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冒険者物語  作者: 蘭プロジェクト
第6章 第四王女
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第四王女 その五

第九十八話 第四王女 その五


 車内では、ベッドでキーアキーラが子供をあやすようにメリーカーナ王女に添い寝している。


 「これは楽ですね、お姉様」


 「出来上がって初めてユージーの考えがわかったな。良いだろう?」


 「お姉様、ユージーは何者です? ワイヴァーンは狩るし、魔道具も作るし、治療はするし、私は魔道具を作れる魔道師など聞いた事が無いですよ? しかも無詠唱ですよ?」


 「誰にも言うなよ? ユージーはエルフの伝承に出てくる、風の神ルーディールーシュにそっくりなんだ。ルーディールーシュと大地の神ゲルアがエルフの祖先と言われている。魔力は青銅級で非常に少ないのだが制御がすごい。あと、魔力の使い方も上手い。頭が良い奴だな。あとな、ユージーから魔力が微量漏れていてな、お肌にいいし、良い匂いがする」


 「ちょっと! お姉様! それって!」


 「ああ。いつもくっついて寝ているからな。でも今回の南部行きでヴェルヘルナーゼといい仲になっているみたいに見えるし、添い寝も終わりだな。残念だ」


 「・・・お姉様、若返ってますよね? 五歳は若いですよ・・・まるで二十歳くらいですよ。見たときびっくりしましたもの」


 「お、着いたな。ヴェルヘルナーゼを呼んで話を聞こうか」


 キーアキーラはドアを開けてヴェルヘルナーゼを呼ぶ。


 「なあに?」


 ヴェルヘルナーゼが入ると、キーアキーラとメリーカーナ王女に抱きつかれる。


 「さあ、ユージーと何をしたか白状してもらおうか」


 「え? ちょっと」


 「痛かったのか? でもあの痣の呪いで無理だったよな」


 「ちょっと! うちは愛撫してもらっただけです!」


 「言ったな? さあ、吐いて貰おうか!」


 「んもう。全身を触られてキスされて、何回も何回も絶頂にって! ちょっと!」


 「そうか、とうとう愛してもらったのか」


 「うん。あとはうちの痣を引きはがしてくれたらうちは受け入れるよ。ってうちは何を! もう!」


 「うわー。うわー」


 「でもね、ユージーが苦しそうなの。うちを女に出来ないから・・・手でね・・・って、イヤー恥ずかしい! キャー」


 「いいな。私は子宮が駄目になっているから、男に抱かれたことは無いし、羨ましいな」


 「ヴェルヘルナーゼさん、幸せそう。いいなあ。私も誰と結婚するんだろう・・・あ、お姉様もユージーが好きなのね?」


 「ああ。魔剣を貰ったからな・・・貰ったとき嬉しかったが、あいつは妾を持てない男だから、ヴェルヘルナーゼ一筋だ。ああ、これが失恋だなって思ったぞ。ミカファでもいいかな? 何回も求婚されているからな」


 「え? キーアキーラ、本当なの?」


 「まあな。メリー、私は辺境病くさいんだ。段々動けなくなってきてるんだ。しかも私は子を産めないだろ。もうすぐ死ぬと思っていたから、結婚はするつもりは無かったんだ。でも幸せそうなこいつを見ると羨ましくなってな。散々体で誘惑してもこいつ一筋で、見上げてしまったよ。と言うわけでユージーはヴェルヘルナーゼの物になったから、メリーは駄目だぞ」


