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冒険者物語  作者: 蘭プロジェクト
第2章 冒険の開始
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日本刀と龍筒 その一

第三十七話 日本刀と龍筒 その一


 俺とヴェルヘルナーゼはルーディアの街を歩いている。先ほど、乗り合い馬車を降りて到着したばかりだ。


 乗合馬車は、前回乗った荷物用の幌馬車より良いんじゃないか、と思ったのだが乗り心地は変わらないし、他の客がいるので込み入った話も出来ないし、選んで乗りたいとは思わない次第だ。道中は平和で、何事無く到着した。


 俺は入手した魔法の鞄に荷物を全て詰め込んでいる。ダミーで薬草用のザックを背負っているが、ヴェルヘルナーゼは小さなバッグを背負うだけで、俺が魔法鞄持ちだと言うことを隠そうともしなかった。


 ただ、俺の鎧が目立ち過ぎて、非常に困った。会う人会う人に凄いですね、龍の鱗ですか、違うんです飛龍です、どちらで入手を、勘弁して下さい・・・を繰り返している。


 俺は疲れ果てて宿に入っていった。前回に宿泊した宿で、夕食まで早かったので俺の部屋でヴェルヘルナーゼと二人でお茶を飲んでいる。キーアキーラは戻っていなかった。


 大きめのケトルにお湯を沸かして鞄に入れておけば取り出すとすぐにお茶が飲めるのである。非常に便利である。色々気になる事があるのだ。まずは魔法の鞄だ。


 「何? なんか疑問があるの?」

 「うん、俺も作りたいなと思ったんだけどね、どんな仕組みになっているのかなって」


 「え? 魔法でしょ?」

 「魔力は確かに人体には直接働くけどさ、物には一回自然現象に変換してから使うじゃない。火の玉や氷の槍とかさ」


 「あ、そっか。言いたい事はわかるわ。メカニズムをわからないと魔法が作れないのよね?」

 「そうそう。時間を止めるのは理論上は出来るんだよ。ただね、空間をねじ曲げるのは出来ないんだ。少なくとも俺のいた世界では無理だね。だからもの凄いんだ、これ」


 「え? 時間をさかのぼれるの?」

 「時間はさかのぼれない。スピードが速くなると、時間は進むのが遅くなるんだ」


 天才アインシュタインによる。光速で動くと時間が止まるらしいということだけはわかる。時間を止める事が出来る人は、光速で動いている事になる。時間を止める魔法の鞄は、内部が光速で動いている事になる。しかし、空間は歪んだり広がったりはしない。宇宙空間は無限に広がり続けていると聞くから、この辺りの現象が解明されればわかるかもしれないが、残念ながら俺はこちらの世界に来てしまった。


 「山の上と地上ではほんの僅かだけ、山の上が時間の進むのが遅いんだ。誤差だけどね」

 「え? どうして? おかしいじゃない? 山の上が速度が速いわけ無いわよ」


 「地上は丸い球形なんだ。山は高いから速度が速いんだよ」

 「え? 丸いの?」


 「丸いぞ。しかも回転している。まあそこは置いておいてだね、俺は収納する物の情報だけを記録しているんだと思うんだよ。そのファークエルに住み着く大妖精の様にさ」


 俺は銀の指輪を取り出し、魔力を込める。物体を中性子にまで分解、陽子と中性子の持つエネルギーと構成を記録。物体は陽子と中性子に分解、空気に再構成。戻すときに必要なエネルギーは自分の魔力を使用。これでどうだ。


 「出来た気がする」

 「え? 魔法の鞄が? 指輪よ?」


 「まあ見てて」


 俺は水差しの水を指輪に吸わせる。指輪はどんどんと水を吸う。コップ三杯位の量で吸わなくなった。今度は戻してみる。水差しに戻った。ちょっと魔力を使った感じだ。


 「あ、指輪なのに凄い!」

 「よし、容量を倍にしよう」


 俺は指輪に更に魔力を込める。魔力欠乏ぎりぎりで止める。


 「使ってみて。願うだけで水を吸うよ」

 ヴェルヘルナーゼは水差しの水を指輪に吸わせた。一リットルくらいだと思う。日数を掛ければ容量を増やすことが出来る。


 「いいわね、凄い! どういう理屈なの?」

 「あのね、物質って鉄や銅、炭などおおよそ百種類の物で出来ているんだ。さらにね、それももっと細かくできて、二種類の非常に小さな物質なんだ。小さな物質の記録だけをすることにしたんだ。元々の物質は空気として排出、取り出すときは空気を吸って復元だよ」


