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第8話 その理由

自転車の男が襲われてから1時間ほど経った。


実際に見る人の死はショックだったが、休んでもいられないので、パソコンで被害の拡大を確認しながら、僕は家の強化を進めている。


1階は窓を塞いでいる本棚を壁にネジ留め。

2階は電気をつけても光が漏れないよう、窓を塞いでいるダンボールを二重に。

3階は外の監視の為、カーテンのまま。

間違って電気をつけたら大変な事になりそうなので、スイッチはテープで固定した。


大体の作業を終え屋上に上がり、念のため様子をうかがう。


意外にも、住宅街は未だ平静を保っていると言っていい。

ただ、例のコンビニは少し前まで略奪者達の溜まり場だったのに、今は奴らの 溜まり場になってしまっていて、しかも奴らは先程からほとんどその場を動いていない。


いや、正確に言うと、動けていないのだ。


自転車の男との命を賭けたレース。

およそ生身の人間ではあり得ないスピードで、

あり得ない距離を駆け抜けたその脚は、

痛みの有無よりももっと根本的な、

その機能自体を既に有していないように見えた。


取り敢えず、奴らの生態の一つのサンプルとして、これからも観察し続けていこうと思う。



不意にスマホが震えた。

見ると、通信障害が解消され、今まで溜まっていた情報の全てを受信しようとしている。


通信障害の解消。


それが成されるとすれば、理由は2つしか無い。


一つは通信設備の大幅な改良。

しかし、このタイミングでそれが成されるとは思えない。


だとすれば、理由はもう一つの方。


被害エリアの拡大により通信の必要性が高まっているにも関わらず、通信量が減少していると言う事。



それはつまり、


「生きている人間が急激に減っている。」


そういう事だ。



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