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アイドルジョッキー馬になる  作者: ゆらゆらゆらり
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雪香 ☆ 3コーナーの攻防

 ここは絶対に引くわけにはいかない――ハミを噛んで、馬群の中へ。


 真夏にも思いが届いたのか、すっと手綱が緩んだ。私もそれに応じてハミを抜く。



 ちょっと脚を使ってしまったか。できるだけ、ここで息を入れたい。正直なところ自分で自分の力がわかっていない。

 いったいどれだけの脚(力)が私にはあるのか。


 後は自分を信じるしかない。






【そして、3コーナーへ】


 私の前に見える大きなお尻、私にぶつかってきた3番のあの馬だ。


 人気にもなっていた馬だし力はあるはずだが、スタート後もよれていたし、今も酔っ払いのように右に左にふらふら走っている。

 とにかく幼い。だからきっと、コーナーで外に膨らむ。




 コーナーに入ると、馬群が全体的に外に膨らむ。あの3番の馬も横の馬を弾くようにして、外に膨らんでいく。内側にぽっかりスペースが。


――真夏! 行こう。


 ハミを噛んで前へ。

 だが、手綱が絞られた。


――ダメ! ここで行かなきゃ。


 前へ。前へ。


 気持ちとは裏腹に、手綱が引かれて首が上がってはスピードが上がらない。

 スペースが……消えていく。


 外に膨らんでいた馬たちが内側へと戻ってきて、完全に行き場はなくなった。




 いったん下がったところから、真夏が手綱をしごいて、外へと導こうとしている。馬群の外側からまくり上げていこうというのだろう。


 だが、ハミを抜いて指示には従わず、内ラチに張り付くようにして走った。


 信ちゃんの話だと、今日の大井の馬場傾向は内が効く(走りやすい)とのことだった。だから、できれば逃げたかったし、そうでなくても内ラチ沿いを先行したかった。

 でも、それができないなら、ここは覚悟を決めて、じっとしているしかない。今、動くと外々を回され、コーナーがきつい大井では大きな距離損になってしまう。


 大井外回りの長い直線(386メートル)にかけるしかない。


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