 「へー。金貨にならないの?」

 「うん、細かな部分は魔法にお任せだからならない。楽して稼ぐのは駄目だよ」


 「まあそうね。魔法の鞄の指輪か。ありがとう」

 「あ、もう少し大きくするよ。十日掛ければ水差し十本分になるよ」


 「あら、いいの? でも大変ね」

 「ヴェルヘルナーゼの魔力を俺に送れないかな?」


 「無理よ。君が耐えられる魔力量まで絞れないから。うちにはチョロチョロでも、君にはドッカンと行くよ。死ぬよ?」


 「わかったよ・・・あとはこの鎧だね・・・ルーディールーシュが着ていたって・・・ヴェルヘルナーゼの祖先でしょう?」


 「ええ。驚いたわ。思わず男爵の要望を全て聞いても良いかなって思ったもの。ルーディールーシュは風の神で、この地に入って来たときは少年だったのよ。羊飼いだって聞いたけど、凄い鎧を着ていたのね。似合っているわよ。ルーディールーシュも銀髪だったらしいから、君はルーディールーシュの再来かもね。魔力は全く無いけどね・・・」


 「風の神か・・・風の魔法を使える族長という意味だろうね・・・魔力はしかたないだろ・・・」

 「やはり迷宮都市に行きたいわね。最深部にはルーディールーシュか大地の女神ゲルアの縁の何かがあるかもね」

 俺は疲労を感じてベッドに横になった。


 「伯爵の領地の二番目に大きな街が迷宮都市ね・・・」

 ヴェルヘルナーゼがベッドに移動してくると、膝枕をしてくれた。俺はヴェルヘルナーゼの香りに包まれて幸せな気分だ。


 「ね、あとで外に行かない? ちょっと試したいんだ」

 「うん。いいよ・・・」

 ヴェルヘルナーゼが俺の瞼を閉じる。俺はそのまま寝てしまった。


 「ほら、順番だ。最初はレイラか」

 「ん?」

 俺はキーアキーラの声で目が覚めた。俺の目の前にレイラがいる。レイラは黒髪が綺麗な剣士だ。体つきは剣士だけあってしっかりしている。肩幅も広めだ。アスリート美人だと、言えばわかっていただけるだろうか。


 「あ、失礼しますね」

 レイラは俺のはらに顔を埋めて匂いを嗅いでいる・・・


 「あ、なんだこれ。良い香りというか、止められないわ」

 「な、何やっているんですか。変態だ変態!」

 俺は思わず叫んでしまった。そのまま起き上がる。


 「ウフフ。ありがとうね」

 レイラは俺の頬にキスして体を離した。


 「え? あの」

 俺は驚いて硬直してしまった。


 「あれ、セラフィーナさんとシルッカさんまで、俺の部屋で何を・・・」

 「じゃ失礼しますね。ウフフ。子供がいたらユージーさん位かしらね」


 「あ、私も」

 俺はセラフィーナとシルッカに前後から匂いを嗅がれている。セラフィーナはこの地方に多い赤毛の女性で、年は三十くらいだ。適度に丸みを帯びていて、非常にエロい。シルッカは茶色い髪のスレンダーな女性だ。二十代前半だと思う。


 「あふ」

 セラフィーナがエロい声を漏らし、鼻を押さえる。


 「不味いですわ、神に仕える私が、私が・・・」

 セラフィーナは何かを呟いている。背徳な感じがしてエロい。


 「でも、レイラちゃんをありがとうね」

 セラフィーナも俺の頬にキスしてくれた。


 「レイラを、ありがとうな」

 シルッカも俺の頬にキスをしてくれる。突然のモテ期に戸惑っている。


 「ほら、明星の三人は出て行った出て行った!」

 ヴェルヘルナーゼは声を張り上げる。


 「匂い嗅ぐかって誘ってくれたのはキーアキーラさんなんですけどね・・・さ、お邪魔だから行きましょうね。ウフフ。これから三人でお楽しみなのよ。ほら、出た出た」


 セラフィーナは変態臭い台詞を吐きつつ、出て行くとレイラとシルッカも出て行った。

新展開です。

よろしくお願いいたします。


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