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第一話 可愛い少女



 

 目を覚ましたら・・・・・・えーと、此処は?目を覚ましたら、バスっぽい造りの乗り物の中に乗っていた。外の景色は常に動き、景色の動きでこの乗り物のスピードが結構速いとわかる。僕よりも少し遅いくらいか



 というかいつの間にか朝になってたのか・・・・・・



 それにしても、バスにしてはやたらと揺れるし、装飾も変だ。ところどころに金細工やら銀細工が施されてどうがんばっても一般のバスには見えない。


 


「気がついたか」



 周りを見渡していたらいきなり声がかかってきた。あ、男っぽい発言だけど男の声じゃないよ。なんか、可愛らしさを漂わせるアニメ声だ・・・

 


 声の主は金髪っぽい茶髪、面倒だね。薄い茶髪でいいか。声の主は薄い茶髪を背中まで伸ばした、碧色の眼で顔が見事に整っており、誰が見ても可愛いと思える少女が立っていた。



 ちなみに服装は白いワイシャツに白いフリルのついたスカートで、この少女には十分すぎるほど似合ってる。というか抱きしめたい。だけど、腰の鞘に収まってる剣を見て本能的衝動を抑えることができた。



「すいませんが、貴方は誰?」

「私の名はエリス・ディヴァングランツェ、貴様は?」



 いきなり貴様呼ばわりか・・・・・・、僕は特に気にしないけどいきなり貴様呼ばわりされると怒る人もいるんじゃないかな?というか名前長いな、外人?



「僕は霧雨時雨」



 ここはどこ?と付け足して名前を言った。



「待て、幾つか質問に答えてもらう」



 質問とな?一体、貴方が何用で私に?というか随分と警戒されているようだ。僕何かしたかな?



「まず、一つ。お前は何処の人間だ?」

「何処・・・・・・と言われれば、日本?」



 目の前の白い制服姿のエリスさんは首を傾げて戸惑っている。その姿は発情対象にはならない、ただ抱きしめたくなるような可愛らしさだった。



「ニホン・・・・・・とは何処だ?」

「えーと、此処は何処なのかわかればわかる」



 僕は正直、嫌な予感しかしない。もう半ば異世界だと思ってる。だって普通、外国でも剣を腰に吊るす所なんてないでしょ?!



 そんな事を思っていると彼女が口を開いた。



「此処はフレスベルグ領のキルト周辺の平原だ」



 聞いたことはない、けど国名がわからないな・・・・・・。僕がその事について尋ねると

ビスティアというところらしい。勿論な事に僕の世界にはそんな国はないわけで・・・



 異世界か・・・・・・



「お前は何処から来た?」



 おっと、質問はまだ続いていたか。



「どうやってきたのかは僕自身わからない。一瞬で僕の世界からこっちへきたから」



 僕の世界という言葉に疑問を抱いたらしい。エリスさんは僕にあれこれ質問してきて、僕はその質問に、一瞬で何処ともわからないこの世界に来たことを説明した。つまり、此方側からの異世界から来たことを説明し、食べ物も、金も、何もないことを話した。



「それは、勇者召喚の儀式によってきたということなのだろうか?いや、でも勇者はもう召喚されて・・・・・・。くっ、わからない!!」



 エリスさんは何かを呟きながら考え事をしていた。勇者召喚やらなんやらについて聞いてみたら、どうやら最近魔王の封印が解けて世界が大変になっているとのことで、勇者を呼び出す最上級魔術を発動させて呼び寄せるんだとか



「勇者召喚の儀式に成功し、世界の平和を願って世界各国から貴族達が集まる大規模なパーティが開かれることになっている。私達も今そこへ向かっているところだ」



 勇者は必ず此方側からの異世界から呼び出すらしい。僕が呼び出された・・・・・・わけではないよな。もしかして世界中から数人が飛ばされるのか?疑問は次々と浮かぶが、解けないまま消えていった。



「それで、聞くのを忘れていましたがどうして僕は此処にいるんですか?」

「リリア様が道で倒れているお前を見つけて拾ってくださったんだ、後で感謝しておくように」



 今回、パーティに招待されたのはリリア様という人で、エリスさんは護衛なんだとか。

僕が乗っていたのはバスではなく馬車だということも教えてもらった。それと、道で倒れていたのではなく、寝ていただけなんだけどね。



 馬車は3つあって、僕とエリスさんが乗っているのが2番目で、一番前が近衛兵20名で

3番目がリリア様とエリスさんだったらしい。

 


 本来、僕が乗っている馬車に近衛兵10名が乗っていたらしいのだが、僕が強者であるかもしれないということを考えて、リリア様の護衛隊の中では一番強いエリスさんが僕を監視するために一緒に乗ったそうな。



