ。」

「馬鹿話しているのはいいが、どうだ?」

 祐司は真面目にも書類から顔も上げずに口を開く。

 そんなに必死に探してもなかなか見つかるもんじゃないと思う。こういうのは多少不真面目にやるのがコツだ。探し物ってのは得てして探しているときに見つからないものだからな。それで、全然関係ないときにふと見つけたりするんだよな。あの時の何とも言えない気持ち。あれだけはホントにどうしようもないほどに虚しくなる。

「あまり根を詰め過ぎるなよ、祐司。意外とこういう時は思いがけないところから手がかりが見つかったりするものだ。少し休憩でも入れた方がいい。」

 大貴よ。部活もやっているのに、俺達に協力してくれるなんて良い奴だよ。本当に。友人の真価ってのはこういう時に現れるとはよく言ったものだ。その通りだとも。

「気にするな。どうせもう三年なんだ。部活なんてほどほどにして皆で馬鹿やってた方がいいのさ。」

「そうだな~。もうすぐ受験勉強とかしなきゃだもんな。」

「え?もしかして颯ってまだ受験勉強してなかったのか?」

「当たり前だろ。そんなの秋にやればいいってだれか言ってたし。」

 颯は全く気にしていなさげに漫画を読んでいる。コイツは早々に戦力外通告を受けたために、ここ数日間漫画ばっかり読んでいやがる。

「それ・・・本気か?」

 聞いた誰もが一瞬絶句し、何とも言えない表情になる。辛うじて、大貴がその真意を尋ねる。

「本気だぞ。何か問題でもあるのか?」

「大有りだ。お前そんなんじゃ高校に受からんぞ。特に成績だってそんなに良くないんだから春から必死に勉強しなきゃ大分拙かった。それなのにまだ勉強のべの字さえもなかったとは。」

 俺はあまりの出来事に驚きを通り越して呆れしか感じられない。コイツ高校に行く気あるのか・・・?このままじゃどう考えてもこの先自宅警備員ぐらいしか道はない。颯が何になりたいとか何になるとかはどうでもいいが、コイツの望む道を少しでも手伝ってやるのが友人ってもんだ。

