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第1話「退屈な日々に」

 日本・東京都――キラギラとしたビル群が聳え立つ大都市、街中の人々は忙しく行き交っていた。


 何一つ変わりない日常、誰もがこの平和な街で日々を過ごしていた。


 ――そう、数年前までは。


 (ビーッ!ビーッ!)


 街中に警報が鳴り響く、それを聞いた人々はパニックになりながら逃げ惑った。段々、辺りの空が暗く灰色に染まってゆく。


 ――刹那、空間が歪み、謎の裂け目が現れた。


「ウガァァァァ……!」


 裂け目から現れたのは、影をまとったようなモヤが掛かる漆黒の異型の怪物。


 身長が2~3mはあろうかという大きさで、その姿は人のようにも見える。しかし、背中から生える多数の手が恐怖を駆り立てた。


 怪物は出てきた直後に暴れ出し、周りの車や建物を次々と破壊した。街は途端に恐怖に包まれた。


 これが――「魔法災害(カラミティ)」である。日本各地の都市に突如現れるようになった裂け目から、魔物や魔女などが出現する魔法を使う存在のことを指す。それらが市民を無差別に襲う事件が多発しているのだ。


 ある程度周りを荒らした怪物は、ある一点を見つめた。目線の先には、逃げ遅れた少女がいた。どうやら慌てて、足をくじいてしまったようだ。


 怪物は、少女の元にゆっくりと歩き始める。


「やめて……来ないで……!」


 少女は涙目になりながら、痛む足を必死に引きずって逃げようとした。しかし、怪物はすでに彼女の目と鼻の先にまで近づいていた。


「ぅぅぅぅぅ……グァァァァァ!!!」


「いや……助けて……! いやぁぁぁぁぁ!」


 怪物の鋭い爪が高く振り上がった時、少女は死を覚悟し目を瞑った。


「っぅ……!」


「……」


 ――だが


「あれ……?」


 いつまで経っても痛みは来ない。恐る恐る目を開けると、そこには――


「……君、大丈夫?」


 ホワイトブロンドの髪に、赤とピンクを基調とした鮮やかなフリルのついた衣装を纏った少女がいた。まさに、「魔法少女」というような佇まいであった。


 少女はその魔法少女に抱き抱えられ、宙を舞っていた。


「お姉さん……誰……?」


「私は、魔法少女『ビリーヴ』あなたを助けに来たわ」


「ビリーヴさん……私怖いよ……」


「安心して、私があの怪物から守ってあげるから!」


 ビリーヴは遠くの物陰に少女を隠すと、振り返って笑顔を見せた。


「しばらくここに隠れてて! すぐに戻ってくるから!」


 そう言うと、ビリーヴは地面を蹴って空へ舞った。そして魔方陣からステッキを取り出すと、それを怪物へ向けた。


「この街を……人々を傷つける者は私が許さないわ! 覚悟しなさい!」


「ァァァァァ……!」


 怪物は大きな唸り声を上げ、多数の手を器用に使い、ビルを伝ってビリーヴに向かって飛びかかった。


 しかし、ビリーヴは慌てずに目を閉じて精神を集中させる。


「……ミコー・アウローラ(輝く夜明け)!」


 ビリーヴが呪文を唱えると、杖から眩い閃光が走る。


「グァァァァッ!?」


 多腕の怪物は多数の魔弾に包まれ、苦しみの叫び声を上げて地面に叩きつけられた。砂塵が舞い、怪物を包みこんだ。砂煙が晴れる。怪物はまだ動いているが、確実にダメージを負っていた。


 「ヴググググググッ……」


 「意外にも頑丈ね? でも……これで終いよ!」


 ビリーヴは杖を両手でしっかり構えると、魔力を杖の先端に集中させる。


 「悪を滅する正義の魔法よ……今我に聖戦を勝利し力を与えよ!」


 「アルス・マグナ(偉大なる魔法)!」


 一点に圧縮された魔力が、すべてを消し去るレーザーとなって怪物へ発射された。


 「ギャァァァァァ!!!」


 ――光に包まれた怪物は、もうそこにはいなかった。


 魔物型カラミティを制圧したビリーヴは、物陰に隠れている少女の元へ向かった。


 「おまたせ! あの怪物は私がやっつけたよ! もう安心して!」


 「本当……? ありがとうビリーヴさん!」


 「あ、そういえば足をケガしてたんだっけ。歩ける?」


 「うん……! 平気だよ!」


 怯えきっていた少女は、すっかり笑顔になり、ビリーヴに輝かしい笑顔を見せた。その笑顔を見て、ビリーヴも思わず笑みがこぼれる。


 「さ、早くお家に帰って。まだ危険な魔物がいるかもしれないから」


 「わかった! ありがとうビリーヴさん! 気をつけてね〜!」


 少女は手をブンブン振ってその場を去った。


 「ふぅ〜……これで一件落着かな?」


 ビリーヴもその場を去ろうとした、その時――


 「……待ちなさい!」


 凛とした声が、ビリーヴを制止した。


 「……ま、そう簡単にいかないよね」


 ――ビリーヴの眼の前に、新たな刺客が顔をのぞかせた。

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