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冒険者物語  作者: 蘭プロジェクト
第2章 冒険の開始
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日本刀と龍筒 その二

2020.4.18日本刀の部位で、硬い部位と柔い部位が逆でした。ご指摘ありがとうございました。


第三十八話 日本刀と龍筒 その二


 「はいこれ、キーアキーラさんの分です。後で使用感を教えて下さい」

 「・・・アミュレットか?」


 「違いますよ、魔法の鞄です」

 「ん、私は耳が悪くなった様だ。なんだって?」

 翌日、俺達は日本刀の出来具合を見に鍛冶屋に行く途中である。


 「キーアキーラ、魔法の鞄の仕組みを考察したユージー君が作った最新作よ。魔法で収納するんだから鞄である必要なんてないのよ。多分短剣やナイフでも・・・あ」


 ヴェルヘルナーゼは地面に手を当てると、地面が半球状に抉れた。


 「やっぱり、凄い武器よねこれ」

 「成る程、容量は小さいんだな。だがそれが功を奏して武器となるか。私は薄く切断するようにしたいな。平たく収納」


 キーアキーラは指輪を右手に嵌めて石を触ると、綺麗に切断された。


 「吐き出せ」

 キーアキーラの手から石の輪切りが落ちた。ヴェルヘルナーゼは土を戻し、足で踏み固めている。


 「とんでもない武器だな」

 「やっぱり二人に渡して良かったですよ。作るとしたら、液体だけ収納可能とかにしないと危ないですね」


 「技術料として貰っておくぞ」

 「いいですよ。助かりました」


 「暗殺者とかに渡ったら大変だな」

 「そうね。もう作っちゃ駄目よ。確かに水だけにしておいた方が良いわね。生物の収納は絶対に駄目だわ」


 「ああ。でも武器を失っても戦えるし、龍の尾に捕らわれてもこれで脱出出来る・・・ほら見えてきたぞ」


 龍の尾に巻き付かれても生きているという認識は凄いと思うが、出来れば無いようにと願う。


 俺達はドワーフの鍛冶屋に入った。


 「おはようございます。俺の曲剣はどうなりました?」

 「あら、ユージーちゃん。もうね、うちの人ったら寝ないで打っているのよ。こっち来て」

 妻のボーローは奥の鍛冶場に案内してくれた。


 「お、確かユージーだったな。形になったのは四振りだ。見てくれ。お前さんの体格に合った、短めの曲刀だ」

 俺は差し出された抜き身の刀を見る。


 「部材は四分割だ。刃と、背と、挟み込む部材だ。刃だけが柔いやつだ。真っ直ぐだけどいいんだろ。焼きを入れると確かに反るな。成る程と思ったぞ」


 俺は真っ直ぐな刀を見る。まだ焼きを入れていないので、細身の短剣といった面持ちである。刃長は六十センチくらい。今の俺にとってちょうど良い重さだ。


 刃を眺めてみる。鍛接部も見えなく、綺麗だ。刃の表面は研いでいないからまだわからないが、良いのでは無いかと思う。俺は微量の魔力を流してみる。炭素量が刃が0.7パーセント。若干のクロム、モリブデン、バナジウムを含んでいる。全ての刀が同じ感じである。


 「ユージー、出来れば解説してくれないか」


 「ああ、そうですね。俺の国では刀と呼んでます。


 この刀、まだ焼き入れをしていないので真っ直ぐですが、焼き入れをすると反ります。この反りが切れ味を産むんです。俺がお願いしたのは炉でぐつぐつに鉄を焼いて貰い、十五回叩いて鍛えて貰いました。


 鉄は、炭素含有量で性質が大きく変わるんです。タタラから出たばかりの玉鋼は炭素量が多すぎて、とても剣には出来ないので、叩いて貰うわけです。


 焼いて叩いてを十五回繰り返すと炭素が抜けていってちょうど良い炭素量になるんです。炭素をこの刀レベルまで抜いたら鋼となります。


 ご主人の経験で硬い鋼と柔らかい鋼に分けて貰いました。刃の部分だけが柔くて、刃を包むように硬い鋼で覆っています。硬い鋼は硬いんですが、脆くなります。


 一方、柔らかい鋼は伸びたり、衝撃を吸収できて割れにくくなります。硬くて鋭いのですが、粘りもあるという相反する事を両立して貰いました。


 最初から最後まで叩いて形成して貰ってます。鋼は叩けば叩くほど、金属組織が密になり丈夫になります。クロム、モリブデン、バナジウムという金属が若干含まれています。鋼を強化する金属も良い具合で含まれています。叩くことでこの微少な金属も均一になるんです」


