とんだ珍客
宜しく!
「なるほど。確かに、こちらとしたって、隠しておく意味も大してなさそうではあるのだ。いずれ伝えなくてはならないことでありますし、ね。では…率直に申してしまいましょう。」 聞いて俺は、ハンドルを握る手にさらに力を籠めた。そうしないと、掌に浮いた汗で、ステアリング・ホイールが滑りはしないかと心配になる程緊張しているのだ。 元来俺は、小心者の部類に入るのである。 火星人男が静かに言った。「いいか、わたしは、な。十五年後の未来からタイムマシンを使ってやって来た君自身だ。どうだ、驚いたかい?」 言い終えてから俺の反応をを窺うように、ヘッドレストの真後ろから見詰めているのを知っていた。知っていたが、敢えてその視線は無視をした。 眼が合ってしまうと言いくるめられてしまいそうで怖かったのだ。 勿論、俺は彼の言う与太話を信じる気にはなれなかった。 大方、無線乗車を正当化するための手の込んだ悪戯のつもりか、或いは、これから行おうというタクシー強盗の成功率を上げるための恐怖心を植え付けるための前振りの作戦の類なのか、そんなところであろうとタカを括ってもいた。
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