言葉は焦っても行動は焦らず
芸能人に恋をした。
芸能人に告白をした。
芸能人と付き合うことになった。
【喜びの余韻に浸る期間】
大好きな芸能人と付き合うことになったがそのままこの喜びを持ち運びながら芸能人と行動を共にしたら、テンション的にも精神的にもかなりヤバイ方向に向かう気がしていて、これからもう二度と起こらないかもしれない瞬間と喜びだから、その喜びに浸る時間を設けて、色々な準備のためにも、まずはじっくり噛み締めることにした。
【落ち着きを取り戻す期間】
喜びに浸っている間はずっと変なテンションという安定を保っていて、まだ頭のなかでは芸能人の恋人である事実が処理しきれていないので、ここですぐにその芸能人との関係を深めてしまっても本来の落ち着いた自分なんて一生戻って来ないかもしれないと思っているし、テンションが下がらないと振り切れちゃうかもしれないから、ひとまず休憩することにする。
【見慣れる期間】
ずっとずっとファンで、朝起きたときも夜寝るときもその芸能人の顔をもう隅から隅まで脳に刷り込んできて、脳にガッシリ刻み込んできて、その芸能人の顔にはかなり慣れたと思っていたが、付き合うとなると話は別で、付き合うという心のコンディションという状況が加わるとそれは全く別のものに変わり、会っていきなり行動を共にしても壊れてしまうと思うので、私が撮ったその芸能人の写真や動画で見慣れようとした。
【同じ空間に耐える期間】
その芸能人に告白をしてから、色んなものに慣れさせて、ようやく告白後の初めての顔合わせに挑むことになり、まずはその芸能人が見える距離に自分のカラダをおいて、その芸能人と特に何もすることなく、その芸能人に触れる前にその芸能人が触れている空気に触れることでカラダを慣れさせようとした。
【会話を成り立たせる期間】
会話というイベントはとても重要なもので、一番重要と言っても過言ではなくて、私のために言葉と声を使ってもらえる最大のイベントであるので、ここがしっかり出来ないと、もうこの先は失神失神の連続だということが目に見えているし、話が噛み合わなければ他の全てが噛み合うと思えないから、その芸能人と会話を徹底的にした。
【二人きりを受け入れる期間】
顔と顔を合わせるにも、言葉と言葉のキャッチボールをするにも、何かを食べ何かを共にするときにも、決まって第三者の介入を義務付けてここまでやって来たが、ここから本格的に私たちは付き合っているんだと自覚させて、恋人なんだ恋人なんだと心に思い込ませるような行動を解禁して、じっくりじっくりゆっくりゆっくり幸せに歩み寄る。
【肌と肌を触れ合う期間】
一番のハードルは二人きりの空間でも興奮しすぎずに、本来の自分を取り戻して普通に会話して、自分のことだけではなくて相手の気持ちを考えて、とにかくあなたに慣れることだったが、二人きりに慣れてきたらもう何でも出来る気にしかなれず、あなたの手に私の手を触れさせ、本当の恋愛スタートのブザーは鳴り響いた。