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残り10秒

20歳まであと10秒しかない。

何も考えていなかった。

これからどうするか決まってない。

なってから考えるより。

なる前に考えた方がいい。


ドラマでよくあるけども。

5秒とか10秒の短い時間を。

何分にも何十分にも。

しているやつがある。

それをやればいいんだ。

それをやれば20歳になる前に。

色々と決められるんだ。


もうすぐ成人年齢が引き下がる。

とか言ってたけどまだだよね。

お酒はすぐ飲んだ方がいいのか。

たぶんすぐ飲んだ方がいいね。

行動は早い方がいいって聞くし。

でも分からない。

何を飲んでいいのか。

ビールは定番すぎるからダメ。

ワインは夢で飲んでしまって。

体調悪くなって目が覚めたから。

違うのがいいな。


父親と母親は日本酒が好きだ。

だから日本酒にしようかな。

でも初めて飲んだお酒を聞かれて。

日本酒と答えたらもう。

日本酒一升飲んだのとは。

比べ物にならないくらい。

動けなくなるかもしれない。

定番をあえて外した人として。

恥ずかしくて動けなくなりそう。

そして生意気に見えてしまうかもな。


お洒落の『洒』と日本酒の『酒』は。

違う漢字だった。

それを知ったのが19歳だった。

10代最後の発見はこれになった。

横線が一本あるのがお酒。

そしてないのがお洒落だ。

お洒落と言われたことがない。

そういう人生だった。


もうすぐ大人になるわけだが。

子供の頃はホント散々だった。

缶ビールに付いてくるシール。

それを集めると必ずもらえる。

そんなTシャツを着ていた。

だから沢山からかわれた。

缶ビールの写真がそのまま。

ドドンとセンターに居座るTシャツ。

違和感がないわけがない。


それは父親がビール好きだったとき。

その時は父親が毎日ビールを飲んでた。

だから大量にシールが集まった。

その結果一週間毎日。

色違いのビールTを着られてしまう。

それくらい集まってしまった。

かなりの貧乏だったから。

2年くらいそのTシャツしかない。

上着がそれしかない時期があった。


年齢の十の位が1増える。

そこに特別感がある。

母親の体重に百の位が現れた。

その時と同じくらいの特別感だ。

いや母親の体重の方が一大事だった。

親戚には一瞬にして広まったし。

近所の人にもすぐ伝わった。

でもそれよりもスゴいことが起こった。

それは母親の今の体重にある。

母親の今の体重は55キロだ。

それも近所や親戚にすぐ伝わった。


99キロを行ったり来たりしていた。

ずっと行ったり来たりしていた。

なのに急にダイエットし始めた。

母のやる気を見たのは初めてだった。

そして短い期間で44キロ減量した。

ゾロ目からゾロ目を減らしゾロ目に。

そんなゾロ目の奇跡を起こした。

母の減量には敵わないが。

19から20への繰り上がりも。

一大イベントなのだ。


あと成人になったら何をしたいか。

車の免許をまだ取っていなかった。

だから取って運転しようかな。

免許といえば父親が思い浮かぶ。

家族みんなで車で食事に行った時。

運転してきた父親が酒を飲んだ。

飲んではダメと言われていたのに。

我慢できなかったのだろう。

それで母親に怒られていた。

車の免許で思い付くこと。

それはたぶんこれしかない。


またお酒の話になってしまった。

酒とは違うことを考えたい。

いま目の前にあるコップのこと。

これは生まれたときからあった。

初めて使ったコップもこれだった。

一緒に20年歩んできたことになる。

とても想い出のコップなのだ。


今までよく観察してこなかった。

なんのコップなのだろう。

特別なものではなさそうだ。

100円ショップとかだろうか。

よく隅から隅まで見てみた。

あのTシャツと同じビール名があった。

そうかそういうやつか。

長い長いため息が出た。

これはシール何枚分のコップだろう。

ひとつしかないから。

きっと何十枚も必要なのだろう。


ここまでかなり脳内で喋った。

かなりの量の言葉を紡いできた。

でも3秒くらいしか経っていない。

たぶんそうなっていることだろう。

ドラマでよくあるやつだから。

そうなってくれるはずだ。

まだまだ考え足りない。

そんな部分はたくさんある。

でもこれくらいにしておこう。


20歳になる瞬間にしたいことがある。

それまでに終わらせないと。

それが出来なくなってしまう。

したいことはもう決めてある。

それは両手をあげることだ。

右手が10歳で左手も10歳。

両手合わせて20歳ということだ。

まあ自分でもなんだか分からない。

分からないけどまあいいだろう。


時計を見てみた。

11時39分だった。

もう明るくなっている。

ということはお昼だ。

やってしまった。

20歳の日をもう半分消費している。

そういうことになる。

時間なんて止まるはずがない。

そういうことだ。

そういうことだ。

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