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冒険者物語  作者: 蘭プロジェクト
第1章 初めての転生
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昇格と休日

第十二話 昇格と休日


 「おめでとうございます! 青銅級ブロンズです! はい、青銅級の登録書です! 今までの登録書は返してくださいね。青銅級になれば討伐を受けられます。詳しくはヴェルヘルナーゼさんに聞いて下さいね。後ですね、今度でいいので虫除けの香を売っていただけないかしら・・・」


 俺は受付のメーニアから登録証を受け取る。今日は昨日に引き続き、ヴェルヘルナーゼと二人で薬草採取を行った。ヴェルヘルナーゼに薬草採取のコツを教えながら採取したのだ。フールー草以外には見つからず、残念ながら金貨は逃してしまった。


 「虫除けの香は使えてます?」

 「そうね。ギルドに卸して欲しいくらいよ」

 俺が訊ねると、メーニアは頷いてくれた。


 「キーアキーラが野営に使えるって言ってますね。私達少し貰っているのよ」

 「そうなのよ、わかっているわねヴェルヘルナーゼさん・・・そうね! 野営用具としていいわね! 小瓶か革袋に入れて売ろうかしら。私だけ買っても良いのよね。じゃあ明日待っているわ!」


 メーニアは手を振って送ってくれるが、手と一緒に胸もぶるんぶるんと揺れる。俺は目を奪われかけたが、ヴェルヘルナーゼに足を蹴られた。


 「もう! 子持ちのおっぱいがいいの! 知らない!」

 ヴェルヘルナーゼは怒ってしまった。ナゼに。恋人でもないのに・・・

 広場では串を奢らされた。


 「もう! スケベ!」

 「わかった。もうヴェルヘルナーゼの胸しか見ないし触らない!」

 俺は思いっきり胸を触る。無論、革の鎧があるから触ることは出来ない。


 「ぎゃ、あ、ああ。あれ? 触れるわけ無いじゃない」

 「機嫌治してくれた? まるで俺の嫁さんみたいだったよ? 怒った顔も可愛いよね」


 俺は前世では彼女も居なかったから、今世は可愛いとか綺麗を素直に言うことにしている。だんだん慣れてきた。ヴェルヘルナーゼは恐らくこの国一番の美人だろうし、お世辞を言いまくろうと思っている。


 「何よ・・・ユージー君のお嫁さんの訳無いじゃないのよ・・・口も軽いし・・・」

 「よいしょ」

 俺はヴェルヘルナーゼの太ももに頭を乗せた。


 「硬い」

 「当たり前じゃない。鎧を着ているのに。変なの」

 確かに変だが、膝枕をして貰ったという事実が大事なのだ。


 「ねぇ、顔色が悪いわ。明日はお休みね。ちょっと昼寝でもするといいよ」

 「うん」


 「明日さ、街で美味しい物でも食べない?」

 「え? お店があるんだ」

 前に聞いたとき、この街に美味しい店は無いって、メーニアさんが言っていた気がするが・・・


 「無いよ! アハハハ。王都なら有るんだけどね!」

 「よし。俺が作るよ。明日、お昼を食べようぜって、言いたいけどヴェルヘルナーゼは依頼を受けるだろうから、俺一人で食べるか」


 「え? いやいや、大丈夫よ。大丈夫」

 「依頼受けないと駄目じゃん?」


 「結構貯蓄有るから大丈夫よ。金級昇格直前の銀級だったのよ? キーアキーラとパーティー組んでいたから、依頼は金級をこなしていたの。だから気にしないで」


 「わかった。じゃあ材料を買いに行こう!」

 俺は起き上がると、乾し果物屋に向かう。


 「おやおや。いつもお熱いねぇ。石榴かい?」

 乾し果物の屋台のおばあちゃんは俺に石榴を手渡してくれる。


 「干し葡萄をくれ。石榴も買うけど」

 「あいよ。小銅七だよ」

 俺は支払いを済ませると、乾し果物屋を後にする。


 次は野菜を売っている屋台。人参、玉葱、ズッキーニっぽいやつ、カブ、豆、ニンニク、セロリ、胡桃だ。残念ながら芋類は無い。食材は中世ヨーロッパそのものだ。


 次は穀物屋。穀物屋は屋台ではなく建物だ。エン麦、大麦は安いが、小麦が高い。当然米は無い。しかたないな・・・


 栄養価はエン麦や大麦より小麦が高い。小麦が食用で、ビールやエール、ウィスキーの酒造用に大麦を使うのは栄養価が小麦より落ちるからである。


 「小麦を皮袋に入れて。パン焼くから」

 俺は店のおばちゃんに皮袋を差し出す。


 「あら? パンは許可制だよ。焼くのに税金がかかるからね。焼くなら街の外だよ」

 聞いた事がある。中世では何でも税金がかかっていたって。パンもか・・・


 「わかった。ありがとう」

 次にいくのはチーズ屋。ここも建物だ。チーズとバターを買う。オリーブ油があったので買っておく。オリーブ油が結構高い。五百ミリリットルくらいで銀貨一枚だ。後は明日、鶏肉を買ってだな。


