特別授業 ち
今後の自分の課題が見えたところで、そろそろこの授業も終わりの時間になってきた。
そこでセレン先生が皆を集める。
「本来なら今日の実技の授業はこれで終わりで残りは座学だが、今日は特別授業がある。次の授業もここで行うので休憩の後もここに集まる様に」
「特別授業って何ですか?また二組と合同で?」
先生の報告に一人の生徒が手を上げて質問する。
「合同授業ではない。内容は楽しみにしておけ」
それだけ言って先生は訓練場を後にした。
何か俺の方を見ていた気がするけど気のせいだよな。質問した生徒の近くにいたし、そっちを見ていたのだろう。
「ねぇねぇお兄ちゃん、特別授業って何だろうね?」
「さあな、二組との合同授業ではないって言ってたし全く想像できないが」
授業が終わる鐘がなったところでアイリが話しかけてくる。
先生の言葉が気になるみたいで少しわくわくしたように何かと尋ねて来るが、俺も全く予想がつかないので答えられない。
他のクラスメイトたちも何があるのかとわいわいしている。
「二組との合同じゃないなら、上級生との合同かもな」
そんな予想を口にしながらカインが話に入ってきた。
あぁ、その可能性はあるかもな。上級生の実力を見るのも勉強になるだろうし。
「特別ゲストが来るかもしれないよ?」
今度は他の予想を建てながらフローラが話に入ってくる。
「特別ゲストって?」
「学園長とか?」
フローラの予想にアイリが訊き返すが、それに対してフローラも首を傾げながら答える。
でも確かにフローラの予想もあるかもな。
学園長も凄い魔法使いみたいだし、誰かほかの有名な魔法使いが来るかもしれない。
特別ゲストというのも考えられる。
そんな感じで俺たち以外もクラスの全員が特別授業とやらのことを想像しながら次の授業を迎えた。
「全員揃っているな。それじゃあ特別授業を始めるぞ」
休憩が明けて先生が訓練室に入ってきて授業開始の宣言をする。
「特別授業、今日は凄い奴が来てるからそいつからの指導だ」
おぉ、フローラの予想した特別ゲストだ。
俺たちは正解を予想したフローラに視線を向ける。少し嬉しそうだ。
だけどまだこの場には居ない。なので誰かまでは分からない。
学園長だったらフローラの予想が完全に的中したことになるが、果たしてどうか。
でも先生は「凄い奴」って言ってたし学園長ではないかもしれない。
上司に「奴」とは使わないだろうからな。
となると、先生よりも目下の人物になるだろうけど。
「入っていいぞ」
誰か誰かと、俺含めクラス全員からの視線が集まる中、先生に促され訓練場に人影が入ってくる。
入ってきたのは三人だ。
三人のうち後ろの二人は男女で、手に大きな杖を持ち同じローブを羽織っている。
そして、前に居るもう一人は……
「サクラ―!アイリ―!」
俺とアイリを見つけるなり早足になり、大きく手をぶんぶんと振りながらこちらへとやってくる男。
「お父さんが来たぞー!」
こちらへと駆けてきたのは俺たちの父親であるエドワードであった。
……何で父さんが特別ゲスト何だよ。
確か父さんは王宮魔法師団に努めてるとか言ってたと思うが、だからか?
王宮魔法師団はこの国に努めるトップの魔法使いの集まりだ。
そこに所属する魔法使いたちはみな、凄い魔法使いたちで学生の頃からも優れた成績を残しているものたちばかりと聞く。
そんな現役の魔法使いたちから指導を受けれるのは凄いことなんだろうけど。
「何で父さんが来るんだよ……」
本当に何で父さんが来たのか。別に他の人でもいいだろうに。
「エドワード、うるさいぞ、さっさとこっちに来て挨拶しろ」
テンション高く俺たちの方へと向かっていた父さんに対して、強めの口調で指摘する先生。
それを聞いた父さんは、おとなしく先生の方へと歩いて行った。
何かびくっと肩が震えた気がしたけど、もしかして父さんは先生が苦手なのだろうか。
先生はこの学園に長いらしいし、父さんがこの学園に在籍していた時もセレン先生はここの教師で、父さんとも接点があり何かあったのかもしれないな。
「エドワード」と呼び捨てにしてるし接点があったのは間違いなさそうだな。
周りを見てみるとクラスメイト達が何やら騒がしい。
まあ俺たちの父親が来たんだから騒がしくなるのも分かるが。
何せいきなりの授業参観の気分だからな、俺は。
「ほら、挨拶しろ」
先生の隣まで行った父さんがこちらに視線を向け先生に促されて挨拶をする。
「俺はエドワード。宮廷魔法師団団長を務めている。今回はみなの特別指南にきた、よろしく頼む」
そう挨拶する父さんだけど、
え、宮廷魔法師団団長?
父さんって団長だったの?初耳なんだけど。




