第2片
デイドリームはウェザーヒーローズ本部についた。高いビルにただただ圧倒される。すると、屋上に髪の長い1人の女性が立っていた。
デイドリームは「自殺でもするのかな」と思ってしまった。
残念ながらその予想は当たってしまった。女性が飛び降りたのだ。女性は無抵抗で頭から落ちていく。
デイドリームは、女性が死んでしまわぬようにとっさに想像してしまった。
[ヒーローが飛び降りた女性を抱きとめる]
この情景を必死に思い浮かべた。しかし、やはり想像はうまくいかず想像と違う、年寄りのヒーローが来た。案の定、女性を抱きとめることが出来なかった。
女性は、デイドリームが色々考えている間にも落下し続ける。
デイドリームは「もうダメだ」と思った。その瞬間、女性の落下点に大きな花が咲いた。女性はその花をクッションにして、生き延びた。
その大きな花はおそらく女性の能力だろう。「自分が飛び降りて、周囲の人を驚かせたい」と女性は思ったのだろう。言わば、いたずらだったことに気付いたデイドリームは、少し腹が立った。
すると、2人の警備員が駆け寄ってきた。片方は新人警備員のようで、もう片方はベテラン警備員のようだった。そして、ベテラン警備員がこう叫んだ。
「今、能力を使っただろう!」
デイドリームは、ベテラン警備員にかかわらず、面識のない人が自分の能力を知っていることに目を見張った。
「デイドリーム・ココ」
デイドリームは、さらに名前まで知っていたことに度肝を抜かれた。
「君をこんな形で迎えたくはなかったが、ひとまず本部まで来てもらおうか……」
最後は口ごもった言い方でベテラン警備員は言った。
デイドリームは2人の警備員に腕を捉まれて、引っ張られた。無駄な抵抗はせずに歩く。想像して逃れることも出来たかもしれないが、同じようにそれが発覚すると罪が重くなるだけだと思い、止めて置いた。
ウェザーヒーローズ本部の大きなドアの前まできた。デイドリームは試験を受けられないことを確信した。「裁判になるかもしれない」とまで思った。サイレントタウンのみんなにどんな顔をすれば良いか……そんなことまで考えていた時、女性が叫んだ。
「ちょっと待って下さい!」
警備員2人が、ほぼ同時に振り返る。
「何かありますか?ローズ・フラワールさん」
と新人警備員は言った。
女性は、ローズ・フラワールという名前らしい。
ローズは手を広げた。
「私……私が、デイドリームをからかったんです。連れて行くなら私を連れて行って下さい!」
周囲がこちらを眺入るほど、大きな声で言った。新人警備員は、それで少し動揺したのか、
「分かりました。もういいです。今後、そのような悪ふざけはやめて下さいね」
と言った。そして、ベテラン警備員の方を窺い、頷くと、本部へ戻って行った。
ベテラン警備員は、
「頼むよ、ローズ」
と言った。そして、ベテラン警備員も踵を返して、戻って行った。
デイドリームは、(からかわれたとはいえ、能力を使ってしまった僕を助けてくれたのだからお礼を言わないといけないな)と思い周囲を見回したが、ローズの姿は見当たらなかった。
デイドリームは仕方なく、受付に並び快晴の空を見上げた。
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