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26、ダンジョンとは

 ダンジョンとは、自然発生的に出現する現象である。

 その内部ではモンスターと呼ばれる存在が出現することが知られ、放置すればやがて人界を侵食しはじめる。

 それに対抗すべく誕生したのが冒険者である。冒険者たちは〈ギルド〉による仲立ちを受けながら、これまでの歴史でダンジョンを攻略してきた。

 〈ギルド〉に現存する文献を紐解くと、初期のダンジョンは第3層までしか存在しなかったことが知られている。

 しかし、ダンジョン攻略が活発になって間もないころ、第3層の深部において冒険者たちの大規模連隊が全滅する事故が起こった。冒険者たちの知見も乏しいころ、当時の最深部を攻略してダンジョンの最奥部にあるものを確かめるべく組織されたのが連隊だった。

 そんな彼らが、ちょうど〈屍者の国〉事件によって教育理事率いる遠征部隊がそうであったように、ことごとく死亡してしまった。

 原因は、当時新種モンスターとして騒がれたキノコ型のモンスターだった。型、と形容したのはこのモンスターの正体はキノコそのものではなく、それに寄生する胞子型の極小モンスター群だったからだ。

 第3層に突入した冒険者連隊は、徐々に胞子の毒素にやられていき、気付いたころには手足がしびれ、撤退することすらできなくなっていた。

 このモンスターの厄介であった点は、その正体が判明するまで冒険者たちだけでなくその救助部隊すらもその餌食になってしまったことだ。

 最終的には火炎魔法を操る魔法師を多数編成した部隊が、空気中の胞子を焼き殺しながら攻略することで、冒険者たちは第3層を克服した。

 しかし彼らは驚愕した。第3層を進んだ先には第4層と呼ぶべき更なる深部が現れたからだ。〈ギルド〉によって収集された情報が誤りであったのか。むろんその可能性もあったが、似たような災害が複数回起こったとき、彼らは悟った。

 ダンジョンが生育していることに。

 研究が進むにつれ、ダンジョンが冒険者たちの死体を喰って成長しているらしいことが明らかになった。

 これが何を意味するのかと言えば、ダンジョンと冒険者のいたちごっこだ。

 冒険者たちはダンジョンの最深部を攻略するために大規模部隊を組む。しかし、ダンジョンの初見攻略は失敗を前提として複数回挑むことが多い。そのため、攻略を終えるころには莫大な犠牲を伴い、大量のえさを得たダンジョンは新たなる階層を産み落とす。

 この終わりのないスパイラルこそ〈ギルド〉が現在のような一大組織に成長した最大の要因だったのだが・・・

 〈屍者の国〉が目をつけたのはそこだった。

 〈屍者の国〉はイアン・エンバーマー率いる〈屍者〉たちの集団。〈ギルド〉を圧倒するほどの実力を持ち、ダンジョンを住処とする前例のない組織だった。彼らにとってはダンジョンこそが領土そのもの。

 彼らにとって第9層を占領することは序章にすぎなかったのだ。彼らの真の狙いは〈ギルド〉や冒険者を煽ってダンジョンに誘い入れること。

 まんまとおびきよせられた餌たちは、イアンたちによってダンジョンへの供物として捧げられ、第11層へと生まれ変わったのだ。


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