 俺が長々と話をすると、鍛冶のべべルコが真剣に聞いている。

 

 「じゃあ剣は十五回叩いてから更に叩いて作った方が良い剣になるのか、ユージー」

 「その通りです、飲み込みが早いですね。キーアキーラさん」

 

 「細かな金属だかの量はユージーが魔力で量るのだな」

 「正解です」

 キーアキーラはうんうんと頷いている。


 「なんじゃ、クロムだとかモリブデン、バナジウムなど聞いた事がないぞ」

 「鉄にとって、クロムとモリブデンは重要なんですよ。クロムを十八パーセント、あ、ニッケルだ。ニッケルを八%入れると錆びない鋼になるんですよ。ただ刃物には向かないかも知れませんね」


 「なんじゃと?」

 「でも手に入らないでしょう。変わった鉱石を見つけたら持って来ますよ」


 「その錆びない鋼に興味がある。頼む。で、焼きを入れるのだぞ。どうする?」

 「粘土と灰を混ぜた物を刀の背に塗って、乾いてから焼き入れします。割った炭でお願いします」


 「待ってろ。それは用意してある」

 べべルコが持ってきた


 俺は刀の背に塗っていく。日本刀の特徴に刃文がある。刃と峯の間にある文様だ。真っ直ぐだと直刃、のたれ、小乱れ、瓦のぐのめ、丁字などに区分される。俺の記憶では鍛接の材料の差異が現れると思っているが念の為、瓦の目っぽく塗る。綺麗なサインカーブの形である。俺の見本通り、べべルコは同じように残り三本を塗る。


 「よし、乾かそう。炭を割るのか。おい、割れ!」

 真剣に俺の話を聞いていた弟子達が一斉に炭を割り始める。


 「冷やす水の温度は夏の水温でお願いします。温度は秘伝と聞きますが、夏の水温でないと冬と夏で焼きの入り方が変わっちゃいますよね」


 「一回ごとに交換だな」

 「ええ。お願いします」


 「わかった。やるか?」

 「いや、焼きが見えやすい夜にやりましょう」


 「うむ。飯を食ったらこい。いっぺんにやるぞ」

 「お願いします」

 俺は礼を言って鍛冶を後にした。


 「ユージー、その鎧はどうしたのだ。鱗か? ワイヴァーンだな・・・」

 「男爵から貰いました。代わりに法衣騎士爵に叙任されちゃいましたよ。金欠だからアドバイスをよこせって」


 「ユージー君の事をアーガス騎士爵と呼ばないと駄目よ」

 「ああ、そうか。法衣騎士爵おめでとう。何やるんだ? 金策など難しいだろ、ルーガルじゃ」


 「そうでも無いですよ。薬草畑を作って貰いましたよ。ほら、珍しい薬草があるじゃないですか。増やせば儲かると思いますよ」


 「なるほど。ロビーリーサにも伝えておくか?」

 「無論です」

 俺達はその足でロビーリーサの家を訪れた。


 「あら! 良く来たわね! 入って! ユービー君! 大金星よ! あの薬が全部売れたのよ! アミュレットもね! とりあえず入って入って!」

 俺達は中に入り、テーブルに座る。


 「ロビーリーサさん、まずは残りの納品です。アミュレットが八個」

 俺は小さな革袋を八個出す。


 「あら、奥様に売れたわ。さらに正式注文も頂いたのよ。ね、どうしよう? お願いしてもいい?」

 ロビーリーサはアミュレットを一個づつ頷きながら確かめている。


 「おいおい、駄目に決まっているだろ。奥様ってソーラ様か?」

 「そうよ。流石ね、キーアキーラ」


 「それだと装飾品に詳しい商会を使った方が良いですよ。俺達にそんなの無理ですって。出来上がったら最後に付与しますから」


 「そうね。ユービー君の言うとおりね。キーアキーラ、誰か知らない? ミスリルを扱っているとこしか知らないのよ」

 「知るわけないだろ。鍛冶屋なら紹介するぞ。ドワーフだから良い腕だ」


 「わかったわ。ミスリルのところで聞いて見るわね。冷え性の薬、奥様は大変喜んでいたわ。明らかに体調が良くなったのよ。明日また来てくれないかしら? 魔力を込めておきたいわね。あとはユービー君のミスリルナイフね。形は決まった?」


 「いえ、ナイフじゃなくても良いですかね?」


 「良いわよ。私の錬金術を見せてあげるわ。ミスリルを加工できる数少ない錬金術師なのよ」

評価ありがとうございます。

日本刀はあと焼き入れを残すのみとなりました。


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