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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。

犬神

掲載日:2024/07/09

 僕はコロ、拓也のそばにいつもいる柴犬だ。拓也はいつも優しくて、病気で苦しんでいる時も僕を抱きしめてくれる。僕は彼を守るためにここにいるんだ。


 ある日、拓也のお母さんが不思議な本を手に入れた。本には「犬神」という言葉が書かれていて、お母さんは熱心にその本を読んでいたんだ。たまに「拓也の病気を治すために…」とか「これしかないのよ…」って言ってた気がする。詳しいことはよくわからないけど僕は拓也の病気が治ってずっと一緒にお散歩ができたらいいなって思ってたんだ。


 日が経つにつれ、拓也のお母さんの行動は少しずつ変わっていった。お母さんは夜な夜なその本を読み、何かを計画している様子だった。僕は拓也の病気を必死に治そうと考えているお母さんが大好きだった。ある夜、拓也のお母さんは涙を流しながら私に謝るのを見て驚いた。なんのことかよくわからないけれどお母さんは何度も僕に「ごめんね…もうこれにすがるしかないのよ…」って言ってた気がする。


 そしてその夜、拓也のお母さんは僕を連れて家を抜け出した。お母さんの目は決意に満ちていたが、その裏には深い悲しみが見え隠れしていた。僕たちは森の奥にある小さな神社に辿り着いた。今日はご飯も食べてないからお腹が空いていた。でも僕は拓也のためなら何でもするよ。そう意気込んでいたんだ。けれども気づいたら体が動かなくなって僕はすっかり寝てしまっていた。


 僕はそのとき変な夢を見た。目の前に大好きなドッグフードがあるんだけど全然動けなくて食べられない夢。お腹も空いたしどうにか食べようとしてた。そしたら急に体が軽くなってドッグフードに飛びつくことができたんだ。


 夢から覚めると僕は拓也のそばにいた。病院に一緒に行くと医者からは病気が完治している、信じられないと呟かれた。拓也もお母さんも僕もみんなでこれ以上ないってくらい喜んだんだ。


 それから僕は拓也から片時も離れずに一緒に過ごしている。拓也の病気が治って本当に嬉しい。これでずっと一緒にお散歩できる。お母さんもたまに疲れた顔をしているけれども拓也が元気になって嬉しそうだった。


 ある夜お母さんが「犬神」と書かれた本を持って家の中を歩いていた。毎週火曜になるとゴミを捨てているからあの本も捨てるのかなと思って見ていた。お母さんは本を取り落とし、その場にしゃがみ込んで静かに泣いていた。


「ごめんね…コロ…本当に、ごめんなさい…」


 お母さん何を言ってるの?僕はここにいるじゃないか。なんでそんなに泣いているの…?意味がわからないよ…


 床に転がった本が開いたページにはこう書かれていた。


 犬を頭部のみ出して生き埋めにする、または支柱につなぐ。その前に食物を見せて置き餓死しようとするときにその頸を切る。頭部は飛んで食物に食いつくので、これを焼いて骨とし器に入れて祀る。


 すると永久にその人に憑き、願望を成就させる。

 

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