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冒険者物語  作者: 蘭プロジェクト
第11章 迷宮攻略
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竜騎士の誕生

第百八十九話 竜騎士の誕生


 「ヴェルお姉様! 良かった、間に合いました・・・フォールー、お願い」


 「どうしました? そんなに慌てて。マクミリヤニ殿下まで」


 メリーカーナ王女が走りながら神域に入って来た。今日は俺達が神域を去る日である。


 「ヴェルお姉様の鎧が出来たんです! さ、魔道馬車を出して下さい! 着替えましょう!」


 「え? はい」


 ヴェルヘルナーゼは魔道馬車を出すと、メリーカーナ王女とフォールーと共に入って行った。


 「ユージー兄様、なんだか今朝から興奮しているんです。鎧を作ったんですか?」


 「おいおい、ずいぶんな興奮だなメリーは。どうした?」


 「ぎゃ」


 「宮廷魔道師とのトラブルで金貨を三万枚もらったから全部ヴェルヘルナーゼの鎧にしたんですよ。総ミスリルで、デザインは俺です。楽しみですね。俺の鎧が派手なんで、もっと派手な鎧にしましたよ。次はキーアキーラさんです。金貨余ってるし」


 「呆れたな・・・私はこれでいいぞ。あれか、尻をお前以外に見せないように新調した方がいいか? 私の尻はお前のものだからな・・・」


 「お姉様ぁぁぁ!」


 「メリーは随分興奮してますね」


 「ああ。どうなっているんだ」


 魔道馬車からメリーカーナ王女が出て来た。


 「戦の女神ですっ! 凄く格好いいです! ヴェルお姉様、早く!」


 次にヴェルヘルナーゼが降りてきた。光輝く純銀の、いやミスリルの鎧を纏っている。天から舞い降りた戦の女神と言っても差し支えなかった。


 「ユージー、格好いいな。流石だな」


 「どう? あなた」


 「うん! うん! いい!」


 俺は声を上げてしまった。


 「キーアキーラみたいにお尻がピッタリなのよ・・・もう、スケベね」


 後を向いたキーアキーラの形の良いお尻が見事だった。お尻の真ん中は防具で見えない様になっているが、ウエストラインからヒップラインは美しく表現されている。


 「さ、ヴェルお姉様、フェンリルのマントです」


 フォールーが純白に輝くマントを装着する。綺麗だった。


 「・・・綺麗です・・・ユージー兄様は果報者ですね」


 俺はヴェルヘルナーゼに近づいていく。


 「照れるわね」


 「じゃ、祈りを込めるよ。耐毒、耐病、耐熱。そして太陽の光で魔力を生み出す。邪悪な魔法に負けない聖なる結界」


 俺は鎧に魔力を流していく。鎧全体に魔力が行き渡る。


 「あ・・・魔力が充ちていくわ・・・貴方と同じ、美しい魔力よ・・・凄いわ・・・」


 「ヴェルヘルナーゼ、魔法の矢を射ってみろ」


 「キーアキーラ? 射るの?」


 ヴェルヘルナーゼは光る魔法の矢をつがえ、構える。光る弓を引き、魔法陣が輝き、精霊が祝福する様は美しく、神々しいと言ってもさしつかえなかった。


 「ヴェルお姉様! ブッ!」


 「あ、殿下が! ヴェルヘルナーゼさんの美しさに興奮して鼻血を!」


 フォールーは慌ててメリーカーナ王女の鼻を押さえる。


 「ヴェルヘルナーゼ、綺麗だよ。やっぱりヴェルヘルナーゼはこうでないと」


 「うん。ドレスなんか着ないよ。うちはあなたの横にいるから。あとキーアキーラもだね」


 「ドレスよりも綺麗に見える・・・いいなあ、ヴェルお姉様」


 「じゃあメリー、マクミリヤニ、私達は行くな。そうだ、柑橘の紅茶だが一箱持っていけ。今年はこれしか出来ないんだ。柑橘の木が大きくなるまで年に一箱しか献上できないんだ」


 「いいんですか」


 「はい、どうぞ」


 ヴェルヘルナーゼがフォールーに木箱を渡すと、デルフォーがやって来た。


 「皆さん、そろそろ出発・・・キャー! ヴェルちゃん! 格好いいわ! どうしたの?! ミスリルの鎧ね?!」


 「デルフォーさん、俺のデザインです」


 「凄いわ・・・ヴェルちゃんは幸せ者ね・・・じゃ迷宮の攻略、頑張ってね。ヴェルちゃんと龍君がいれば楽勝でしょうけどね」


 「皆さんにもフェンリルのマントです」


 フォールーが俺とキーアキーラにマントを渡してくれた。装着してみる。軽くて暖かくて、安心感がある。魔法と炎の防御効果があるからだろう。


 「あの、私もいただきましたから」


 メリーカーナ王女もマントを手に取っている。


 「うん。いいよ。じゃ、マクミリヤニ殿下、メリーカーナ殿下と王都をよろしくお願いいたします。迷宮を制覇し、この国のからくりを明らかにして参ります」


 「わかりました・・・私も修行を続けます。戻って来たら、下命したいことがあります。王国に巣くう、悪魔ロスメンディフェルトを討ちます。手を貸して下さい」


 「は」


 俺はマクミリヤニ殿下に頭を下げた。


 「いいなあ。男同士って。羨ましいわ・・・このときばかりはマクミリヤニお兄様が羨ましいわ・・・お兄様、ヴェルお姉様、キーアキーラお姉様、ご武運を」


 「ああ。私は付いて行くだけだがな」


 俺達は皆に別れを告げ、ルーガルに移動した。ルーガルの茶畑では大祠祭儀の娘キューフリールが茶を摘んでいた。茶摘み娘三人と楽しそうだ。南部の騎士爵の子ミハエールはハハム爺に農業を教わっているようだ。二人とも俺が魔法の授業をしているときにルーガルに連れてきている。


