まずは、ありがとう
呼び出してしまった。
屋上は、閉鎖されていて行けないし。
理科室は、カギが掛かっていて入れないし。
校舎裏は、安定して立っていられる場所がないし。
駐輪場の端の方に、呼び出した。
イケメン男子を。
イケメン男子というより、イケメン風男子か。
告白というやつ。
愛の告白というやつだ。
来た。
イケメン風が来て、目の前に立った。
すぐ、言ってやった。
常套句中の常套句を。
「ずっと、あなたのことが好きでした。私と、付き合ってください」
告白した。
返事は、どっちに転ぼうと、希望に満ちている。
すっきりした。
イケメン風男子は、少し間を置くと、ゆっくり喋り始めた。
「まずは、ありがとう」
「うん」
「すごく嬉しかった。気持ちが伝わった。ついでに、ありがとう」
「あっ、うん」
「僕が、ユウちゃんのココロの一部になれているなんて、思ってなかったから、驚いてる」
「うん」
「合間に、ありがとう」
「うん」
「僕もね、気がつけば、ユウちゃんのこと、ずっと目で追ってた」
「うん」
「優しくて、いつも気軽に話しかけてくれるし。好きかもしれないなって」
「うん」
「心から、ありがとう」
「あ、うん」
「もうひとつ、ありがとう」
「えっ、うん」
「返事を今から言うね。僕と付き合おう」
「本当にいいの?」
「うん、これで僕たち、恋人だね」
「そうだね」
「返事を聞いてくれて、ありがとう」
「うん」
「最後に、ありがとう」
「うん、ありがとう」
イケメン風男子は、私を変えてくれた。
もう、感謝しかない。
ありがとう。




