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模擬戦

 「それじゃあ、授業を始めるぞ」


 ようやく授業が始まる。

 そう思っていたのだが、再び生徒の一人が手を上げて、セレン先生の話を遮った。


 「あの、提案があるんだが」


 そう話を切り出したのは二組の男子生徒。

 その男の顔を見ると何か良からぬことを企んでいるように見えたのは、俺の気のせいっだろうか。

 

 そして先生は、「またか」と顔をしながら、手を上げた男子生徒に話を促した。


 「それで、提案とはなんだ?」


 「せっかくの初めての合同授業だし、クラス対抗で模擬戦はどうかと」


 何故かニヤニヤとした笑みを浮かべながら先生に提案する男子生徒。

 「模擬戦」と言った瞬間、俺の方を見た気がするが、どういう意味だろう。

 俺と模擬戦をしたいとでも思っているのだろうか。


 あの時、初めての実技以来、俺はよくも悪くも目立ってしまった。

 純粋に尊敬のような視線を向けてくるようなものもいれば、その中には嫉妬のような視線を向けてくるものもいる。

 嫉妬の視線を向けてくるもの達にとって俺は憎い存在であることは間違いないだろう。


 だからあまり悪目立ちしたくなかったのだが。


 それでも、目立ってしまったからには仕方ない。

 それに、視線を向けて来るだけなら大して気にはならない。

 だが、この間のように、イジメのようなことをされるのは面倒だ。

 恐らく、今回模擬戦を提案したあの男子生徒も、俺と戦って痛い目を見せてやろうとか思っているんだろう。

 

 本当に面倒だ。


 かといって、そいつに負ける気なんて微塵もしないので、返り討ちに合わせてやるが。


 「模擬戦?一回目でか?」


 先生も怪訝な目をしながら男子生徒に返す。


 「あぁ。一回目だからだよ」


 「ふむ」


 一回目だから模擬戦をするというのは、待ったくもって意味が分からない。

 男子生徒の言葉は全くもって説明にもなっていない。

 しかし、先生は何故か、顎に手をつき考えるそぶりを見せる。

 その際に俺の方をちっらと一瞥していたので、先生もさっき俺が考えたことと同じようなことを考えているのだろう。


 それなら尚更、先生が考えている理由が分からないが。


 「分かった。やろう」


 まさかの先生の答えはイエスだった。

 この答えには驚いてしまう。

 てっきり却下すると思っていたけど、何か思惑でもあるのだろうか。


 「セレン先生!いいんですか!?」


 カーム先生も驚いていたようで、目を見開いてセレン先生に問い詰める。


 「えぇ。今の時点での実力を知っておくのも大事なことだし、それなら模擬戦が手っ取り端いだろう」


 手っ取り早いって。

 そして何故に俺の方を見て言う。


 もしかして先生は俺にあの男子生徒をぼこぼこにしてほしいのだろうか。


 「…‥分かりました。セレン先生の言っていることも分かりますし、模擬戦をしましょう」


 カーム先生も納得してしまったようだ。

 これは十中八九、俺が戦う流れになるだろう。


 模擬戦と言っても、どういう形式でやるのだろう。

 まさか一人一人やらないよな?

 そんなことをしたら、すごい時間を食うとおもうが。


 「それじゃあ、それぞれのクラスの代表者を選んでの模擬戦とする」

 

 そんな俺の疑問に対し、セレン先生からすぐに答えが返ってくる。

 まあ、妥当なところだとは思うが。


 「先生。代表者は自分たちで選ぶんですか」


 疑問に思ったことを訊いてみる。


 「あぁ。自分たちで相談して決めろ。三試合行うから、三人選べ」


 戦線から返ってきた答えはこうだ。

 三戦もするのか。

 それに自分たちで選ぶなら、わざわざ俺が出る必要はないな。

 なんかこの言い方だと、凄い偉そうに聞こえるが、気にしないでおこう。

 模擬戦なんて面倒だし、俺は見学でもしておくよ。


 と、いう訳でいったんクラスで集まって誰にするか話し合いをすることになったんだが。


 「サクラ。お前が出ろ」


 そう言ってきたのは、以前、食堂で俺のことを突き飛ばしてきた奴だった。

 

 は?

 なんで俺がお前の言うことに従わないといけないんだ?


 そう思ったが、口には出さなかった。

 行ったら面倒なことになりそうだし、断るだけならもっと穏やかに断れる。

 大人な対応が大事だ。

 幼稚な奴に付き合って同じ舞台に上がれば、俺まで幼稚になってしまう。


 「俺は出る気ないから。他を当たって」


 よし。

 大人な態度で返せたはずだ。

 まぁ、これで逆切れして文句を言ってくるかもしれないが無視しておこう。

 

 しかし、俺に追撃をかけてきたのは、意外な人物だった。


 「お兄ちゃん、出ようよ」


 まさかの妹のアイリからである。

 

 「えっ!?なんで!?」


 これには驚いてしまった。

 どういう理由でそんなことを言ってきたのだろう。


 「私も模擬戦やってみたいし、お兄ちゃんの戦ってるところみたいな。

 だから、一緒にでよ?」


 上目づかいで頼んでくるアイリ。

 

 うっ。

 それは卑怯だ。

 俺にその頼みを断る事なんて出来ない。

 

 まぁ、少し興味もあったしいいか。


 「それに、セレン先生も何か考えてるだろうし、お兄ちゃんが出た方がいいよ」


 それもそうだな。

 先生もこっちを見ながら模擬戦をすると言ったんだ。

 つまり何か考えがあるのかもしれない。

 

 ちっらと先生の方を見ると「お前も出ろ」と言うような目線で俺のことを見ている気がした。


 しかたない。

 妹にも頼まれたことだし、出ますか。


 

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