「だからお前をこれからミッチリしごいてやろう。」

「いやハルの思考なんか読めないから、だからってのが良く分からない。それにそんなに勉強できない。」

 なにやら颯がほざいているが聞こえない。

「ほら、思い立ったが吉日というから今からやるぞ。」

「突然言われてもできないから。」

 俺は颯の鞄から取り出した教科書やら真っ白のノートをグイグと押し付けながら宣言する。

 颯はそれが不満なのか抵抗するが無視。

「マジで勉強しないと中学浪人とかわけのわからない生命体になるぞ。あるいは自宅警備員になるかだな。それが嫌だったら勉強するしかない。さあさあさあ。」

「わかったよ。一応高校には通いたいしな。」

 遂に抵抗を止め、受け入れる颯。でも攻撃を受け入れたわけではないらしい。反撃してきやがった。

「ちょっ、鉛筆の先を突き刺そうったってそうはいかないぜ。」

 最早目的を忘れて乱闘になりそうなところが大貴の言葉によって救われる。

「今から始めて間に合うのか?」

「当たり前田のクラッカー。俺が受験が終わるまでしっかり見てやる。そうすれば多分大丈夫のはずだとも。」 

「多分って・・・。こういう時は『絶対』じゃない?」

 万能生徒会長(笑) に いちゃもん を つけられた。

「絶対と言う言葉は絶対にないのだ、とか言ってみる。てか、流石に俺でも絶対の保障は出来ん。保障の対象外ってやつだ。成績ならあげてやれるけどな。」

「確かに。受験に於いて絶対はないな。」

 おおー。なんだか含蓄のある言葉を大貴の口から聞くことができるとは。長生きもしてみるもんですな~。

「たかが十五年如きで何を言っているんだ、君は・・・。」

「些細なことをいちいち気にしてたら老けるぞ。ただでさえ一部の危ない人間からはその年齢じゃおばさんって言われるのによー。」

「そんなのはごく一部だろう。私はまだまだ若い。心配なんて必要ないよ。」

「原始人達って14、15歳で子供産んで30歳ぐらいで死んでたって聞くけどね。」

「君は余計なことばかり言う。大体私たちはもう原始人とは違って現代人じゃないか。だとすれば、それは当てはまらないと思う。」

 相変わらずからかうと面白い瀬野と話していると、颯と大貴が騒ぎ始める。

「何だ?」

「遂に発見してしまったよ、悪事の証拠って奴をな。」

 何だか妙なポーズを決めながら颯は自慢げに言う。どうせならガッツポーズにしろよ。そういえば、日本じゃガッツポーズだけど英語圏ではビクトリーポーズっていうらしいな。

「で、証拠って一体なんだ?」

 祐司は一人真面目にやっていたので非常に気になったらしく、いの一番に訊く。

 そりゃ、自分が見つけられなかったなら余計に気になる。

「へへ、聞いて驚くなよ。」

「御託はいいから簡潔に30字以内でまとめろ。」

「それは無理だ。大貴、頼んだ。」

 あっさりと颯はまとめることは諦め、大貴にパスする。

 諦めるの早すぎ。確かに『下手の考え休むに似たり』とか言うけどね、『諦めは愚者の結論』とも言うのですよ。もうちょっとは頭を使って欲しい。日頃から脳を使ってないと腐るぞ。

「不本意だが俺が話すことにしよう。颯例のブツを持って来い。」

 すると颯はとある領収書を持ってきた。

「これが一体何なんだ?」

 祐司も疑問に思ったらしい。同感だ。

「よく見てみろ。」

「一体何なんだ?」

 俺達は領収書をじっくり見てみると、不審な点が浮かび上がってきた。

「おいおい、こりゃ・・・。」

 絶句するしかなかった。これは本当に巧妙だ。そう簡単には気が付かない。

「なあ凄いだろ。まさか数字を改竄するなんてな。」

 そうなのだ。数字をいじっている。1を4にしたり、とパッと見では絶対に気が付かない。考えた奴は純粋に尊敬する。まさかこんな方法があったとは。ボールペンで書かれていたのが災いしたな。

「で、結局誰の仕業なんだ?」

「うん、ここまでわかったから後は私がやっておく。後で報告を楽しみにしていてくれ。」





 ◇





「これが事の真相だ。全然大した事件じゃないだろ?」

「結構すごい事件だと思うけど・・・。中学生で裏帳簿とかどうなの?」

「些細なことだろ。解決したしな。終わりよければすべてよし、だ。」

 彼女はしきりに首を傾げているが、それより疲れた。長く話すってのは疲れるな。喉も乾くし。講演とかで何時間も話す人を初めて尊敬したよ。

「それで、真犯人って誰だったの?」

「ん?ああ、それは会計だよ。オチも読め過ぎてたしありきたりだし、しょぼい事件だったよ、本当に。」

 生徒会会計が犯人とかありきたりすぎる結末にはあの時全員で大爆笑だったな。アイツの青ざめた顔も今でも笑いの種と言える。まさかの依頼人本人が犯人とかだったらもっと面白かったんだがな。流石にそれはなかった。残念だ。

「結構すごい体験してるんだね。それじゃ帰るかな。」

「送ってくぞ。」

「ありがと。」

 あまりに話が長いせいで彼女は結局俺の家に来たのだった。ついでに夕食まで食べた。話し終わったのは既に9時だったのだ。

 俺は彼女を家に送っていく。

「もうすぐ歓迎祭か・・・。準備も大体完了したし、楽しみだな。」

「そうね。でもあんなこと成功するのかな?」

「悪巧みってのは結果じゃなくて過程を楽しむものだからな。成功した方がいいが、成功しなくても別に構いはしない。あいつらもそう考えてる。だから心配すんな。」

「考えてても仕方ないしね。じゃあね。」

「ああ。」


 そんな感じで俺達は全員歓迎祭に期待を膨らませるのであった。


 最近忙しくて執筆が大変です。でも一週間に最低一話のペースは守りますので。ハルヒの最新刊とか色々読んだり学校の色々とか大変です。愚痴はこの辺にしときます 

 次回は今度こそ歓迎祭の予定です。長かった。予想外の過去編とか・・・何でそんな流れになったんだろう・・・?

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