◆ 北の女王・グリーングリン(北海道競馬所属)
【北海道2歳優駿JpnIII 門別1800m(外回り) 天候:晴れ 馬場:良】
『さあ、全馬ゲートに収まりました』
北海道競馬担当アナウンサーの声は、いつもにも増して弾んでいる。JRAとの交流重賞はどれも盛り上がるが、馬産地である北海道において2歳重賞はなおさらである。
『スタートが切られました。地元の期待グリーングリンもまずまずのスタートで外から馬なりで押し上げていきます』
グリーングリンにとって1800mは初距離である。今までは1200mが中心で、最長距離はJRAに遠征した時のクローバー賞の芝1500mだった。
『グリーングリン、今日は積極策か、2番手で1コーナーに入っていきます』
今までは中段に待機し、末脚にかけるレースだったが、距離が伸びて先行争いが激しくないので、地元北海道の名手・冬木が仕掛けてるわけではないが、自然と先行している感じだ。
門別競馬場は地方競馬の中では大井に次いで直線が長い(330m)。さらにコースが広く奥ゆきがあるので大井のようにコーナーがきつくなく、外を周っても比較的ロスが少ないのが特徴である。
『ナイター照明を受けて鮮やかに輝く緑が中央(JRA)の強豪を従えていきます』
今日のグリーングリンは緑のメンコ姿で、鞍上の冬木も馬主服である緑一色の勝負服を着ている。
さるに鼻梁にも緑のものが。
楽に先行できているのは、その効果なのかもしれない。
今回初めてシャドーロール(頭絡の鼻革にボアのものを装着したもの~字面では何がなんやら)といわれる馬具を装着している。これによって下方が見えづらく、前方へと意識が集中しているのかもしれない。
3、4コーナ馬群はばらけ、逃げ馬をかわしたグリーングリンにJRAの2頭が迫ってくる。そして、もう一頭。
『中段やや後方で待機していた1番人気のビューンフライが、下がっていく馬をかわして追い上げてきた!』
ビューンフライは前走の東京競馬場の1600m・プラタナス賞で、ほぼ最後方という位置から直線一気に差し切っている。今日も前走ほど後ろではないが中段から後方に待機していた。
そして、直線。
『グリーングリンです。グリーングリンが追いかけてきた2頭を置き去りにして抜け出していく。いや、きました。一気にビューンフライがまさに馬名のようにビューンと飛んできた!』
ビューンフライはJRAの2頭を抜き去ると、グリーングリンに並びかけた。馬体が合わさる。そして、勢いの違いで半馬身抜け出した。
『ビューンフライ、並ぶ間もなく抜け出し……いや、グリーングリン必死に食らい付く』
アナウンサーのボルテージが一段上がった。さらに上がっていく。
剛腕といわれる北海道のベテランジョッキー冬木の鞭が激しく飛んでいる。
『グリーンです。グリーン! グリーン! グリーン! グリーン! グリーングリン!』
アナウンサーの実況を忘れたかのような連呼に応え、グリーングリンは差し返すと、さらに2馬身突きはなしてゴールを駆け抜けた。




