蚊目線人生相談所
やりたいことはある
でも踏み出せない
まあとりあえず働いている
興味があるものはある
でも今のままもいい
スマホでニュースを見ていた
そこに変な広告が現れた
『蚊目線人生相談所で 人生に血が通う』
これだと思った
悩みを文章で送れば
文章で返してくれるらしい
さっそく送った
【悩んでます 好きなことを仕事にしたいです だけど今は安定しています 好きなことを仕事にする場合 安定はなくなります 今の仕事は嫌いなわけではなく 好きの近くにいます どうすればいいですか】
十数分後
コーヒーを飲み干す直前
スマホが光った
見たら蚊からだった
正確には人間だ
蟲田文さんという人
その人が蚊になりきる人らしい
興味を抱きながら
送られてきたものを開けた
【どうも蚊だよ あのね 好きなことをすればいいのよ 急に叩き潰されたり スプレー吹き掛けられたり あなたはされないんだから
【ちなみに 血を吸うのは メスだけだからね オスは吸わないし 花の蜜とかが主食だからね 好きで血を吸っているわけではないかな】
【まあ好きなことと 生きるために必要なこと その二つがちょうどよくなる その割合を探ることだね】
【私たち蚊は 限られたことしかできない ブーンて飛んで スーッて吸ってさ 腕をブン回してるさ 鬼の形相の人間を掻い潜ってさ それだけなんよ】
【人間には たくさんの選択肢があるじゃない いい娯楽が山ほどあるじゃない やろうよ好きなこと 時間はまだまだあるでしょ】
【蚊は人間に嫌われている 蚊を好きな人なんてそんなにいない それなのに アドバイスを送っている それがどういう意味かわかるか そうだよ 蚊は人間を嫌っていないんだ】
【ただ栄養が欲しくて 血を拝借してるの 申し訳なさもあるよ だから応援はしたいの あなたの未来が 輝きますように】
嬉しかった。
前向きになれた。
血が通った気がした。




