第2話 世界の終わり
顔面を剥ぎ取られた彼女が悲鳴を上げる直前、画面がスタジオに切り替わり、華やかなセットに座る2人のアナウンサーが映し出された。
ただ呆然としているその2人からは、いつもの流れるような言葉は何も出てこず、ざわついたスタジオの様子だけを伝えながら唐突にCMに入ってしまった。
「…まじかよ。」
まさか本当に?
いや、しかし…
先程の光景。
映画の中だけだった筈の光景。
僕の待ち望んだ事が、実際に起こっているのではないか?
そしてその考えは、CMが明け、読み上げられた速報で確信に変わる。
「速報です。都内一部地域にて暴動が多発しており、死傷者が多数出ているとの事です。
現在、警察及び機動隊が鎮圧にあたっておりますが、状況は不明。
なお、加害者集団は錯乱状態にあり、噛み付かれた等の情報もある事から、状況が落ち着くまで安全な屋内への避難をし、施錠をして自身の身を守る行動をとって下さい。
なお未確認情報ですが、被害者が負傷後、錯乱状態に陥り暴動に加わる事が相次いでおり、
間違い無い。
ついに来たのだ。
この僕を拒絶した世界。
その世界の終わりが。
「なくなられた方が生き返って、人を襲っているそうです。」