透明惑星
遠い過去と近い未来かもしれないお話。
千年生き続ければ、ステルスな透明惑星でも命に溢れた『地球』になれるという銀河伝説がある。
蒼い地球に憧れている名もなき透明惑星が抱く夢は、千の時を生き抜いて地球として誕生すること。
現在の地球はかつて千年前、透明惑星だったという。
当時の透明惑星が見詰める先には、蒼い蒼い惑星が銀河で浮かんでいたらしい。
生命がまだ生まれていない時だったので、その蒼い惑星には呼び名は存在しなかったという。
〈蒼い惑星、私は彩りに満たされたあなたのように輝きたい。
どうすれば、そんな風に蒼く輝けるのか……!〉
透明惑星を静かに見詰め、蒼い惑星は切なそうに応えた。
蒼い声で。
〈私は透明感に溢れたあなたの方が羨ましい。
濁りのない姿は、遥か遠くを見ることが出来る……〉
〈彩りがなくつまらない存在なのに?〉
〈透明ほど、美しい輝きはない……。
けれど、どうしても彩りが欲しいのならば千の時を生きると良い。
透明な惑星は千年生きると色が着く〉
聞けば透明なモノは、鮮やかな色彩を宿す事が出来ると云うではないか。
蒼い惑星になれば、あらゆる生命を担うことになるらしい。
しかし同じ蒼い惑星は同じ時代に二つも要らない。
透明に色が着くとすれば、今の蒼い惑星が万一滅んでしまう時。
透明な惑星は悩んでいる。
蒼い惑星に生まれたいが、今ある蒼い惑星には滅んでほしくない……このまま透明な惑星でいても良いのかも。
だけど、もし……もし、蒼い惑星、地球が滅びる日が来たとき生命体が困らないように彩りを宿す準備をしておこうとも考えている。
〈……今、千年前彩りが着く前の夢を見ていたような気がする〉
蒼い惑星が思い描いた遠い日の透明惑星の輝きは、銀河のレンズに廻り続けている。
〈あれ……?
何故私は『地球』という名を知っているのか?〉
蒼い惑星が千年前の物語を読んでいるのか、それとも透明な惑星が千年先にある未来を描いているのか。
どちらが真実なのかは、銀河の空間さえも応えられない。
〈千年を生き抜けば、応えが分かるのだろうか……〉
惑星の声は、銀河の果てに溢れ堕ちた。




