青い日々08
泣きじゃくる弟を胸に抱き抱え、仲良く映画鑑賞した。終始俺の胸に体を擦り寄せ、可愛らしい声でグズッている弟。終始ハァハァが止まらない俺。そしてそれを冷めた目で傍観する買い物から帰ってきた母。
………母?
「あぁ。お帰り。」
「あんた一人暮らしに興味ない?」
「夏樹連れてって良い?」
「好きなだけここにいなさい。」
俺の母親。栞ってゆう名前を貰っていながら読書は大嫌いらしい。歳は……あれ?
「母さん今何歳?」
「16」
なんだ、年下か。
「ジャンプ買ってこいよ。」
「オマエユウハンモズクイチリットル」
「ごめんなさい。美人なお母さんが僕の一番の自慢です。」
「パンコニシテヤンヨ」
「禿げろババー」
歳は分からないけど見た目はかなり若い。今の美容製品が昔に比べて格段に優れていることもあるが、それを差し引いても母は二十代と言われても疑えない様な容姿をしていた。夏樹の母親なだけある。
「真樹?今日は補習じゃなかったの?」
「再テストで良い点取ったから免除してもらった。」
「あら、凄いじゃない。」
「兄ちゃんスゴい!」
「まあ、それほどでも。」
意外と母親らしい母は夕飯に唐揚げを作ってくれた。でも味噌汁の器に俺だけもずくがはいってた。沢山。
「海藻は体に良いんだよ、お兄ちゃん!!」
急に美味しく感じた。
家に親父はいない。元々10年前、まだ俺が6歳ぐらいだった頃に日本から中日本に親父の転勤で引っ越してきた。こっちに来て3年目に…どっか行った。
中日本に来てから知り合った女と親父は俺たち家族を置いて、消えた。当時のことはよく覚えてる。母さんが泣きながら俺たちを抱き締めて『ごめんね。ごめんね。』と。弟は小さかったからまだよくわかならなかっただろうけど、母さんにつられてビービー泣いていた。俺は一度も泣かなかった。謝る母さんを見る度に親父を殺したいとさえ思った。
でも母子家庭には国からの補助金があったし、中日本の自治法で男のいる家庭には男一人あたり毎月15万円の補助金もあり、ウチはわりかし裕福な暮らしが出来た。