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196.神託?

 天界に到着。

 今回の件で、リニフローラ様には、ちょっと文句を言いたいところけど……。

 一応、先輩女神だからね。

 対するコッチは新米だし。

 なので、余りキツくは言えないんだよね。


 それに、下手に口撃すると、

『女神が人間に召喚されてやんの~』

 とか言いながら馬鹿にしてきそうだし。



 それよりも、先ずビブリダシー様に報告だ。

 ってことで私はビブリダシー様のいる館へと移動した。

 勿論、転移魔法でね。


 場所は、同じ天界でも私やリニフローラ様がいるところよりも一段上。

 ビッグバンの際に発生した数多くの宇宙全てを統轄する立場だからね。



「ビブリダシー様。ただいま戻りました」


「ピルバラナ。今回は災難でしたね」


「はい」


「ただ、魔王には名前がバレましたね」


「まさか、あれだけ強力な鑑定魔法を使えるとは思っておりませんでしたので」


「でも、防ぐ気なら十分防げたでしょう?」


「あっ、はい……」



 これに関しては、私が全然ガードしていなかったからバレたんだし、叱られても文句は言えないんだよね。

 正直なところ、敢えてバラした訳だし。

 でも、私が自らピルバラナの名を名乗ったわけじゃ無いからセーフだよね?



「しかし、まあ、貴女が女神ピルバラナであることを知って、ロットバルトは貴女の言うことを聞くようになったわけですから、結果オーライかも知れません」


「そう仰って頂けると有難いです」


「ただですね」



 なんか、ビブリダシー様が顔をしかめている。

 これって、まさか面倒なことが起きているってこと?

 変な風にならなければイイケド……。



「ええと、何か不都合でも起きたのでしょうか?」


「ロットバルトが魔王国(ノワール国)で貴女のことを祀ると決め、魔王国にいる部下に向けてマゼンダ帝国の城からテレパシーで指示を出しました」


「はっ?」


「しかも、妙に熱が入っています。絵師に貴女の似顔絵を描かせ、彫刻家に貴女の像を彫らせるとのことで動き始めています」


「でも、絵師も彫刻家も私の姿を知らないのでは?」


「それが、魔族間のテレパシーでは言葉だけでは無くイメージも送れますので」


「そんなん有りなんですか?」



 そんな便利な力があるのかよ。

 ちょっと魔族を舐めていたかも知れないな。



「有りなんです! さらに、ジャキ達に天罰を下した大天使として、貴女の似顔絵を魔法通信でアチコチに配信するようにも指示を出しています」


「えっ?」


「まあ、女神ピルバラナの名を出さず、大天使ラヤの名で通してくれていますけどね。むしろ、自分だけが知っている秘密ってことで喜んでいる感じですかね」


「はぁ……」


「あと、聖剣のことですが」


「は、はい……」



 やっぱり言われたか。

 これだけは、私もヤリ過ぎって自覚はあるからね。

 怒られるのは覚悟しているよ。



「まあ、こっちもピルバラナの名を出さなければ何をしても構わないとしていましたので、仕方が無いこととは思っております。ただ、余りヤリ過ぎないように」


「分かりました」



 取り敢えず、ビブリダシー様からのお小言は、この程度で済んだ。

 聖剣を渡したことも不問となったようだ。

 これで、私は自室に戻ったわけだけど、休憩する前に一つやることがある。


 私は、ディルビウム世界の枢機卿にテレパシーを送った。

 通常なら、教皇とか枢機卿に送るテレパシーイコール神託なんだけど……、今回は神託じゃなくてクレームだ。



「枢機卿よ」


「はっ! これはピルバラナ様」


「召喚魔法で嫁探ししている司祭達がいる」


「えっ? まさか、そんな者達が?」


「トンとチンとカンだ。この者達に魔力制限をかけるように」


「はい。分かりました!」



 要は、奴隷の首輪じゃ無いけど、魔力を制限するアイテムを強制的に取り付けろってことだ。

 こうでもしないと、またムダに召喚魔法を発動するだろうからね。



 …

 …

 …



 それから少ししてリニフローラ様から聞いたところだと、その後、魔王国(ノワール国)から魔法通信で今回のあらましが全世界的に発信された。

 要約すると、女神リニフローラの代行者として大天使である私が降臨し、ジャキと皇妃に天罰を下したとのこと。

 勿論、私の似顔絵付きだ。


 これを受信して、ツェータの冒険者ギルド長は青ざめていたようだ。

 この似顔絵の主は、キマイラをツェータの冒険者ギルドに持ち込んだ者に相違ない。

 しかも、私は、あの時、

『二度とツェータには訪れない』

 と言ったからね。

 ツェータの冒険者ギルド長は、この町が天界から見放されたと思ったようだ。


 勿論、私は、そこまで意図して言ったわけじゃないけど、下々からすれば、そう言われたとの解釈も出来るってことだ。



 一方、イータの町では、私が宿泊した宿では、

『大天使様が宿泊された宿!』

 と大宣伝し、今では多くの宿泊客で賑わっているとのこと。

 また、私が訪れた酒場も同様で、今では大繁盛しているそうだ。



 ただ、今回の一連の騒動で、一番驚いたのはイプシロン達だったらしい。

 まさか、大天使を相手に飲んでいたとは……本当は女神だけど……。


 イプシロン達は、まさかと思って私から受け取った剣を、鑑定魔法が使える者に鑑定を依頼してね。

 それで、聖剣と判明。

 今では毎日、私に祈りを捧げているとのことだ。



 これじゃ、さすがにハディアン世界には遊びに行けないな。

 似顔絵が出回っているし……。

 まあ、別の姿になって通行人Aを装うなら別だけどさ……。

大人のラヤではなくオリジナルラヤの姿でしたら問題無くハデァアン世界に行けると思います。

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