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2話。始まった学園生活。ーー此処は現実の世界・2

 私は侍女。私は侍女。私は侍女。

 子爵令嬢のマルティナではなく、元貴族のセレーネお嬢様専属侍女。ちなみに、メイドでもない下働き(火おこしとか水汲みとか本当に表に出ない仕事をする人)だったら公爵家でも平民が雇ってもらえるけど。この場合、執事長や侍女長(上級使用人の長)すら会えずメイド長(下級使用人の長)が平民の面談を行って、メイド長が執事長と侍女長に相談し、その上で執事長から家令に話が上がって家令が許可してから執事長・侍女長・メイド長経由で平民の採用が決まる。もちろん公爵家の方々のお姿を遠くからでも見るなんてことは出来ないが。


 で、本来なら私も元貴族の平民として雇われるわけだから下働きのはずだった。

 セレーネお嬢様が面白がってくれたおかげで、メイド採用になった。下級使用人なのでセレーネお嬢様と直に言葉を交わすなどは出来ないけれど、お姿を見るくらいは出来る(洗濯とか掃除とかっていう仕事だから)程度だった。でもメイドは基本的に下位貴族出身。もちろん元子爵令嬢だから合っているけれど、それは子爵令嬢の身分が合ってのこと。子爵家から出奔した時点で貴族籍を抜けたはずなのに、セレーネお嬢様が裏から手を回して男爵家の令嬢という身分をゲットしている。そう、私は貴族籍に復籍してしまった。それも男爵令嬢として。だからメイドで雇ってもらえた。

 で。

 その期待にお応えしようと頑張ったら上級使用人である侍女に抜擢され、気付いたら専属侍女だった。ここまであっという間だった。おかしいなぁ……。

 ちなみに一応身分は男爵令嬢のまま。顔も知らない人の養女だ。ただ書類にサインしただけだから顔は知らない。養父母と義兄二人のところに名前だけの養女で末っ子らしい。まぁどうでもいいんだけど。


 最初から侍女として採用されるのは、他所の屋敷で既に侍女だった下位貴族出身の者か、伯爵位以上の次女以下である。あとは下積み経験積んでメイドから侍女への抜擢だ。尚、侍女へ昇格するにあたり、他所の家は知らないが公爵家では筆記試験と口頭試験が行われる。筆記試験は知識と教養。(語学力とか日本で言う国・数・歴史とか。或いは美容や流行に聡いとか日本で言う音楽や美術とか)口頭試験は公爵家に対する忠誠心等を尋ねられた。セレーネお嬢様に忠誠は誓っても公爵家に誓う気はないとか、ある意味暴言吐いたら採用された。多分セレーネお嬢様が手を回したんだと思う。


 さておき。

 そんなこんで私は侍女。子爵令嬢のマルティナじゃない。だからこの学園に居ても大丈夫。何も起こらない。というかセレーネお嬢様に楯突く気もないし、虎の威を借る狐よろしく、セレーネお嬢様の名前を使って何かやらかす気はないし、足を引っ張ろうとかも考えてないし。だから、何も起こらない。

 ……そう思っていた。

 違う。

 そう思いたかった。


「ええ! サンドルトもいないし、マルティナもアンネリカもハレンズも居ないのっ! どういうこと⁉︎」


 という小さくもハッキリとした声が聞こえてくるまでは。


 私は顔に動揺を出さないように自戒しつつ、そちらをチラッと見た。こちらには気づいてないだろう、一人の少女。アンネリカがヒロインである以上、この少女がヒロインということはない。

 チョコレート色の髪をツインテールに結えている少女の独り言から察するに、きっと私と同じ転生者。


 ……あー、何も起こらないと勝手に思い込もうとしていた罰かなぁ。なんか凄く面倒くさそうな出来事が起こりそうな予感しかない。絶対、セレーネお嬢様が面白がる未来しか見えないんだけど、どしたもんかなぁ……。

お読み頂きまして、ありがとうございました。

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