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あっという間に臨月を迎えた。


「ヴィル、こんなに毎日ずっといなくてもいいのよ?

アルベルト様が大変だから側近としての仕事を…」

「大丈夫だよ。サーラ様から屋敷で仕事することを命令されているからね。」

「サーラから!?」

「ああ。エリーに付き添って子どもが産まれたら直ぐに報告するようにと。」

「でも、仕事してないわよね?わたくしの近くいてばかりでしょう?」

「君が寝てからしてるよ?」

「それでは、貴方はいつ休んでいるの?」

「俺はエリーの傍にいれるだけで心も身体も休まる。」

「……」

「ん?」

「ヴィル、久しぶりに一緒に寝ましょう?」

「!?」

「起きたときに貴方の顔が近くにあったらとても嬉しいのだけど…?」

「可愛すぎ。ズルいよ。」


ヴィルは私を優しくエスコートして寝室のベッドへと横になる。


「ふふ、こうして寝るのは久しぶりね。」

「そうだね。」


優しく抱きしめ、額に口づけをされるとこそばゆい。


「ヴィルは男の子と女の子どちらがいい?」

「エリーに似た可愛い女の子。」

「わたくしに似たら頑固な女の子になってしまうかもしれないわよ?」

「俺たちの子どもなら頑固だろうとなんだろうと可愛いに決まってるさ。」

「ふふ。貴方は親バカになりそうね?」

「そうかもしれない。」

「あっ…ヴィル、もう直ぐでこの子に会えると思うわ。そんな気がする…。」


私はヴィルの胸に顔を寄せた。


「今はしっかり体力をつけるためにも休もう?」

「貴方もよ?ヴィル。」

「俺も?」

「そうよ。陣痛がきてからすぐに産まれるわけではないの。とても長時間かかることもあるの。

だから、貴方にも体力を温存していてもらわなくちゃ。」

「ふっ。そうか。では、一緒に寝ようか?」

「うん!」


二人でゆっくり休んだ翌日に陣痛があり、その後私はヴィルの瞳と同じ色の可愛い女の子を出産した。


………


アリスと名付けられた私とヴィルの子どもはすくすくと育っている。

アリスはよく笑う可愛い子だ。その笑顔でノルバンディス公爵邸の皆を和ませている。

今日は久しぶりに皇城でサーラと会う。そこには第一皇子であるアーサーとも会うことになっている。


「リズ、ご機嫌よう。いらっしゃい。」

「サーラ、ご機嫌よう。」


私はアリスを、サーラはアーサーを抱きながら話をしていると「だから、それはっ!」「いいではないかっ!」と声が聞こえてきた。


「ヴィル?とアルベルト様…?」

「そうね…。ふたりの声のようだけど…?」


部屋に入ってきたのはやはりヴィルとアルベルトだった。


「サーラ、決めたよ!」

「アル!それだけは駄目だ!」

「アル、何を決めたというの?それにノルバンディス公爵が駄目と言っているのに関係しているの?」

「ヴィル、何を慌てているの?」


私とサーラはどうしたのか全く予想もついていない。


「ヴィルヘルム、エリザベート夫人、アーサーとアリス嬢を…」

「「反対です!!」」


私とヴィルは猛反対した。


「何故だっ!?」

「アルベルト様、娘はまだ産まれて一年も経っていないのです。時期尚早にございます。

それにノルバンディス公爵家の跡取り娘を娶られては困ります。」


私が冷静に返事をするとサーラもこの話に反対した。


「アル、わたくしも反対よ?それにアーサーもアリスちゃんも物心がついてから決めても遅くないわ?」

「アルベルトには早いと何度も言っていたのだけど、納得してくれなくて…」

「サーラも嬉しいと思ったんだ…。」

「それはそうなったら嬉しいけれど、わたくしは政略結婚はさせたくないわ。」

「わたくしもサーラと同じ気持ちです。」

「アルベルト、俺たちは自身が恋愛結婚なのに、子どもたちに政略結婚を望むのかい?」

「アルベルト様、もうこの話は終わりにして四人でお茶でも…」


私がお茶を勧めると腕の中でスヤスヤと寝ていた筈のアリスが目をパチッと開けた。

「あら、アリス。」と私が言うと彼女はニコッと笑ってみせた。


「貴女はどんな子に育つのか楽しみだわ。」


………


(10年後)

私は公爵夫人としてヴィルを支えている。

娘のアリスは私と同じく治癒魔法が得意な子に育っていて、最近は薬や化粧品を作るのに興味があるようで私について勉強中である。


「お母様、おはようございます。」

「おはよう、アリス。」

「お母様、本日は皇城へ行くのですよね…?」


今日はアーサーとアリスが初めて会う日でもある。


「緊張する?」

「少し…」

「大丈夫よ。貴女が嫌がることをわたくしたちはしないことは知っているでしょ?」


私はアリスを宥めながら皇城へ向かった。


「エリザベート夫人、よく来てくれたわ。」

「サーラ様、ご機嫌よう。さあ、アリス。ご挨拶なさい。」

「サーラ様、ご機嫌麗しゅうございます。」

「いらっしゃい、アリスちゃん。」

「ノルバンディス公爵夫人、公爵令嬢、はじめまして。第一皇子のアーサーです。」

「アーサー皇子にご挨拶申し上げます。

エリザベート=ノルバンディスです。」

「ア、アリス=ノルバンディスでしゅっ!」


噛んだ…。私の娘、噛んだわ…。と思っているとアーサーが笑った。


「はは。君は可愛らしい人だね。アリス…と呼んでも構わないかい?」

「は、はい!も、も、もちろんです!」


ふたりの物語はこれからのようだ。

これにて本編は完結しますが、タイトルにあるような無双感は全くなかったと思います。


エリザベートは治癒魔法でいろいろな人を救ったり、薬や化粧品を作ってたくさんの国民の生活を潤したので、多少は無双したかと。

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