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冷たい息吹
ハア…ハア…
暗い、冷たい、深い地の底から聞こえる息遣い。
か細く、弱いが途切れることなく続いている。
誰にも気がつかれることなく。
誰も知らない真っ暗な世界で。
誰かを待っている。
ずっとずっと待っている。
数十年、誰も足を踏み入れられない広大な暗闇の中で感情が混ざり合う。
「あの扉さえ開けば」
「誰かが来てくれれば」
今の自分にどれほどのことができるのか。
ここでは見れない景色が見たい。
どこまでも続く空、生命の息吹。
この世界にはないもので外は溢れている。