青い日々05
それから一週間後、ドイツで大爆発が起きた。恐らく、光石を使った実験の際に熱プラズマが発生したと見られ、それはチェコ・オーストリア・スイス・イタリアも巻き込む大惨事となった。ドイツの半分とスイス・オーストリア・チェコの大半を消滅させた。爆心地は熱プラズマにより数万ケルビンの高熱で全てが溶解し、半径約200kmの大穴だけがそこに残った。
この爆発で光石は消滅したと日本は推測した。しかし、世界はそれを日本による制裁だと認識。プラズマ砲を遥かに凌ぐ破壊力。
日本はその認識を肯定した。逆手に取ったのだ。これだけの破壊力を持った兵器を所有していると知れば世界は手を出してこないと踏んだ。
結果は読みどおり。日本は偽りの力を見せつけた。
わだかまりは解けず半年が経ち、日本は【完全中立国】となることを表明。貿易はするものの、他国に味方することも、日本に対する攻撃を受けた際の報復にも他国の力を一切の借りない。
それから三年後戦争が始まる。今は無き中国のど真ん中から【光石】が出てきたのだ。
発見したのはロシアの調査団だった。ロシアは日本と同じく当初発見を秘匿したが、それは3日しない内に国外に洩れた。日本以外の国家は即座に軍隊を中国大陸に大量に送り込んだ。そしてアメリカ対ロシア対欧州連合の戦争が始まった。三ヵ国中唯一陸地で繋がっていないアメリカは中国にキャンプを置くまでに半月かかった。その最中、ロシアと欧州連合の戦いは既に激化していた。そこに米軍がやってきたのだ。中国は最悪の状況だった。ど真ん中の光石の発掘場所には当初ロシアが陣取っていたが、ミサイルでアメリカが攻撃。以降三ヵ国がお互いに牽制しあいながら光石を囲んでいる状態。
ここでやっと【worldespair】が登場する。EUが開発した生物兵器だった。
まずアメリカとロシアの主要都市、合計16箇所に発射された。これに対し、米・露は核で反撃。楽しい核対生物兵器の戦争がはじまった。…と思われたがここで日本がしやしゃり出た。
【十日後中国の光石発掘地帯をプラズマ砲で焼き払う即座に各国は退却せよ】
この警告を各国は無視したが日本は十日後、中国を焼き払った。砲撃は三週間続いた。そこはただのくぼみになっていた。
最終的に日本だけが残る形になった。ロシア・アメリカは人口が半減し、完全に経済が崩壊した。EUに至ってはほぼ全域に放射能が飛散。人口の99%が被爆。統合して生き残った人々のほぼ全てが女性だった。
日本は復旧に手を貸したが両国とも男性が少なすぎて少子化が起きた。物凄い勢いで。これを打開するために日本は中国を開拓。続々とアメリカ・ロシアから人を集め、中国を改めて【復旧の間一時的な居住区】としてバンバン開拓した。光石発見後、ゼロから作った街。それは最早、未来都市だった。