 説明が遅れたけど、リリア様はリリア・ロレンツォといって王族の方なんだとか。それでいて、護衛であるエリスさんは国でトップ3に入るほどの実力らしい。



「お前、行く当てもないのだろう?王都で兵士として働けば最低限の生活が約束されるが、どうする?」



 後の説明によると、家からの出勤する方法と、城に用意されている宿舎に泊まる方法の二つがあるらしい。宿舎に泊まるのは兵士であれば無料で、粗末なものとはいえ朝食、昼食、夕食と三食がちゃんと出るらしい。



 僕は此処が異世界である事を受け止め、何も所持していない今、未来の事を考え、兵士になる事を承諾した。武器なんて扱ったことないけどね。たとえ前線に送られようと、こっちの世界に来てからおかしくなった、この身体能力で逃げれば問題ないだろう。


 

「で、時雨だったか、お前、魔法は使えるのか?」



 遅かれ速かれくると思ってたよこの質問。魔術で勇者を呼び出す話聞いてから、嗚呼、魔法あるんだなーとか思ってたけど。

 


 因みにどッかの使い魔の話みたいな、魔法が使えないと平民とかはないらしく、平民も普通に魔法が使えるらしい。ただ、魔法を完全に使えないものも勿論いたり、下級術しか使えない奴も当然といるらしい。

 


 エリスさんは上級魔術までしか使えないみたいだけど、魔法の話を聞いていると、エリスさんが、訂

正、上級魔術が使える奴がいかに化物かと言うことがわかった。



 魔法には魔術起動速度って言うのがあって、それの平均を聞いて、エリスさんの平均を聞いたところ・・・・・・



 魔術起動速度 平均 0.41秒の化物さんが此処にいた。



 魔術起動速度っていうのは実用性が高い下級術を対象にして測るみたいだが・・・・・・魔法が苦手な奴が大体5秒くらいかかるらしい。エリスさんは1秒もかからずに魔法を使える。どんだけ天才なんだか・・・・・・。因みに平均は3秒前後なんだそうだ。



 というか詠唱とか必要ないんだね。話を聞いてると気を操るとかではなく霊的な何かの力みたいだ



 今は人それぞれにその霊的な力があることが確認され、魔法が使えないものを対象に、何故霊的な力が存在するのに魔法を発動できないのかを調査しているらしい。



 言うのを忘れたけど、僕はエリスさんに魔法は使えないとの返答をしておいた。魔法が使えなくても十分功績は上げられる。とりあえず努力を怠るな、との返事だった。



 そこから、僕の世界はどんなところなのかと聞いてきて、僕はその質問に答えていった。 


 


 そっから色々と雑談をし、僕とエリスさんは少しずつ仲良くなっていき、僕とエリスさんはお互いの事について話した。



 言っても何もならないけど、僕は自分の過去をエリスさんに話した。



 僕の幼馴染の話し、幼馴染の一人が色男のせいで酷い目にあったり。それと、今まで触れなかったけど、両親から虐待されたことや、学校で虐められたこと。時音に裏切られたこと。色々と話した。



 両親は僕が中一の時に事故で二人とも死んだ。両親の虐待から必死に護ってくれたお祖母ちゃんも僕が中三の時に急な心臓発作で死んでしまった。


 僕がショックを受けている間も学校で虐めはなくならなかった。本気で自殺しようか、そんなことも思ったりしたけど、怖くてできなかった。


 苦悩の毎日を送る中、壱拾夜と愛梨は僕を支えてくれた・・・・・・時音は・・・僕を裏切った。


 二人の支えのおかげで今僕は生きている、そう言っても過言じゃない。



 僕の話をただ黙って聞いていたエリスさんは、今度は自分の過去を語りかけてきた。



 エリスさんが、僕のように親に暴力を振るわれ、挙句の果てに捨てられ孤児だったこと、道端で倒れたところを城を抜け出してきたリリア様に拾われたことや。そこからリリア様に恩を返すために努力をして強くなっていった事などを話してくれた。


「私も・・・親に暴力を振るわれて捨てられて、いつも泣いていた。空腹で、何も食べ物なんてなかった。自分を正当化するような言い方だが、生きるために盗みを何回もした・・・だけど、そんな私でもリリア様は拾ってくれた・・・だから私はリリア様に恩返しをしようと、今、こうして近衛兵となった。たとえ魔物の軍勢が来ようとも、命を賭けてリリア様を護る」



 そうやって笑うエリスはとっても眩しくて直視できないほどの可愛いさだった。話しているうちに僕への警戒心も薄れたみたいだった。ついでにさっきの暗い雰囲気も消し去ることができてよかった。

 


 此処で僕は、ちょっと本気交じりのお願い事をしてみることにした。



「あの、エリスさん」

「私の事はエリスでいい。で、なんだ?」




「少し、抱きしめてもいいですか?」





次回、ちょっと危ないです。

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