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模擬戦 アイリ 後編

 作戦を変えると宣言してから何かの魔法の詠唱を始めるアイリ。

 あの詠唱…‥多分あれだと思うけど…‥。

 確かにあの魔法ならエリスの魔法とやりあえるだろう。

 今はエリスがひたすら火球を放ってきていて、それをアイリは走ってよけている状態だ。

 身体能力が称号の力で大幅に上がっているため、エリスも簡単にアイリをとらえられない。

 

 「すごい…‥」


 あまりのアイリの走る速度に誰かが呟いた。

 皆アイリに驚きの視線を向けている。

 それは先生たちも例外ではないようだ。


 「…‥魔法も凄かったが、あの身体能力なら武術学園でも行けそうだ…‥」


 カーム先生もそう呟いている。

 

 流石はアイリだな。

 先生から絶賛じゃないか。


 そうしてようやくアイリの魔法も完成したようだ。

 エリスは魔法が完成するまで逃げ回っていたアイリに「ちょこまかと逃げ回るな」と声を上げていたから、エリスにとっても待っていたはずだ。

 と言っても、これでアイリの勝ちだろうがな。


 「マルチウォーターアロー」


 アイリが魔法の名と共に魔法を放つ。

 この魔法は水の矢を複数個作り出して放つもの。

 一つ一つの矢の大きさ、それから生み出す数は魔力量で決められる。

 今アイルが生み出したのは10個程度だ。


 「なっ!?」


 驚きの声を漏らしながら走り出しエリス。

 今まで不動で淡々と火球を放っていたが、ここれそれが途切れた。

 そんな彼女に次々と水の矢が迫ってくる。


 「ファイアーフォール」


 数発走って躱したところで立ち止まってから、炎の壁を生み出し、今度は躱さずに生み出した炎の壁で水の矢を防ぐ。

 炎が水に弱いとはいえ、アイリの生み出した矢はそれほど大きくない。

 その上、アリスには<火魔法>のスキルがある。

 小さい水の矢を防ぐ壁なんか簡単に作れるだろう。

 

 「まさか、こんな魔法が使えるなんて」


 炎の壁で全ての水の矢を防ぎ切ったエリスが、落ち着いた声を漏らす。

 俺の周りにいる見学している皆は各々驚いた顔を見せている。


 「でも、もうそれは効かないわよ。初撃で当てられなかったのが失敗だったわね」


 新たな詠唱をしているアイリを見て勝ち誇るエリス。

 次、同じ攻撃が来ようと簡単に防げると思っているのだろう。

 まぁ、実際そうだろう。

 エリスは高度な魔法は使えないみたい(隠しているのかもしれないが)だが、スキルにより火魔法の効果も魔力効率も高い。

 なのでどれだけ水の矢を打とうが簡単に防がれてしまう。

 初撃の時なら当てられたかもしれないが、来ると分かっていれば、防げる攻撃だ。


 「マルチウォーターアロー」


 「ファイアーウォール………‥ファイアーボール」


 そして俺の読み通りに簡単に水の矢を落ち着いて防ぐ。

 更には高速で詠唱を済ませ、即座に火球も放った。

 アイリは火球を走って避け、詠唱を続ける。


 「何度やっても同じよ。私に当たる前にあんたの魔力が尽きて終わるだけだわ」


 そう言いながらも水の矢を防ぎ火球を放つエリス。

 アイリの生み出す水の矢もどんどんと数が増えてきている。

 

 更にその攻防がしばらく続き、アイリの息が切れ始める。


 「そろそろ終わりね」


 エリスが価値を確信した顔になる。

 そのタイミングでアイリが詠唱を完成させ魔法を放つ仕草をする。

 それを見たエリスがいつものように炎の壁を作り水の矢を防ぐ体制をとる。


 しかし、アイリが放ったのは『マルチウォーターアロー』ではなく他の魔法だった。


 「ウォーターウェーブ」


 アイリが大量の水を召喚する。

 それを見たエリスの動きが止まった。

 今まで通り水の矢が来ると思って油断していたところに他の魔法。

 しかも、向かってくるのは大量の水。

 炎の壁何か簡単にかき消えてしまう。

 

 思わぬ大量の水に思考を止められ、防ぐこともできずに波にさらわれるエリス。


 これは俺もやられた。

 入学前、アイリと勝負しているときにやられたのだ。

 ずっと水の矢で攻撃してきて完全に油断したところに波を当てる。

 しかも疲れていたのも演技だ。

 アイリは全く疲れていない。

 大技が打てないと思い込ませるためらしい。

 あの時はまんまと騙された。


 「っ!?ぐぼっ!?そ、んな!?」


 驚きながら流されるエリス。

 完全に俺と同じ反応だ。


 「マルチウォーターアロー」


 波を放った後に即座に詠唱をしていた魔法を完成させ水の矢を放つ。

 数は今までで最大の30超え。

 

 「!!!???」


 水に流されて詠唱を忘れて防御できなかったところに大量の水の矢が次々と飛んでくる。

 それを躱すこともできずに数発食らってしまう。


 「そ、そこまで!」


 そこでセレン先生が静止の声を上げる。

 まさかこの方法でとは思わなかったが、クラス対抗第二試合は予想通りアイリに勝利で終わった。

 これで俺たち一組の勝利も確定した。


 これって、俺、もうやらなくていいんじゃね?

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