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とんだ珍客
宜しく御願い申し上げます!
まさに、まるで異星人とでも言いたくなる不気味さ、得体のしれなさとを、醸し出す男なのである。 無論、火星人などというものを目にした経験はまるでないのであるから、果たして火星人というものがこのように、ひとと瓜二つな姿形をしているのかどうかも、知るよしもないのであったが。 ラジオを点けるという提案も結局、きっぱりと断られ、いよいよ手持ち無沙汰になった俺は、いよいよ運転に集中するぐらいしかすることがなくなってしまった。どうも、世間話など切り出しにくい雰囲気が車内に漂っているような気がしてならないのである。 ふいに火星人の方から口を開いてきたのである。 それで俺は最初、びくと背骨を震(ふ?)わせてしまったのである。「わたしは、今から十一年後の未来よりやって参りました」 相変わらず低い声でそう言い始めたのである。
有難う御座いました!