 「随分買ったわね」

 「うん。パンを焼いてシチューと、ハーブチキンをしようかとね。あ、鍋持ってる? あと二つくらいほしいかな」


 「私は一つだけよ。キーアキーラも持っているから借りよっか」

 俺とヴェルヘルナーゼが広場で串肉を食べていると、孤児の女の子がやって来た。俺は串肉を一本渡す。


 「おにいちゃんありがとう! わぁ、凄い食べ物!」

 「ね、お嬢ちゃんのお名前を教えて?」

 ヴェルヘルナーゼは笑いながら名前を聞いている。


 「スーナだよ!」

 笑いながら串肉を囓る。串には五個の肉が刺さっている。スーナは一個だけ肉を食べた。


 「何処に住んでいるのかな?」

 「神殿だよ! 孤児院があるの!」


 「明日ね、街の外にスープを作りにいくから、お友達を誘っておいで。お椀とコップを持ってくるんだぞ」

 俺がスーナを誘うと、スーナはにっこりと笑った。


 「え? 本当に? わかったよ! バイバイ!」

 スーナは走って帰って行った。串肉を皆で分けるのだろうか。


 「ウフフ。可愛いわね。さ、帰りましょう」

 俺は宿に帰り、虫除けの香を作り、パンの生地も捏ねた。パンは発酵させる。ドライイーストは無いので、自然発酵となる。丸一日あれば、良い感じで発酵、すると思う。多分・・・干し葡萄を混ぜた生地と、胡桃を混ぜた生地を作った。俺の鍋と、ヴェルヘルナーゼの鍋に生地を入れて発酵させる。焼き溜めるのだ。


 翌朝、三人で朝食を食べた。


 「ね、キーアキーラ、あなたの大きな鍋を貸してくれない?」

 ヴェルヘルナーゼがパンを囓りながら聞いてくれている。


 「鍋? いいけど何をするんだ?」

 「ユージー君が料理を作ってくれるって。街の外でパンを焼いて食べるんだ。青銅組はお休みにしたの。ユージー君が疲れ気味だからね」


 「え? 私は?」

 「ええとね、エールを買い忘れたのよねぇ。それと果実水も飲みたいなぁ。絞りたてのやつ」


 「う、うん」

 「すみません、あと牛乳も」

 俺も割り込ませて貰う。


 「でね、川縁に行くから、椅子やテーブルを作ってくれるとうれしいな・・・」

 「わ、わかった! すぐ行って準備する! 鍋は持って行くからな!」

 キーアキーラが急いでパンを食べると食堂から出て行った。


 「凄い食いつきだね」

 「キーアキーラは食べるのが好きだけど、料理が出来ないのよね。さ、うちらも行こう!」


 俺とヴェルヘルナーゼは荷物を抱えてギルドを目指す。鍋はダッジオーブンと言うとわかって貰えると思う。重いのだ。実は馬かロバを飼いたいと思っている。


 朝のギルドはもの凄い混雑だった。掲示板には人の石垣が出来ている。皆血走って、依頼を探していた。

 俺達は酒場で果実水を飲みながら空くのを待った。俺達がのんびりしていると、冒険者達は不思議そうにしていた。


 冒険者が掃けて来たのでメーニアがいる受付に行く。


 「今日は二人でスライムかしら?」

 「いえ。まずはこれを」

 俺は虫除けの香の入った皮袋を渡す。


 「あら! 例のお香ね。値段はギルマスと決めるから、明日まで時間を頂戴」

 「あと、薬草のストックってないですか?」

 「薬草? ちょっと待っててね」

 メーニアは薬師が使う様な小さな引き出しが沢山ついている箱を持ってきた。


 「好きなのを取って。錬金術もするの?」

 俺が引き出しを漁っていると、不思議そうにしている。やっぱりあった。薬草の中にハーブがある。タイム、ローリエ、セージが合った。オレガノもある。良かった。胡椒はないな。残念。


 「あら、錬金術じゃないのね? 何をするのかしらあ?」

 メーニアは鋭い目で俺を睨んでくる。どうやら俺の魂胆がわかったようだ。


 「これでチキンを揚げようかと」

 「え? 今から?」


 「ええ。今から。ヴェルヘルナーゼと、キーアキーラと」

 「嘘でしょ? 私は?」


 「え? 何?」

 ヴェルヘルナーゼが割り込んでくる。


 「薬草を使ってチキンを焼くの?」

 ヴェルヘルナーゼが薬草を摘み上げる。


 「ずるいわよ、高いから貴族しかしないことを、この青銅級は! 平民の癖に! 金貨一枚よ! 金貨一枚を食べようって魂胆よ! 私も食べたいわ!」


 「仕事して下さいよ」

 俺は金貨を支払ってギルドを後にした。鶏を三羽買って広場に行く。


 「鶏を三羽も・・・そんなに食べるの?」

 「余ったらメーニヤさんにお土産にしてもいいし、宿に持ち帰ってもいいよね」


 「まあね・・・ほら、薬草採りは街を出て真っ直ぐいった方でしょう。右に曲がると川があるのよ。上流にスライムがいるのよ。下流で食べようよ。料理に使う水もあるし、川縁は良いところよ」


 「おにいちゃーん! おねえちゃーん!」

 スーナの声が聞こえて来た。俺達は合流して川に向かう事にする。

多数の方の高評価、とブックマーク、ありがとうございます。

これからもよろしくお願いいたします。


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