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水の蜂  作者: 寺音
第六章
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第81話 むかしむかしのお話

 それは、むかしむかしのお話。

 世界が創られ、そこにいくつかの『国』が生まれ始めた時の出来事。


 大地や風、火に水、それぞれを司る神々は世界にできた国へ祝福を授けた。

 肥沃な大地が続くように。

 柔らかな風が吹くように。

 闇を照らし営みを助ける火が灯るように。

 そして、清らかな水が絶えることなく降り注ぐようにと。

 それぞれの神の祝福を受け、国は多くの生命を育んでいくはずだった。


 ある時、火の神が水の神に()()()()悪戯をした。水の神を偽りの場所へ導き、祝福を授ける国を違えさせたのである。元々水の神のことを快く思っていなかったのか、他に理由があったのか、神々のこと故それは定かではない。


 ただその悪戯によって、ある国は水の神の祝福を受けることができなかったのである。

 その国に雨が降ることはなく、大地は枯れて乾いた風が吹き、日の光ばかりが強く、全ての命を燃やし尽くさんばかりに降り注いだ。


 このままでは、全ての生命が滅びてしまう。水の神は悲しみ、その国に生きる命を救わねばと思った。

 しかし、祝福は世界を創るその時でしか授けることができない。一度動き始めた国は、神の手を離れて歩んでいくもの。神が国に直接介入することは理に反してしまう。


 そこで水の神はある生命の種を一滴、国に落とした。その種族は水を生み出し、数多の命へ平等に分け与えた。水の神の代わりとして。


 彼女らの使命は、渇いた国に生きる数多の生命を救うこと。

 その為に()を集め、いつかこの国に雨を降らせること。


 心を持たぬ神の使者。

 人々は彼女らを、水の蜂と呼んだ。

六章完結となります。

次回からいよいよ最終章です。

物語の終わりを見届けていただければ幸いです。

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