ドラマの副音声みたいな恋でした
ユウコは、制服を脱ぎ捨てて、人が沢山行き交う、最寄り駅の、コンビニ前で、少し変人気質のある彼氏のサダオを、待っている。
女子が、男子にベッタリくっついて、腕にしがみついて放さなくて、ねっとりと歩くみたいな、そんなカップルも通り抜けた。
空には、輝いている部分が、ちらほらあるが、そのほとんどは、黒という、なんでも染めてしまう色に、ずんずんと、飲み込まれてしまっている。
ユウコが空を見ている間に、目の前に、ぬすーっと現れていたらしく、丸い月から視線を降ろすと、手を前にまっすぐ伸ばせば届く、くらいの場所に彼氏のサダオはいた。
音も声も発さなければ、自分の存在を知らしめるような、動作も何もしようとせず、静という言葉が一番似合うような、そんな姿でサダオは立っていた。
草食男子のサダオは、特に引っ張ることなく、横に並んで歩くことなく、ななめ右後ろを気配を消して、ちょこちょこと、歩くことをずっとしていた。
淡いというのはこういうことか、というような、いい意味で刺激の少ない、夜のデートに、ユウコの顔には自然と笑みが浮かび、何とも繋いでいない腕は、スーパーボールみたいに、ボヨンボヨン弾んでいた。
振り返ると、サダオがいなくなっていることに気づき、なんの恥ずかしげもなくユウコが、サダオの名前を呼ぶと、遠くの方にあるお店から、ピョコンと出てきて、こちらに走ってきた。
自由で無口なサダオは、買ってきた、座布団ほどの大きさの、袋に入ったものを、ユウコの身体にゴツンとぶつけてきて、サダオがプレゼントを買ってきてくれたことに、嬉しくなって、喜びを爆発させた。




