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(エリザベートが王国を出た後)

フィオーナ=パーラー。彼女は伯爵家の令嬢でエリザベートの後継者である。

彼女は今日初めてジュードと顔を合わせる。


「ジュード王太子殿下にご挨拶申し上げます。

フィオーナ=パーラーにございます。」

「パーラー嬢、はじめまして。よく来た。

座ってくれ。」

「失礼いたします。」


彼女が席に座るとジュードは微笑む。


「パーラー嬢はエリザ…ランドン嬢の後継者としてがんばってくれいるようだね。感謝しているよ。」

「勿体ないお言葉です。」

「今日、会いに来てくれたということは、話を受けてくれるということでいいのかい?」


話とは婚約の話である。


「お受けしたいと思っております。

わたくしには勿体ないお話ですが、ランドン侯爵閣下からエリザベート様のお気持ちを聞きましたの。」

「ランドン嬢の気持ち?」

「はい。エリザベート様は元々わたくしに期待をしてくださっていたのです。

わたくしは小さい頃から弟妹に治癒魔法を使っておりました。そして薬草やハーブも屋敷で育てたりしておりました。

知識や経験が十二分にあったからわたくしを選んでくださり、短期間で育ててくださったのだそうです。

今はその期待に応えるためにたくさん治癒魔法を使っていますし、薬も沢山製作しているのです。」

「君は昔からがんばっているのだな。」

「弟妹たちに貴族としての生活をさせてあげたいのです…。わたくしは長子として貴族の生活をしていましたから。」

「そうか。だが、私と婚約するということは生活が一変する。弟妹たちにもなかなか会えなくなるよ?」

「確かに、一番最初に考えたのは弟妹に会えなくなることでした。それでも、わたくしは殿下と添い遂げたいと思っております。

昔からお慕いしておりましたから…。」

「えっ…!?」

「あの、お話したのは本日が初めてなのですが、社交界へ何度か参加した際に殿下をお見かけして、その凛としたお姿をみて…

身分不相応なのは分かっていたのですが…」

「そ、そうか。

では、婚約の話を進めるように陛下や伯爵に伝えても?」

「は、はい。不束者ですが宜しくお願いいたします。」


そして、ジュードとフィオーナは婚約した。


………


ふたりが婚約して一年後。

この一年間でフィオーナは王太子妃教育を受け、王妃から及第点を貰えた。

これから彼女は本格的に公務に携わったりしながら王妃教育も受けることになる。

ふたりの仲も順調で、何事にも一生懸命な彼女の姿に感化されたジュードは以前にもましてやる気に満ち溢れていて、お互いに少しずつ歩みよっている。

そして、今日は結婚式である。


「ジュード様…いかがでしょうか…?」

「とても美しいよ、フィオ。この世で一番美しいよ。」

「そ、そこまで褒めてくださって、嬉しいですがとても恥ずかしいです…。」

「正直に言っただけなのだが?」

「はうっ…!

ジュ、ジュード様はとても素敵ですわ!」

「ありがとう、フィオ。

ねえ、フィオ。どうしようもない俺についてきてくれてありがとう。これからはふたりで支え合って生きていこう。」


ジュードはフィオーナの手をとり口づける。


「はい、ジュード様。わたくしを選んでくださりありがとうございます。」

「はは。それは俺のセリフだよ。フィオ、愛しているよ。」



ジュードとフィオーナは仲睦まじくその命が尽きるまで添い遂げたのだった。

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