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「「!!」」


私とサーラは同時に違和感を感じたが飲み物は喉元を通過してしまった。

私が「サーラ!」と叫ぶの同時に私も彼女も倒れてしまう。


「サーラ様!どうされました!?」

「誰か!?侍医をっ!!」


侍女や侍従が焦ってやってくる。


「わたくしが…治癒を…する…ど…いて…」


私は力を振り絞りサーラに魔法をかける。

彼女の呼吸が落ち着くのがわかる。


「ああ…よかった…サーラ…」

「ランドン様!ランドン様!!」


侍女が私を呼んでくれているが返事はできない…。そこで意識を失った。


………


(エリザベートたちがお茶をしている頃)


「皇太子殿下、本日はもう少ししたら休憩にしませんか?」


ヴィルヘルムはアルベルトに提案する。


「ヴィル、それは僕を休憩させて自分だけ婚約者に会いに行きたいからではないのか?」

「そんなことはないのですが、何というか…」

「サーラは久しぶりにエリザベート嬢に会えているのだから、邪魔してくれるな?」

「少し胸騒ぎがするのです…。」

「胸騒ぎ…?」

「取り越し苦労ならばいいのですが…」


ふたりがそんな話をしている時にアルベルト付きの侍従が乱暴に扉を開けた。

「どうした?騒がしいぞ…」とアルベルトが咎めようとしたが、彼は「それどころではありません!」と言い言葉を続ける。


「サーラ様がお倒れになったと報告がっ!!」

「何っ!?」

「それにエリザベート様もお倒れに!」

「っ!!案内してくれ!」


ヴィルとアルベルトは侍従の案内で急いで移動する。

アルベルトはサーラの部屋へ。ヴィルはエリザベートがいる部屋へそれぞれ入った。


「師匠!?」


ヴィルが部屋へ入ると彼の師匠がいた。


「何だ、ヴィル坊か。そうか、この令嬢の婚約者はお前さんだったのか。」

「エリーは、大丈夫なのですか!?」

「ああ、今儂が治癒魔法をかけたから大丈夫だ。」

「よかった…。」


ヴィルがベッドの横の椅子に座り、エリザベートの手を握る。


「ヴィル坊、サーラ様は彼女が治癒魔法をかけたようだから大丈夫だと思う。それから、儂はあの場で何があったのか調べてくる。

彼女が起きたら呼びなさい。」

「はい…。」


師匠と入れ違いでノルバンディス公爵が部屋へ入ってきた。


「父上…。」

「ヴィルヘルム、エリザベートは大丈夫なのか?」

「はい。先程、師匠が治癒をしてくださったので。」

「そうか。どうやら、サーラ様との茶会で茶に何か仕込まれたようだ。」

「今、師匠が現場に向かいました。」

「そのようだな。エリザベートは目が覚めても数日は安静にしていたほうがいいだろう。」

「はい。」


数時間後…


「ん…」

「エリー!?」

「ヴィル…?ここ…は?」

「ここは城の一室だよ。サーラ様との茶会中に…」

「はっ!サーラは!?」


急に起き上がろうとすると身体が痛んだ。その痛みで苦痛が表情に出てしまう。


「駄目だよ!急に動いたら!サーラ様は君が魔法をかけてくれたから、大丈夫だ。今は会話もはっきりしている。」

「良かったわ…」

「エリー、身体はどう?」

「問題ないと思うわ。」

「よかった。俺の師匠が治癒魔法をかけてくれたんだ。君と話したいって言っていた。アルベルトやサーラ様にも君の目が覚めたことを伝えてくる。」

「ええ。」



数刻後「リズ!」とサーラが部屋に入ってきた。その後を追ってヴィルとアルベルトも入ってきた。


「サーラ!無事で良かった!」

「リズこそ、無事で良かったわ!」


私とサーラは抱きしめ合う。


「エリザベート嬢、サーラを助けてくれてありがとう。」

「アルベルト様、わたくしは当然のことを…」

「当然以上のことを君はしてくれた。」

「…はい。」

「調子はどう?」

「うん、平気。」

「失礼するよ?」


ヴィルたちに遅れて男性が一人が入ってきた。


「オット卿、さっきは彼女の治療感謝する。」

「エリー、彼はオット。この帝国の宮廷魔法師のトップにいる男で俺の師匠だ。」


現れたのはヴィルの師匠だった。


「はじめまして、オット卿。エリザベートと申します。

先程は治癒魔法をかけてくださいましてありがとうございます。」

「やあ、ヴィル坊の婚約者ちゃん。宜しくね。

しかし、君の治癒魔法も凄いものだよ。流石はヴィル坊の選んだ人だと思ったよ。」

「オット卿、仔細が分かったのか?」

「はい、殿下。ご本人たちがおりますが報告しても?」


私とサーラは頷く。


「紅茶にはこの帝国では入手できない毒が仕込まれていました。」

「やはり毒でしたか…。」

「サーラもわたくしも違和感はありましたからね…。迂闊にも飲み込んでしまいましたが…。」

「その紅茶を給仕した人間は既に捕らえてあります。

幸いにしておふたりとも飲み込んだ量は少なかったのと、サーラ様には直ぐに治癒魔法がかけられたことによって、事なきを得たと思います。

エリザベート様も儂が治癒をかけたので問題はありませんが、サーラ様と違って毒が身体に残っている時間があったので数日は儂の治癒を受けていただきます。」

「わかりました。オット卿、宜しくお願いします。」

「師匠、宜しくお願いします。」

「ああ。分かった。それから、殿下。捕えた人間への取り調べは儂の専門外です。」

「人員の手配はしよう。」


オットは部屋を出ていき、サーラもアルベルトと出ていった。

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