 「ぎゃ」


 「乗れっていってるわ」


 「ぎゃ」


 「落ちないかな?」


 「ぎゃ」


 「落ちないようにするって」


 「わかった。じゃあ乗るよ」


 俺はルーアナーゼルーシュの背というか、首の付け根に乗る。


 「ぎゃ!」


 ルーアナーゼルーシュが羽ばたくとふわりと浮いた。魔法で落ちないように固定して、風の影響も遮ってくれている。


 「ぎゃあああ!」


 「フフフ・・・ルーアナーゼルーシュは随分うれしそうだな」


 「格好いいわ。竜騎士ユージーね」


 「ああ。鼻が高いな」


 ルーアナーゼルーシュの背は快適だった。ルーアナーゼルーシュは俺の考え通りに動いてくれる。以心伝心だ。魔法だろうか。


 俺はルーガルの冒険者ギルドへ降りると、冒険者達が群がってきた。


 「龍が来たわ! あ、ユージーさん!」


 ギルドの建物からメーニヤが胸を揺らしながら現れた。俺は背に乗ったまま、挨拶をする。


 「メーニヤさん! 俺の騎龍です!」


 「ユージーさん、とうとう竜騎士に・・・何処に行くんですか!」


 「迷宮の制覇です! じゃ!」


 おおおお、というどよめきの中、ルーアナーゼルーシュは羽ばたき、ギルドを後にして、レングラン男爵の屋敷に戻った。


 「ユージー、先に行っていろ! 乗りこなせよ!」


 「後からルーディアの家に行くわ! 大型の魔道馬車で行くから! 先にルーディアに帰っていて!」


 「ぎゃあああ!」


 ルーアナーゼルーシュが腹に響く叫びを上げると、ふわりと浮かび上がった。俺は手を振り、大空に飛び上がった。


 大空は美しかった。俺だけが飛んでいる。


 「街道沿いに飛ぶぞ!」


 ルーアナーゼルーシュはどんどんと速度を上げていく。時速三百キロくらいだろう。大空を眺めていたら、すぐに城塞が見えてきた。ルーディアだ。俺は街道をそのまま進み、迷宮都市を目指す。空から見る地上は小さく、ミニチュアに見える。以前の世界でみた空からの風景とは違う。都市の規模が違いすぎて、小さかった。


 魔道都市が見えて来る。俺は小高くなった方を見る。俺はぴんと来た。迷宮の第八層だろう。


 「あそこに降りるぞ!」


 俺は人気の無い草原に降りる。確かに第八層だ。


 「なあ、ヴェルヘルナーゼとキーアキーラさんを乗せて良い?」


 「ぎゃ」


 「いいんだな? じゃ行くぞ!」


 「ぎゃああああ!」


 飛び立つとルーディアを目指す。空の移動は早い。あっというまに到着する。俺はルーディアの城門に降り立った。


 「ぎゃああ! 龍だあああ!」


 青い顔をした騎士がばらばらと出てくる。


 「俺です! ユージー・アーガスです! 俺の騎龍なんです!」


 「ぎゃ!」


 「ほら、こんにちはって言ってますよ」


 「君か・・・まあいいか・・・」


 騎士はどうした物か判断に迷ったようだが、許可をくれた。


 「すみません!」


 「ぎゃ!」


 俺は空高く飛び上がると、伯爵家の庭に降り立った。


 「きゃあああ! 龍?!」


 「おーい、レイラ! 俺だ!」


 「あ、ユージー君?! どうしたの?!」


 レイラが腰を抜かして座り込んでいる。俺はルーアナーゼルーシュから降りると、レイラの手を取り引き上げる。


 「奥様! 大丈夫です! ユージー君でした!」


 セラフィーナとシルッカに守られたソーラが顔を出してきた。


 「あら、あなただったの。驚いたわ。どうしたの?」


 「ルーアナーゼルーシュ、ソーラ奥様だ。ご挨拶して」


 「ぎゃ」


 「あら、礼儀ただしいのね。いい子ね」


 ソーラは臆せずルーアナーゼルーシュの頭を撫でる。


 「ヒ! 奥様! いけませ・・・ヒ!」


 魔法使いのシルッカは完全に腰を抜かしている。


 「迷宮に挑みますんで、ご挨拶に来ました。色々と王都の報告があります。出来ればご説明したいなと」


 「あらそう? この子はどうするの?」


 「ぎゃ」


 ルーアナーゼルーシュは地面に座り込み、寝始める。


 「あの、私が見てますんで・・・」


 レイラはそっと頭を撫で始める。


 「うわー龍だ・・・」


 「じゃあ任せたわ。応接室に行きましょ。セラフィーナ、あの子を呼んで来て」


 「はい。じゃ奥様をお願いしますね。ユージー君」

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