魔力の理解度
アイリは少し気分が落ちてしまったようだったけど、それも少し落ち着いたところで二人で教室に戻ってくる。
「二人とも、おはよう」
教室に入るとカインとフローラの二人はすでに登校していたようで、何か会話していたみたいだけど、俺たちに気づくと挨拶をしてくれる。
俺たちもそれぞれ二人に挨拶を返して席に座る。
「それで、何の話だったんだ?」
「ん?」
「マリーに呼び出されたんだろ?」
カインからさっき俺たちがマリーに呼び出されたことについて聞かれる。
何だ、知ってたのか?
まだあの時、二人とも来てなかったと思うが、気づかなかっただけでいたのか。
「他の皆が、二人が焦ったマリーさんに呼び出されたって話してたよ」
マリーに呼び出されたところを見たのではなく、どうやら他の奴から聞いた話みたいだ。
「何かマリーがかなり焦ってるって聞いたけど、何かあったのか?」
「あぁ、まあな……」
カインから何があったのかを尋ねられるが、返しがあいまいになってしまう。
あったといえばあったんだが、マリーに口止めされているし、言えない。
口止めされてなくても、こんなことは言いづらいし、そもそも二人には【創造神】のことも話していないので、そこから説明しないといけなくなる。
「なんだ言えないようなことか?まあそれなら無理には訊かないが」
「あぁ、すまんな」
口をつぐんでいると、察してくれたカインはそう言って詮索はしないと言ってくれる。
こういう所、こいつは本当に気が利くよな。
「でも、アイリ少し元気ないみたいだけど大丈夫?」
話はこれで終わり、と思ったが少し元気のなかったアイリを心配してフローラが声を掛ける。
「ううん。大丈夫だよ」
「……そう、ならいいんだけど」
フローラも納得はしていないようけど、これ以上はなにも聞かないでそっとしてくれた。
「まぁ、困ったことがあれば相談しろよ。出来ることがあれば力になるからさ」
「あぁ、その時は頼むよ」
そんな会話をしているうちにセレン先生も教室に入ってきて、授業が始まった。
実技の授業。今日もいつも通りセレン先生に魔法の指導を受けている時だった。
今は各々で魔法の構築の練習をしていて、それを先生が見回ってアドバイスをするという形で行われている。
「サクラ、お前魔力が増えてないか?」
「そうですか?」
一人一人アドバイスをしながら周っていた先生は俺のところに来ると、そんなことを言ってくる。
魔力が増えてないかと言われても、俺にはそんな自覚はないんだが。
「間違いないな。昨日までと比べると純粋な魔力量が多くなっている」
自分的には自覚はないのだが先生が言うならそうなのだろう。
先生には<魔力視の魔眼>があるので魔力量なんかは見ればわかるからな。
だけど何で急に…ってああそうか。
【恋人の絆】の効果だな。
マリーと近づけば近づくほど能力が上昇するんだたった。
今は訓練場と、恐らくマリーは授業を受けているだろうから、二組の教室だろうけど、それでもそこまで距離が離れているわけじゃないし、バフが掛かっているんだろう。
仲はアイリとと比べると、そこまでよくはないので上昇率もそこまでは大きくないだろうが。
「何だ?心当たりがあるか?」
「あ、はい」
「魔力量も体調と同じでその時によって変わるからな、気づかないときもあるだろう。だが今日のお前のその上昇量は普通とは何かが違う。私もそこまで詳しいことは分からないが、自分自身が理解してるならいいだろう。それと、そんなに変わっているんだから、指摘される前に気づけ。お前はそういう所鈍いから、これからはそこを注意しろよ」
「はい」
先生から凄くまともなことを言われた。
やっぱりこの人、先生だな。
そう本心から感じてしまう。
助言をしてくれた先生は他の生徒の所へ行ってしまった。
先生に言われたことを思い返す。
確かに俺は自分の有している魔力に対して鈍い所がある。
身体のことならまだ、分かりやすいのだが、魔力となるとてんでだめだ。
とはいえ【恋人の絆】で身体能力も上がってるだろうけど、それも全く気付かなかったんだが。
それにしても魔力の理解が浅い。
正直今の自分の魔力なんて把握できていない。
そもそも魔力切れとかもあまり起こしたことがないので限界が分からないのだ。
そこらへんはアイリはよく理解してると思う。
そういう所からもやっぱりアイリの方が魔法に対しての理解があるんだろうな。
小さいころから頑張っていたし、「お兄ちゃんみたいになる」ってあの頃は可愛かったな。もちろん今でも超かわいいんだが。
それにしても【恋人の絆】で能力が上がっているということは当然マリーも上がっているだろうし、もしかしtら、そう言った違和感から新しい称号が増えているのに気づいたのかもしれないな。




