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翌日、私はサーラたちと共に馬車に乗り込んだ。


「サーラ、エリザベート嬢。この国ともお別れだ。

エリザベート嬢は兎も角、サーラは帝国の皇妃になるのだから帰ることはできない。」


アルベルトの言葉に私は頷く。


「アル様、わたくしは大丈夫ですわ。だって、大好きなリズがいるもの。」

「サーラ様。」

「エリザベート嬢、一緒に来てくれて助かる。」

「勿体ないお言葉です。誠心誠意お仕え…」

「リズ、私は貴女に仕えてほしくて呼んだのではないからね?」

「ふふ。分かってるわ、サーラ。」

「うん!」

「エリザベート嬢は砕けた口調で話すこともあるんだね?」


そうアルベルトが問いかける。


「私的な場ではそうするように戻した…というほうが適切ですね。

幼い頃は治癒魔法を掛ける機会が多くずっと一緒におりましたから。」

「ジュードお兄様と婚約して、更にわたくしも婚約してからは立場を弁えます。ってずっと他人行儀だったから、わたくし寂しくて…」

「サーラ、これからは側にいるし、口調も戻す予定は…ないわ!」

「(今の間は…?まあ、ヴィルヘルム様の婚約したらまた家臣ですから…とか言って敬語に戻しそうだけど。)ふふ、ありがとう。」


和やかなムードで帝国との国境の街についた。


「エリザベート嬢、少しいいかな?」

「ヴィルヘルム様、どうされました?」


夕食を終えた後、私はヴィルヘルムに声を掛けられた。


「少し、話しておきたいことがある。」

「…分かりました。」


部屋を移動しソファに腰掛けるとヴィルヘルムは神妙な顔つきになる。


「本当はこんなところであの時の続きを話したくはなかったけど、そうも言ってられなくなってしまったから聞いてほしい。」

「は、はい!」

「エリザベート=ランドン嬢、()()()君のことが好きだ。」

「昔から…?」

「俺と君はアルベルトとサーラ様が婚約する少し前に会っていたんだ。」

「えっ!?」


………


(12年程前)


「ふー。今日もサーラに魔法の訓練をしたけれど、本当にわたくしでいいのかな…」


当時のエリザベートは6歳なのに、王女サーラの魔法指導を仰せつかった。従姉妹ということもあるし、母親同士の勧めもあった。

でも彼女は魔法のコントロールを苦手としていた。

サーラの好意で城の庭園を散歩しているときだった。


「ご令嬢、何かお困りですか?」

「ふえっ!?わ、わたくしですか!?」

「ここにご令嬢は貴女しかおりませんよ。」


そこには彼女よりも少し年上の令息がいた。


「貴方様は?」

「僕はしがない貴族令息です。それよりお困りのご様子ですね。」

「…ええ。わたくしとある御方に魔法の指導をしているのですが、本当にわたくしでいいのか…。

親族で、同じ年だから選ばれただけでしょうし…。」

「そうでしょうか?貴女の纏っている魔力は穏やかで美しいですよ?」

「う、美しい!?

そ、そんなことより魔力が視えるのですか!?」

「このメガネのお陰ですがね。」

「魔法アイテム…ということですか?」

「ああ。」

「(帝国の魔法アイテムだと思うけど、この御方はいったい…あっ、サーラの婚約者になるかもしれないのが帝国の皇太子殿下だったはず…。関係者かな?)」

「君はその指導をしていて何に困っているのですか?」

「わたくしはコントロールが苦手で、いつ相手をけがさせてしまうか心配で、本気を出すことを躊躇ってしまうのです…。」


彼女は彼に自身の悩みを打ち明けた。

会ったばかりの人に悩みを口にするとは思わなかった彼女は自身の発言に驚いた。


「なるほど。魔力が多すぎる故の弊害かな…?

そうだ!これを君に。」


すると彼は彼女に硝子玉を差し出した。


「硝子玉…?」

「これには余分な魔力を吸収する効果があるんだよ?これを持って祈りを捧げると魔法が上手くいくんだ。」

「貰ってしまっても宜しいのですか?」

「ああ。僕はコントロールを身に着けたからね。」

「ありがとうございます!」

「君、名前は…っと…ごめんね。自分名乗らないのに名前を聞こうとしてしまった。

では、僕はこれで。」

「は、はい。ありがとうございます。」


名前も聞かずにお互いに別れたがその後、彼は何度かエリザベートを城内で見かけていた。


「声、かけなくていいのか?ヴィル。」

「アルベルト、いいんだ。俺は彼女に嘘をついたしね。」

「あの硝子玉はお前の御守りだろ?それを渡すくらいだ、あの子のこと気に入っているのだろう?」

「彼女の魔力は綺麗だから、気になった。それだけだ。」

「あっそ。」


ヴィルヘルムが渡したのはただの硝子玉だった。

彼もまた今よりも幼い頃に師匠と呼べる人から同じ様に言われて渡されたのだった。

アルベルトは普段と違うヴィルヘルムに初恋か?と思ったが口に出すのはやめた。


………


「俺は12年ほど前に君に硝子玉を渡した男なんだ。」

「それって…」


私はポケットから硝子玉を出した。


「まだ持っていたんだね。」

「あの時に会ったのがヴィルヘルム様…?」

「ああ。」

「お姿が違っていたのでわかりませんでした…。」

「それは、あのメガネ。魔法を視る以外にも相手の認識を阻害する効果もあるんだよ。」

「そうだったのですね。」

「当時はアルベルトの側近としていろいろやる事があったから、王国にいるときには正体を隠していたんだ。」

「ヴィルヘルム様、あの時にわたくしにこれをくださってありがとうございます。」

「ただの硝子だよ?君に言ったような効果は…」

「ふふ。わたくし家に帰ってから気がついていたんです。硝子だって…。それでも、貴方様に不安な気持ちを吐露してから余計な力が抜けたんです。」

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