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冒険者物語  作者: 蘭プロジェクト
第2章 冒険の開始
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日本刀と龍筒 その三

第三十九話 日本刀と龍筒 その三


 「行くわよ」

 「王国最高峰のミスリル加工だ。見ておけ。ヴェルヘルナーゼの精霊術と並ぶ、高位の魔術だ」


 俺とヴェルヘルナーゼはキーアキーラの言葉に息を飲みつつ、テーブルの上のミスリルインゴットを眺める。


 ロビーリーサが小さな声で呪文を唱え始めると、インゴットの下に光り輝く魔方陣が現れた。魔方陣は回りながら数を増やしていく。回る魔方陣の上に、空中で魔方陣を書いていく。三つ、四つ、五つ・・・魔方陣がいくつも浮かんでは消えて行く。魔方陣が消える度にインゴットは形を変え、筒状になっていく。ロビーリーサは一気に十の魔方陣を空中に書いた。筒になったミスリルの内部に溝が掘られていく。ライフリングだ。出来上がると、三つの魔方陣を空中に描く。残りのミスリルが円錐形の形に変わっていく。二十回繰り返すとミスリルが無くなった。


 「出来たわ」

 俺はライフリングが掘られた筒を手渡される。


 「凄い・・・感動しました。ロビーリーサさん」


 ヴェルヘルナーゼは魔術だからか、前の前で繰り広げられた多重魔方陣の発現に感動していた。俺も魔方陣の美しさ、短い杖で空中に描かれる光る魔方陣と、記述の正確さ、素早さに目を奪われた。俺が到達しないであろう一つの完成形だと思う。


 「はい、これでいいの? 作ってから言うのもなんだけど何これ? 本当にアミュレット十個分の価値があるの? 片側が塞がった只の筒よ?」


 俺は筒に円錐形のミスリルの弾を入れる。寸法はピッタリで、すうっと入って行く。


 用意しておいた穴の開いた木の棒にミスリルの筒、銃身を差し込む。穴は偏心していて、中央からずれた場所に開いているので銃に見えないことはない・・・見えないな。引き金が欲しいが我慢する。見た目はかなり残念な銃だ。どう見ても杖にしか見えない。


 「杖なのね?」

 「違いますよ。攻撃魔法を持たないから、魔道具を作って貰ったんです。外に出ましょう」


 「え? 魔道具なの? 違うわよ? 魔石も組み込んでいないし、魔方陣もないから魔道具じゃないわよ」

 ロビーリーサも驚いている。


 俺はミスリルの銃を構える。目標は外の岩。岩というか、大きめの石が地面に置いてある。


 「あの岩を壊してもいいですかね?」

 「いいけど壊せるわけがないわよね」

 ロビーリーサが許可をくれた。不思議そうな顔をしている。


 「見ようではないか。ユージーは破壊的な武器を作る天才だからな」


 俺は体内で魔力を練る。魔法で火だとかを発現できるようだが、魔力の少ない俺では不可能である。精々、物質を暖めるとか、冷やすとかそれぐらいだ。物質を生み出すのは無理なので、空気の状態を変えるだけにとどめる。イメージはアメリカ海兵隊のライフル。

 

 ライフルとはライフリングの切られた銃の事だ。弾丸はライフリングによって回転しながら飛んでいく。回転することにより命中精度と飛距離が大幅に伸びるのである。ライフリングを持たない火縄銃は百メートルが命中する距離であるが、ライフルは一キロでも狙える。飛距離が全く違うのだ。


 俺は黒色火薬ではなく、現在の無煙火薬をイメージ。火薬が爆発するイメージで筒内で爆発を引き起こす。


 ぱあん!


