迷宮都市ベーフディア
第四十四話 迷宮都市ベーフディア
「着いたわね。ベーフディア。通称の方が有名なのよね。迷宮都市よ」
幌馬車を降り、俺達は門の前で立っている。護衛は門で終了、銀貨五枚を貰った。迷宮都市の城壁は高く、丈夫に見える。
「ユージー、迷宮都市の城壁は迷宮から溢れ出る魔物を外に出さないためと言われている。実際に溢れたことは無いらしいんだがな」
俺はキーアキーラの後に続いて門に向かう。門は長い行列だった。全て冒険者だ。
「ユージー、覚悟はいいか。この門を潜ると、半分は生きて出られない。何階層あるかわからない、冒険者を飲み込む欲望の迷宮だ」
「迷宮ベーフーディーフェルト。これが正しい名よ」
「え! ベーフーディーフェルトって・・・」
「あら、覚えていてくれた? フェルト神族の冥界の神ベーフーディーフェルトの名が冠されているわ。無論、冥界の神と知っているのはエルフくらいだけどね。ベーフーディーフェルトが悪しき地より知恵を鍛冶の神ジューギーフェルトに与え、天の槍ゲールファイを作ったと言われているわ。迷宮の底に、ベーフーディーフェルトがいるかもね。もちろん誰も踏破していないけどね。でも魔剣があれば行けると思うのよ」
ヴェルヘルナーゼは拳を作って意気込んでいる。
門の前で多少待ったが、冒険者ギルド証で入る事が出来た。中に入ると巨大な広場になっていて、正面が神殿のような建物が建っている。広場の周囲は色々な店が建ち並び、宿や酒場も多々あった。
匂いだ。むせかえる、男臭い匂いがする。広場はテントが沢山立ち並ぶ。昼間からエールを飲んでいる冒険者もいる。
「まずは冒険者ギルドに行くか。冒険者ギルドというより素材買い取り所と言った方がいいな」
「ユージー君、何か必要なものはある?」
「魔法具って売っているのかな?」
「売っていないぞ。必要があれば作るんだな。ユージーなら作れるだろ? 何が要るんだ?」
「魔法具の竃が欲しいです。魔石で加熱出来るのが欲しいんですよ・・・鍛冶屋に行きましょうか」
「じゃああそこだな。しかし、迷宮に入るのに必要な物は食い物関係とは恐れ入った」
キーアキーラは先頭で歩き、鍛冶屋に入っていった。中はお店になっている。剣や盾が並んでいた。小さめの盾が欲しい気がする。使わない時は魔法の鞄に入れておけばいいし。
「おーい、ベベルーはいるか!」
「なんだ、五月蠅いな・・・キーアキーラじゃねぇか。久しいな。迷宮か?」
見たことある人が現れた。人というか、ドワーフだ。人間よりも背の低い、髭モジャの鍛冶師が現れた。ルーディアの鍛冶、べべルコに似ているが何か違った。
「べべルコさん? いや少し違う?」
「なんじゃ、兄貴を知っているのか?」
「べべルー、ルーディアではお世話になっている。ユージーとヴェルヘルナーゼだ。今は三人でパーティーを組んでいる」
「なるほどのう。で、剣か?」
「いや、ユージーが作って欲しい物があると言ってな」
「これくらいの鉄板を折ってコの字型にして貰えないですか? 鍋置きなんです。裏側、コの字の内側に銀貨を溶かして下さい。二個欲しいです。刻印もお願いします。大と小と打って下さい」
俺は三十センチくらいの大きさを示す。足の高さは十センチだ。俺は銀貨を二枚手渡す。
「何に使うのかわからんが、いいぞ。待っていろ。銀貨五枚で作ってやる」
「盾も欲しいですよね。多分使わないですが」
俺は木に、薄い鉄板が張ってある中盾を手に取る。数売り品なのか、同じのが十枚置いてある。極度に軽くないし、重くないし、手頃である。