 「ええ? 駄目ですかあ? ぶっちゃけ連れて帰りたいんですけど。無理矢理侯爵にして、結婚したい・・・それよりお姉様病気なの?」


 「ユージーは駄目だぞ。あ、辺境病も、子宮もユージーに治して貰う事になっているから心配するな」


 「わかったわ・・・いいなあヴェルヘルナーゼさんは。これからクるわよね。格好良かったのよ。颯爽と現れてワイヴァーンをバリバリやっつけてね・・・」


 「フフフ。私が見込んだ奴だ。有名になるぞ。で、女になったら報告するんだぞ」


 「ゴメンね、キーアキーラもユージーを大好きだったでしょう」


 「ああ。胸がちくちく痛かったが、もうスッキリした。で、ヴェルヘルナーゼは何処が良かったんだ? 吐いてもらおうか」


 「ちょっと! 止めてよ! もう!」


 「五月蠅い! 吐け! あ、ユージーの良いところの話だぞ。勘違いしたな?」


 「フフフ。お姉様とヴェルヘルナーゼさんは仲が良いのね。いいなあ」


 「メリーも秘密を吐けば、魂の繋がりだぞ。私とヴェルヘルナーゼは魂の繋がりなんだ」


 「え? 私はたいした秘密はないけど、白状するわ。あの、ユージーもいいなって思ったんだけど、龍を呼ぶヴェルヘルナーゼさんも格好いいかなって・・・キスくらい良いですよね! 女同士だし問題ないわ! 初めてのキスはヴェルヘルナーゼさんで! ん、ん、ん・・・」


 ヴェルヘルナーゼは突然キスをされて硬直してしまった。


 「あ、馬鹿! 舌を入れるな! ヴェルヘルナーゼは呪いで魔力を吸い取るんだぞ!」


 キーアキーラは魔力欠乏のためにぐったりしているメリーカーナ王女を引きはがす。


 「ほら、魔力薬を口移しで飲ましてあげろ」


 「ええ? もう」


 ヴェルヘルナーゼは口移しで魔力薬を飲ませた。途中からメリーカーナ王女は抱きついてきた。ヴェルヘルナーゼが口を離すと、メリーカーナ王女はトロンとした目をしている。


 「い、いいわ・・・」


 「ウフフ。好きな男とするキスはもっと気持ちいいわよ。殿下もいい人とキスできるといいわね」


 「え? お姉様、これが男のいる余裕って奴?」


 「ああ。眩しくてかなわんな」


 「ちぇ。いいなあ。いい男とキスできてさ・・・」


 「メリー、お前は力があるから派閥を作って政治的に好きな男を落とせばいいだろ」


 「うん。わかった・・・でもこのおっぱいが! おっぱいが! 羨ましいです!」


 「きゃ!」


 「ホントだな」


 ヴェルヘルナーゼは二人に胸を触られる。


 「ちょっと! 良い物あげるから止めて!」


 「なになに? ヴェルお姉様」


 「ええ? もう。これよ。ユージーの漏れ出る香りというか、魔力を溶かした回復薬よ。ロビーリーサさんの魔力を抜いて一生懸命ユージーの魔力を集めたの」


 二人に小さな瓶を手渡す。


 「最初はユージーは魔力を使い果たしてすぐに寝ちゃったから集められたのよ。だけどクーディーメローシュの首塚で魔力が少し増えたから先に寝ないのよ。だからいまは一緒に寝ているの」


 「裸でだな?」


 「ウン。二人で飽きるまでエッチな事を・・・ってちょっと!」


 「ブッ」


 「メリー、鼻血が! 興奮しすぎだ! お前にはまだ早いか!」


 「変態くさいけど頂いておくわ・・・どれどれ、香りを・・・す、凄い香りだわお姉様」


 「メリー、それがユージーの香りだ・・・本当だ、これは凄いぞ。肌が若返る秘薬だな。メリーはまだ要らないだろ。取っておけよ。三十歳近くになったら使うんだぞ」


 「うん。お姉様」


 二人は香りを嗅いでる。


 「おい、運命の女神クーディーメローシュの首塚を見つけたのか?」


 「うん。龍だった。龍の首が、死ねずに封印されていた。ユージーが息の根を止めたよ。ミスリルのゴーレム人形と、アダマンタイトの剣、クーディーメローシュの頭蓋骨を手に入れた。死んだら人の頭蓋骨にもどったんだ。凄い魔力があるよ。あとね、戦いの女神、アプルーディーメローシュの首塚もあった。聖堂の奥が首塚だったわ。アルプーディーメローシュもやっと楽になったのよ。下半身を千切られても死ねないのね。アルプーディーメローシュからは牙を貰ったわ。神の魔力で練られたミスリルよ」


