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期待に応えるため

 クラス対抗戦二回戦は見事、アイリの勝利で終わった。


 「勝ったよ!お兄ちゃん!」

 

 エリスに勝利したアイリが小走りで俺も元へとかけてくる。

 笑顔を浮かべて嬉しそうなアイリを、俺も笑顔で迎え入れる。


 「おめでと。アイリ」


 称賛の言葉を頭を撫でながら伝える。


 「相変わらずすごいね。アイリは。

 あれだけ走り回って、少ししか息も乱れてないし、魔力にもまだまだ余裕がありそうだし」

 

 俺に続けてフローラもアイリに称賛の言葉を贈る。

 

 「正直、驚いたよ」


 カインも称賛の言葉を述べる。

 そんな二人に対しても、満面の笑みでお礼を告げるアイリ。

 その笑顔を見れば、分かる通り、凄く嬉しそうにしている。

 そんなアイリを見ていると俺も幸せを感じられるので、この模擬戦も悪くなかったかなと思えてくる。

 まぁ、まだ俺の番が残っているんだが。


 それから他のクラスメイト達もアイリに称賛の言葉を次々に送っていると、今対峙していた相手のエリスが近づいてきた。


 「おめでとう。まさか私が負けるとは思わなかったわ」


 最初は何か文句でも言いに来たのかと少し構えてしまったが、そんなことはなく、彼女もアイリに対し称賛の言葉を告げる。


 「アイリ、だったかしら?

 私、同世代の子に負けたのはあなたで二人目よ。本当に凄いはね?

 だから、聞きたいのだけど、どうして二回戦目で出たの?あなたの実力なら三戦目に出る方がいいと思うのだけど」


 アイリに対し、好意的に接してくるエリス。

 始めはいかにもな貴族のお嬢様って感じで、平民であるだけで他者を見下すような奴だと思っていたけど、そんなことは全くなかった。

 アイリの実力を認めてこうして友好的に話している。

 むしろ偏見を持っていたのは俺の方かもしれないな。

 見た目がお嬢様と言うだけで、悪いイメージがあった。

 ここは素直に反省しておこう。


 そして彼女の言葉にも驚くことがある。

 彼女は確実にに天才と言ってもいい部類の人間だ。

 俺もアイリを除いて彼女より凄い人物は同世代では見たことがない。

 アイリも【シスコンの加護】という名前に言いたいこともあるが、効果自体はかなり強力な称号を持ってるので、それを抜きにすればもっといい勝負ができたかもしれない。

 それでもアイリが勝ってたとは思うが、少しは苦戦しただろう。


 そんな彼女が以前にも誰かに敗北したと言う。

 それは一体誰なのだろうか。

 確かに世界中を探せばそういった存在も居るのかもしれないが、俺たちはまだ普通の学生。

 そんなに世界を知らない。

 世界が狭ければ、それだけ強者も少なくなるはず。

 それとも、彼女が貴族だから、広い世界を見て、そう言った存在に出会ったのだろうか。


 「ありがとう。これもお兄ちゃんのお陰だよ!」


 俺がエリスの言葉に少し引っかかりを感じている間にアイリはエリスに返答していた。


 「それから、何で私が二回戦目に出たのかっていうと、それはお兄ちゃんが三戦目に出るからだよ!」

 

 嬉しそうにニコニとしながらエリスの疑問に答えるアイリ。

 その言葉を聞いてエリスはこちらに視線を向けて、口を開いた。


 「貴方が噂のサクラね。そう、アイリはこの人の妹だったのね」


 アイリの返答に納得したのか頷くエリス。


 「噂が本当なら、確かにアイリより凄いでしょうね。

 だけど、彼女には勝てないわよ」


 そんな意味深な言葉を残しアイリに挨拶してから去っていくエリス。

 

 彼女とはいったい誰なのか。

 そしてさっきの疑問に今更ながら気づいた。

 エリスは今、二回戦目に出た。

 当然強いものが後になるのがセオリー。

 その考えはエリスも同じだろう。

 そう、それでも彼女は二回戦目に出た。

 と言うことは、三戦目に出てくるのは、彼女自身が自分より強いと思っている相手の可能性が高い。

 もしかしたらその三戦目に出てくる相手が彼女を任した相手なのかもしれない。


 それにしても、やはりやらにといけないのだろうか。

 そんな相手ならなおのこと面倒なことになりそうだからやりたくないのだが。


 それでも今から始める模擬戦に期待したキラキラと輝くアイリの瞳には逆らうことは不可能なので、その期待に応えるためにも全力でゆるしかない。

 それからアイリに褒めてもらおう。


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