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マリー ⑥

 「こんなの、認められるか!」


 「お前が認めなくても、マリーが負けを認めているのだ」


 怒りに任せさせるタロウに対してセレン先生が冷静に返す。

 すると今度は私に鋭い目を向けてくる。


 「くそっ!マリー!お前、ふざけるなよ!?

 あのクソ野郎をぼこぼこにしろよ!?」


 私に対して怒鳴ってくるタロウ。


 「お前、分かってるんだろうな!」


 「……」


 その言葉に何も言えず俯いてしまう。

 

 そうだ、私は孤児院の皆の為に、サクラを倒さなきゃいけなかったんだ。

 それを忘れて負けを認めてしまった。

 このままだと、寄付金が止められてしまうかもしれない。


 みんな、ごめんね……。


 「おい、何のことだ?」


 「うるさい!?だまれ!?」


 さっきのタロウの発言を疑問に思った先生がタロウに問い掛けるが、それをイライラし、言葉をぶつける。


 「覚えていろよ!?」


 そう私に言い残して去って行ってしまった。


 「マリー何かあるのか?」


 「後で話します」


 心配そうに声を掛けてくれる先生に返答する。

 話しても、どうにもならないかもしれないけど、心配してくれてるのだし、二人には話しておこう。


 




 そして放課後。空き教室に私たち三人が集まった。


 「それであれはどういう意味だ」


 「……私は孤児院にいるんです」


 「成程」


 先生の質問に孤児院に居ることを伝えると、それだけで先生は納得してくれた。

 サクラは疑問に思っていたようだけど、先生から説明を受けて納得する。


 「安心していいぞマリー。あの商会がそんなことで寄付金を止めることはないからな」


 「ほ、本当!?」


 「あぁ、間違いない」


 暗い顔をしていた私に心配はないと声をかけてくれる先生。

 それに訊き返しても、即答で大丈夫と言ってくれた。


 「私の方からも話は通しておくから安心しろ」


 「ありがとうございます」


 先生に対して頭を下げる。

 先生の話が本当なら、孤児院の皆に迷惑が掛かることない。

 最後に先生は「任せろ」と言って教室から出て行った。

 

 セレン先生。とっても頼れて頼もしい先生だわ。






 先生が出て行ってサクラと二人きりになったところでサクラが話しかけてきた。

 

 「ところで話って?」


 さっき二人きりで話たいと声を掛けたことだろう。

 私はずっと気になっていたことを訊いてみる。


 『あんたも、もしかして日本人?』


 「もしかしてマリーもなのか?」


 やっぱりそうだったのね。

 まさか本当にそうだったなんて驚きね。

 同郷の人が居て嬉しい気持ちがある。

 

 「でも、私の胸をじろじろと見ないでほしいわね」


 「すみません」


 それから少し話をした。

 驚いたのは【創造神】というもの。

 私の【暴食神】が見えていなかったことも驚きだけど、それよりも【創造神】はチートすぎないかしら。

 





 「マリーお母さん(・・・・)


 私と同年代に見える少女が声を掛けてくる。


 「どうしたの?」


 その少女に私は微笑んで返す。


 「お父さんが話があるだって」


 そう言うと一人の見覚えのある人物がこちらへとやってくる。


 「話って何、サクラ(・・・)?」


 その人物は私の知っている姿より、少し成長した姿(・・・・・)のサクラだった。






 「……何今の夢……」


 目が覚めるといつもの孤児院のベッドの上。

 そして夢の内容を思い出す。

 今の夢はまるで、私とサクラが結婚して、その上子供までいるような……。


 「あ、あり得ないはそんなの!」


 なんて変な夢を見てしまったのか。

 私とサクラが結婚なんてありえない。これは昨日アイリに変にからかわれたから。

 だから決して私の願望とかではない。


 それに夢に見たサクラの姿は今より少し成長していた。私をお母さんと呼んだ子は今の私と同い年くらいだったのに。


 やっぱり夢ね。

 

 「はぁ……起きよう」


 ベッドから出て顔を洗いに行く。

 今の夢はもう忘れましょう。


 なるべく夢のことは考えないように歩いていると、何か違和感を感じた。

 何かいつより身体が軽いような……。

 それに体内にある魔力にも、いつもと違う気がする。

 調子が悪いわけじゃなくてむしろいい。

 

 何気なしに自分を鑑定してみた。


 「!!!???」


 な、何よこれ!?


 鑑定の結果【恋人の絆】という初号が増えていた。

 対になっている称号で、その相手はサクラ。


 あ、あいつなんてものを。

 何で私があいつなんかと恋人に!


 それから急いで用意を済ませ学園に行き、サクラを問い詰めたけど、このふざけた称号は消えることはなかった。


 本当に何で私がサクラなんかと恋人にならなくちゃいけないのよ。

 少しはあいつと話していると楽しかったけど、それは別に私はあいつのことが好きってわけじゃないし……。


 でも、サクラと居るとそれだけで楽しく感じるし、いつもあいつのことを考えてる……。

 あいつの前だと平常じゃいられなくなるし……。


 もしかして私……。

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