「これを買うよ」
「いいわね。うちも買うわ」
「私も買うか」
三人で盾を持って、感触を確かめていたらべべルーが帰ってきた。
「その盾は銀貨五枚じゃ。安物じゃぞ。ほら、出来たぞ」
俺は出来映えを確かめる。二ミリくらいの鉄板がコの字になっている。足は十センチ。ちゃんとコの字の内側に銀が伸ばしてある。
俺はそれぞれに魔力を付与する。一つは近くの魔石を使って二千五百ワットの発熱をさせる。もう一つは八百ワット。強火と弱火だ。俺の作る魔法具類は操作が効かないのが難点である。可動部が無いから、動くか動かないかしかできないのだ。
「出来た。竃の魔道具、魔道竃」
「なんじゃ? お主は錬金術師じゃったのか。一番はやっぱり錬金術師よの。儲けるのはな」
「魔石がいるのかしら? 使って」
ヴェルヘルナーゼは親指ほどの魔石を二個くれた。俺はテーブルに魔道竃を置いて、下に魔石を置く。魔道竃からは熱が発せられる。
「上手くいった様ですね・・・これで迷宮内でもお茶や料理が出来ますよ」
俺は魔法の鞄から冷えてしまったケトルを取り出し、「大」の魔道竃に置いてみる。「小」の魔道竃にはシチューの鍋を置いてみた。シチューは魔法の鞄のおかげでまだ暖かったので、魔道竃の上に置くとクツクツと煮えてきた。
「良いわね。迷宮で火を焚かなくてもいいのね?」
ケトルも無事に沸騰し、皆にお茶を注いだ。ついでだからシチューも食べる事にした。
「おおお・・・それは売れるな。売る気ないか?」
「魔道竃ですか? 俺は魔力が少なすぎて二個作るのが精一杯なんですよ・・・一個だけならなんとか」
シチューとケトルを魔法の鞄に収納する。
「一つだけなら良いですよ。大でいいですよね。あと、俺のことは秘密でお願いしますね」
べべルーは慌てて鍛冶場に行き、鉄板をコの字型に曲げて持ってきた。俺はコの字型鉄板の銀に魔力を付与した。
「知り合いの細工師に頼んで格好いい魔道具にする。貴族に高く売りつけてやる。すまんな。代わりにこの盾を持っていけ。でだな、休みの日に合計十個の付与を頼みたいんじゃ。待っていろ。兄ちゃんに似合うと思うぞ」
奥から出された盾は、木に赤い鱗が張ってある盾だった。軽い。
「龍の鱗の盾じゃ。多分ワイヴァーンだと思うがな。兄ちゃんはレングラン男爵家の人間なんじゃろ? その鎧は家宝の鎧じゃからな、それは。魔道竃と、あと二つの盾の代金も要らん。持っていけ」
俺は礼を言って外に出た。俺は龍の鱗の盾、二人は先ほどの鉄板の盾だ。
「やったわね、ユージー君。あとは兜と面頬だね」
「盾も貰ったし、儲かったな」
「ユージー君は別に依頼を受けたり迷宮に潜らなくても暮らしていけそうよね・・・ね、盾を構えて刀を抜いてみてよ」
俺は言われた通りに盾を構えて右手一本で煉獄刀を抜く。煉獄刀は炎を発しながら空を切るが、片手では重くて速度が出せない。
「か、格好いいわね」
「ああ。似合うぞ。煉獄騎士だ。なんだかやばい地から来たと言っても納得してしまうな。いいぞ」
「ええ?」
「名乗りはちゃんとしなきゃ駄目よ? 煉獄騎士ユージー・アーガスですって言わなきゃ駄目よ?」
「止めてよ、ヴェルヘルナーゼ。もう」
俺達は笑いながらギルドを目指して歩いた。
ただいま迷宮の構成を考えております。
なかなか考えが纏まらず、苦戦しています。
評価、及びブックマークありがとうございます!
気に入っていただけたら、是非評価をお願いいたします!
↓下の☆☆☆☆☆をクリックしてください!




