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ガランドゥ  作者: ヤマト
1/1

死者間シャ



生者でありながら、死者である。


死人に口なしと言うが、『間シャ』は

死の境を乗り越えた、超人。


はなす話す、この世の秘密を。

支配し、はべり、渡って、世界を掌握する。



悪人の多いなかで、唯一善人である彼は、

今日も憂う。クソッたれた世界の裏側を。











『ガランドゥ』











「それで、今日の依頼は?」


裏路地、ひと通りのない場所で依頼人が、紙を手渡す。フードを被って顔の見えないそれは、死者でも、生者でもない。間の者、『間シャ』である。



「夢社通路の地下9階、少女監禁、報酬は………」


「あぁ、報酬はいいよ。」


胸糞わるい事件の絶えないなかで、生きる気力を失っていた俺は、救いこそが唯一の趣味だ。

それに、金は生者のときにたんまりと得ていたようで、困っていない。


「お好み焼き食いてぇ。」


終わったら、食いに行こう。

唯一の楽しみだ。


足で地面を叩く。


「ふーん。」


夢者通路、西東方向、9km。

地下には確かに多くの生体反応。


俺は感覚が常人とは異なる。


「さぁ、行くか。」


俺は、表通路をひた歩く。

急いだって仕方ない。死ぬものは死ぬ。

ならば、ゆるりと『間シャ』らしく行こう。















わたしは、小学校から帰る途中、

知らない人に連れていかれそうになった。


でも、テレビで出てくるパーちゃんが助けに来てくれて、私はいま家でゆっくりとご飯を食べている。

美味しくて、美味しくて、幸せだ。







「そう、しあわせ、しあわせだねぇ。」


涎を垂らして、大きな黒縁の眼鏡をかけた男は、

眠った少女を観察する。


君の夢あいしてる。

ゆめ、ゆめ、愛してる。

だって、僕の見ているこの世界は夢なんだから。


少女の夢あいしてる。

平和な世界、愛した世界。

続きの世界。


「みんな、良いところに送ってあげるね。」


「良いところ?俺を送ってくれよ。」


誰?気配がしなかった。

急に?現れた。


「誰だ?」


「俺は、お前と同じ『間シャ』。お前を救いに来たぜ。」


「救い……に?」


「あぁ、てめぇは自分のやってることが分かってねぇ。だから、それを理解させるためにお前をボコる。」


「ボコ………やめ、やめてぇ!」


男は酷く怯えたように、頭を抱えた。

すると、唐突に眠気が襲ってきた。


(これが、こいつの能力が!?)


俺とは相性が悪いな。だが、


「生憎、根性比べなら負けたことねぇ。」


俺は口の中に手を突っ込み、下顎を掴んで、

そのまま引き下げた。


すると、下顎は裂け、地面に引き下がり、ブチっと

ちぎれて、目が覚めた。


「残念、お目目パッチリだぜぇ。」


俺は、一足飛びで男の元に駆け、頭を掴む。


『反転』


一瞬だけ生者に引き戻す。

そして、


『ガランドゥ』


死の気を俺の中にとり込む。


「あぁ……あぁ……!?」


それは、暗い霧となって俺の体内に取り込まれる。


「ふぅ、ごちそうさま。」


俺は、何とか正気を保ち、汗を拭う。

そして、死の気の正体を知る。


「あぁ、成程な。」


こいつが、少女を監禁していた理由。

それは、もう世にいない娘を、助けるためだったんだな。











「娘を、返してください!!!!」


「うるさい!!」


借金を背負っていた男は、シングルファザーで懸命に娘を育てていた。


「お父さん!!!」


「美奈!!!」


彼は借金取りに掴まり、何とか娘を取り返そうとした。


「いい加減、離しやがれ!!!」


ビール瓶で殴られて昏倒、そして生死を迷った後、『間シャ』となった。


「娘、を、かえ、して。」


彷徨い歩き、その得た能力から、娘の場所に辿り着く。本当なら見なくてよかった光景を、目にしてしまう。


「あ、ううあぁあ…………」


そうして、彼は壊れた。


「そうだ、夢の中。夢の中だ。」


夢の中なら幸せでいられる。

娘がいた時も、苦労をさせたときも、夢の中でならたくさんおいしいものを食べさせて、綺麗なお洋服を着て、お母さんも戻ってきて、幸せな時間を過ごせる。


「全部、夢であれば良い。」


心を閉ざし、彷徨い歩き、今に至る。

死の気で、少女たちを永遠の夢の中に閉じ込める前に、止められてよかった。


「さて、と。」


お好み焼き、食いに行くかぁ。

しかし、死の気を喰らいすぎた。


目眩、が。


パタッと、倒れる時、

誰かに支えられているような気がした。


想威(おもい) (れん)くん。やっと見つけた。」


若い女性、何故かその人は懐かしいような気がした。




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