 銃声が響き、俺は勢いで吹き飛ばされた。


 「いてて・・・凄い反動だ・・・」

 俺は何とか立ち上がると、三人は一点を凝視していた。


 「岩が砕け散ったわ・・・」

 「やったぞ。これで戦力になるかな」


 「龍筒よ。ユージー君。それは龍筒とするわ。龍の加護を得た龍魔法よ。龍の鎧を着ているしいいんじゃない」

 「え? 違うよヴェルヘルナーゼ。弾を空気圧で押し出しているだけだよ」


 「いいのよ。中身がばれにくいように大袈裟な名前を付けるのよ。龍筒よ。ダンジョンの奥からユージー君が見つけたのよ」


 「潜った事も無いよ」

 「いいの!」


 「命名のセンスはともかく凄いな。何回放てそうだ?」

 「五回撃ったら気を失いますね」


 「うむ。ヴェルヘルナーゼ、障壁で防げるか?」

 「自信ないわ。こんな小さな物を防ぐことなんてないもの。それに凄い速いわよね。遠くから狙撃するのかしら? 乱戦になったら使用は難しそうね」


 流石ヴェルヘルナーゼだと、俺は思った。先込め式の銃の欠点を良くわかっている。俺もリボルバーとか作りたいが、流石に難しい。


 俺はミスリルの弾を掘り起こす。高価だから見つけられて嬉しい。


 「さて。明日も来る。今日は夜に鍛冶屋に行くし、何処かで飯でも食べているか」

 「あ、賛成!」

 ヴェルヘルナーゼもニコニコして返事をする。


 「名物のオーク焼きでも食おうかと思うのだが・・・」

 「ええ? オーク? オークはやだな」

 ヴェルヘルナーゼが嫌な顔をする。


 「私も反対よ。オークを食べるのは冒険者と貧乏人位よ」

 「お、ロビーリーサも苦手か。じゃあ止める・・・どうした、ユージー。青い顔をしているぞ」


 「確か、オークって人間の子を産めますよね・・・」

 「産めるし、クォーターオークもいるぞ。背の高い奴は恐らくオークとの混血じゃないか? 頭も悪いしな。この前の金級みたいに」


 「キーアキーラさん、手を」

 「なんだ? 手を触りたいのであればヴェルヘルナーゼの手を・・・私は何か病気の恐れがあるのか?」


 「ええ。オークは恐らく人類の亜種です。魔物化した人間なのでしょう。オークを食べると言うことは食人カリバリズムです。人間最大のタブーじゃないですか」


 「気持悪いのは理解出来るよ。でも気持悪いだけじゃないの?」

 俺はヴェルヘルナーゼに首を振った。


 「タブーだとかにはちゃんとした理由があるんですよ。我々人間も、肉食動物も同族は食べないんです。タブーだからです」


 「わかった。心構えは出来た。教えてくれ」

 「キーアキーラさん、クロイツェル・ヤコブ病になるからです。脳の中にですね、プリオンという物が発生して、脳がスカスカになります。発症すると半年で動けなくなり、死亡します」


 牛が発症するとBSE、狂牛病である。飼料に混ぜた牛の肉骨粉が原因だったはずだ。プリオンという、殺人タンパク質による脳の疾患である。難病になる。プリオンは食人の風習がある部族が短命なことから発見された。


 俺は魔力を練り、キーアキーラの体に流し込んでいく。俺はキーアキーラの全身に魔力を流し込む。


 「お、ユージーの魔力が来たぞ。凄い綺麗だな。透明で輝いている。私の魔力は濁った感じなんだが、どんどん綺麗になっていくな・・・抵抗できないな。私もユージーと同じ魔力の色になってしまうな」


 「え? あ?」

 俺は驚いて変な声を出してしまった。


 「大丈夫だ、私は魔術師ではないから気にしない。君から受け取ったアミュレットはちゃんと作用しているので気にしないぞ・・・ん? ヴェルヘルナーゼどうした?」


 「ちょっと待って! 待って! 駄目よ駄目よ!」

 「どうしたのだ、ヴェルヘルナーゼ?」


 「なにいってんの! あなたテイムされる所だったわよ! ユージー君の従魔になる所だったわよ! キーアキーラ、あなたユージー君を受け入れすぎよ!」


 「ん? 私がユージーを? 魔剣を作って貰ったし、アミュレットも色々とあれだし、いいかなって思うぞ」

 「ええ? ユービー君、あなた魔剣を作れるの? 聞いて無いわよ? ちょっと。キーアキーラが従魔になるのはどうでも良いけど、魔剣は別よ!」


 完全に部外者顔だったロビーリーサが割り込んできた。場がカオスになってきた・・・


 「一度、お茶でも飲みながら話しましょうよ」

 「そ、そうね。ユージー君のいうとおりだわ」

解説です。

本作では、ゴブリン、オーク、オーガを鬼族とし、人間の種族と設定しました。

人間とは混血が可能な種族です。

ゴリラやチンパンジーなどは正しくは二足歩行は不可能で、ナックルウォーキングになります。

鬼族は武器を持って完全二足歩行をし、ある程度の言語も有しますので完全に人間と思われます。

よってオーク肉を食べるとクロイツェル・ヤコブ病になるものとしました。

クロイツェル・ヤコブ病は作中では辺境病と言われ、人間の平均寿命を大幅に下げる原因としています。

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