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第25話 救われた世界

「うわ、ギリギリじゃん」


8時35分。

急いでいつもの天気予報を見る。


未だに再開されないそのテレビ局を諦め、僕はチャンネルを別のテレビ局に変えた。


いつも通りのいつもの部屋。


しかし何の気兼ねも無く開けられた窓は、間違いなくこの世界が救われた事を物語っていた。



あれから1週間がたった。


奴らのほとんどは、すでにその動きを止めている。


動けている奴らもせいぜい散歩程度の速さで、この世界を終わらせる者であった面影など、微塵も感じられなかった。



少し前にわかった事だが、この事態は世界中で同時に起こっていたらしい。

各国の様々な事情で伏せられていたが、どの国も日本以上に被害は深刻で、その最も大きな要因は略奪など人間同士の争いだったようだ。


この事態の原因である常在菌の突然変異。

それは局所的な偶然ではなく、その遺伝子自体に時限爆弾のように組み込まれていた、必然の進化だった。

今後同じ様な事が起こらないとは、誰にも断言出来ないだろう。



この1週間、僕達はただひたすら食料の分配に力を費やしてきた。


妹はパソコンで管理をしないと余分にもらおうとする人がいる、なんて言っていたが、

結局みんなを信じて、本当にピンチの人だけ窓にカラフルな服などを吊るしてもらう様に、あらゆる手段で呼びかけた。

その単純な方法は近所同士の助け合いに繋がり、それが難しい人にも、母の会社のドローンを使って食料を届ける際の目印にもなった。



この世界はとても不平等で、とても残酷だ。

でも愛に溢れ、とても優しくもあった。



この世界が終わらなくて良かった。



この後色々と大変な事も有るだろうが、僕がみんなのために出来る事など、もうほとんど無いだろう。





でも、やり残した事が1つだけある。





さっきからテレビに映るこの連中。



当たり前の様に人を傷付け、


当たり前の様に何もかも奪い、


みんなが飢えに耐えている間も、


奪った食料すらみんなに配る事も無く、


平気で救世主ヅラしているこの連中に、





僕が必ず人の痛みを教えてやる。



次回最終話です。


よろしくお願いします。

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