表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
53/83

居抜きバカンス伝言番

大きな屋敷の前にいる。


ずっと潜んでいた。


絶対に、金目のものが沢山あるはずだ。


でも、特にそういうものには興味がない。


興味があるのは、この屋敷の広さだ。


男性が、大きな荷物を持って出掛けていった。


今がチャンスだ。


全身を手で擦りながら、暖かさを作って、歩き出す。


少しずつ、少しずつ前進した。


防犯カメラはない。


門も厳重ではなく、触ってみると簡単に開いた。


一気に、侵入出来そうな気がしてきた。


まさかと思ったが、玄関の扉に手を掛けると、普通に開いた。


盗み目的ではなく、広い部屋で過ごしたい願望があるだけ。


でも、その願望はものすごい。



男性のことは、あまりよく分からない。


何であの若さで、こんな豪邸に住めるのか。


不思議で仕方ない。



中に入っていっても、特に何も作動しなかった。


静けさが、広がっているだけだった。




[ピンポンピンポンピンポーン]


不法侵入してから、くつろぐ間もなく、訪問者がやって来た。


「はい。何でしょうか」


「あのう?タケルさんはいないんですか?」


たぶん、この家の住人の男性は、タケルという名前なのだろう。


「もしかして、タケルさんの家族の方ですか? 兄弟がいるとは聞いてましたけど」


「はい、僕は弟です」


「そうでしたか」


この家の住人の男性は、兄弟がいることが分かったが、気持ちは全然休まらない。


「今日の昼に肉じゃがを頂いたのですが、とても美味しかったです」


「ああ、そうなんですか」


「これ、肉じゃがが入っていたタッパーです」


この家の住人の男性は、料理上手ということが分かったが、そんな情報知ったところで、何の役にもたたない。


「タケルさんには、肉じゃががとても美味しかったとお伝えください。それと、シェフのお仕事、頑張ってくださいとお伝えください」


「はい、分かりました。伝えておきます」


この家の住人の男性は、有名なレストランのシェフの可能性が出てきたが、そんなこと、僕には関係ない。


「あの、もうひとつ伝えて欲しいことがあるんですけど」


「何でしょうか?」


「肌にいいボディクリームを見つけたよ、と言ってもらえますか? 後で紹介したいので」


「分かりました。伝えておきます」


この家の男性は、肌が弱いのだろう。だから、肌にいいボディクリームの情報を、共有しようとしているに違いない。


「あの、申し訳ありません。もうひとつ伝言を、頼んでもいいですか?」


「はい。いいですよ」


「あの世界的スターの、パトリック・ミアリーのサインが欲しいと、言ってくれませんか? 友達だと聞いたので」


「はい。分かりました」


男性は、あの世界的スターとも繋がっているほど、かなりの大物なのか。また、よく分からなくなってきた。


どんどん男性の情報は入ってくるものの、いまいちピンと来ない。逆に疲れが来た。こんなに疲れると思っていなかった。


「最後に弟さんに質問なんですけど、100カ国も旅をしてきて、50以上の職種を経験してきた、お兄さんをどう思っていますか?」


最後にも、すごい情報が入ってきて、心は余裕が全く無くなっていた。今、急激に男性について詳しくなったけど、全くの無意味だ。


「まあ、すごいなあって」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