 「本当に? 嘘でしょうヴェルお姉様」


 「じゃあユージーを呼ぶわね。エッチな話は終わりよ?」


 「うん。ヴェルお姉様」


 ヴェルヘルナーゼはドアを開けるとユージーを呼んだ。


 「何? 随分楽しそうだね」


 「ね、ユージーお兄様! 凄いお宝を手に入れたんですって?」


 俺はメリーカーナ王女に抱きつかれて戸惑った。


 「あ、話したの? で、お兄様って何?」


 「あ、ヴェルお姉様って呼ぶから、当然お兄様でしょ?」


 「ええ? これですよ。アダマンタイトの剣。要らないんだよね。はい」


 俺はメリーカーナ王女にアダマンタイトの剣を手渡した。


 「王宮のアダマンタイトの剣を見たことがあるわ・・・確かにこの剣はアダマンタイト。重いわね」


 「アハハ。それはね、十八ー八ステンレス鋼という合金なんだ。製法はわかるけど、造れないよ。錆びない、輝きを失わない鋼なんだ。要ります? 献上しても良いですよ」


 「いいわ。うち等は魔剣を貰ったし。ね、キーアキーラ」


 「献上しても構わないが、説明が面倒だからユージーが持っておけ。で、これが魔剣だ」


 キーアキーラは煉獄刀を抜き、すっと空を切る。残像は白色の虹を描く。


 「え? 凄く格好いい」


 「うちのはこれ。ファークエル」


 ヴェルヘルナーゼは燃えさかる炎の剣を顕現させた。


 「大精霊の炎の龍が剣に?」


 「そうよ。いいでしょ」


 「いいなあ。私も欲しい! お兄様お願い!」


 「殿下、魔剣は仲間の誓いなんです。簡単に渡せる物では無いんです。わかって頂けるのなら、新たに魔剣を打ちます」


 「仲間の誓い・・・ハイ」


 メリーカーナ王女は小さく頷くと抱きついてきた。


 「あ、殿下が落とされたわ。もう、あなたったら」


 「ああ。撃沈だな。まさか王女殿下が法衣騎士の言いなりなんて誰も思わないだろうがな」


 「・・・いいじゃないですか。お慕いするだけです。ヴェルお姉様との仲は邪魔しません。ね、ユージーお兄様」


 「え? 殿下、まさか」


 「はい。ヴェルお姉様が居なかったら王族令を出して無理矢理王都に連れ帰る所でした。これが初恋で失恋なんですね」


 「申し訳ありません。俺はヴェルヘルナーゼが大好きなんです」


 「わかってます。一途なのも、格好いいのも知ってます」


 俺は優しくメリーカーナ王女の頭を撫でる。俺の胸が湿気を帯びてきている。


 「毎日ヴェルお姉様と裸で抱き合っているのも、ヴェルお姉様を何回も満足させているのも、ヴェルお姉様に手で・・・あ、手でってどういう事ですか?」


 「ちょ、ちょ、ちょっと!」


 俺はもの凄く焦り、冷や汗が出る。


 「ゴメン。全部話しちゃった。これで隠し事は無しよ。四人は魂の仲間よ」


 ヴェルヘルナーゼが言い切ると、メリーカーナ王女は涙を拭いて微笑んだ。


 「よろしくお願いします、お兄様」


 「は、はい。涙で目が腫れちゃったね。魔法で治してあげる」


 俺はメリーカーナ王女の腫れた目に指をあて、魔力を流して腫れを癒す。


 「あ」


 キーアキーラは声を上げた。


 「綺麗な魔力です・・・透明で、透き通っていて。あ、あ、ああ、私の魔力が塗り替えられて・・・」


 「あ、不味かった?」


 「遅かったわね。テイムしちゃったんじゃない?」


 メリーカーナ王女が恍惚とした表情を浮かべるのを見て、ヴェルヘルナーゼがため息をついた。


 「まあ、ユージーの魔力に染まると、魔力制御が圧倒的にしやすくなるし、魔力は増えるし、いいわよ。うちも魔力を書き換えられているし」


 「私も実は書き換えられたんだ。魔力に影響があるのか? 私も魔法を覚えようかな」


 「え? 待って? みんなの魔力を染めちゃったの?」


 俺は驚いて皆を見る。


 「ああ。テイムされると思ったけど違うな」


 「お兄様、お願いがあります! 私に魔法を教えてください!」


 「え? じゃあ滞在を伸ばしてもらって教えましょうか」

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